追記:頬冷た/2019.7.5
ペアリング47
◎空の成長
春浅し空また月をそだてそめ 久保田万太郎
水の上五月のわかきいなびかり 大野林火
◎体の川
濃姫の脚のあいだの春の川 中村安伸
やがてわが真中を通る雪解川 正木ゆう子
◎団地衰退
年寄の多き団地に花吹雪 ハードエッジ
楠若葉団地全棟全戸老ゆ 小川軽舟
◎開き具合
初夏に開く郵便切手ほどの窓 有馬朗人
迎火の門をたましひほどに開け 坊城俊樹
◎手順
縦に寝て横に手を伸べ昼寝人 岸本尚毅
手をあげて足を運べば阿波踊 岸風三楼
◎しんがりの夏
しんがりの菩薩は手ぶら練供養 中本真人
すててこや百鬼夜行のしんがりの 佐々木六戈
◎秋の金
金屏の金痩せにけり秋の風 小川軽舟
秋風か金閣の金掠め盗る 中原道夫
◎終止形
運動会ゴールの手足はたはたと ハードエッジ
スケートの両手ただよひつつ止まる 森賀まり
◎鼻冷た、頬冷た
手で顔を撫づれば鼻の冷たさよ 高濱虚子
手が冷た頬に当てれば頬冷た 波多野爽波
顔撫でゝ冷たき鼻をあたためぬ 高濱虚子
◎雌雄
雌の熊の皮やさしけれ雄とあれば 山口誓子
雌狐の尾が雄狐の首を抱く 橋本鶏二
百千鳥雌蕊雄蕊を囃すなり 飯田龍太
白梅の雄しべ紅梅の雄しべかな ハードエッジ
白梅の雄しべ紅梅の雌しべかな ハードエッジ
さて、どっち?
名月や雌松雄松の間より 正岡子規
以上です