ペアリング48 生きかはり死にかはりして打つ田かな 村上鬼城

追記:茅の輪/2019.8.7

ペアリング48

◎電光ニュース

春星へ電光ニュースのぼりゆく  浦川聡子   さとこ

梅雨つゆ深し電光ニュース来ては去る  折勝家鴨おりかつ あひる

梅雨寒つゆざむの電光ニュース咲き昇る  土生はぶ重次じゅうじ

くりかへす電光ニュース海に雪  上田信治

いきいきと電光ニュース暮早し  清崎敏郎きよさき としお

クリスマス電光ニュースよく語り  星野立子

 

 

◎天井の鼠

ひなの間の天井てんじょうにゐるねずみかな  山口波津女   はつじょ

鼠ゐぬ天井さびし寝正月ねしょうがつ  小川軽舟     けいしゅう

天井の鼠いつしか神隠かみかくし  穴井太

 

 

◎はたはた、ごわごわ

神主かんぬしのはたはたしたる雛流し  ハードエッジ

  文法エラー修正しました/2019.8.7

スカートのはたはたしたる船遊ふなあそび  辻桃子

神官のごはごはくぐるの輪かな  蓬田よもぎだ紀枝子きえこ

 

 

◎過去と未来

生きかはり死にかはりして打つ田かな  村上鬼城    きじょう

百年後の見知らぬ男わが田打つ  齊藤美規  みき

 

 

◎天井画

天井にうすい絵のある桜の夜  鴇田智哉ときた ともや

天井の龍消えなんと柿若葉  長谷川櫂      かい

天井の天女てんにょすすも払ひけり  内藤鳴雪    めいせつ

 

 

◎貧しき町

夕立は貧しき町を洗ひ去る  松瀬青々    せいせい

月天心つきてんしん貧しき町を通りけり  与謝蕪村よさ ぶそん

 

 

◎波の果

波はみななぎさつる晩夏ばんかかな  友岡子郷    しきょう

んで果つるほかなし秋の波  鈴木真砂女   まさじょ

 

 

◎そこら迄

すゞみがてら君を送らんそこらまで  正岡子規  しき

そこらまで団扇うちわ片手に送り出し  今井つる女

すずしさにふらりとゆかんそこらまで  会津八一   やいち

 

 

◎いつもの

ふるさとのいつもの場所の蠅叩はえたたき  齋藤朝比古

眼鏡めがね置くいつもの位置や去年今年こぞことし  能村のむら研三

元旦がんたんやいつもの道を母の家  星野立子

初電車はつでんしゃ待つといつもの位置に立つ  岡本眸     ひとみ

駅員はいつもの人や初詣はつもうで  清水良郎

 

 

◎お腹の子

吾妻あづまかの三日月みかづきほどの吾子あこやどすか  中村草田男   くさたお

ぐる胎児たいじ白桃はくとう程の重さ  有馬朗人ありま あきと

 

以上です