追記:実生/2020.12.23、息白く/2020.8.15
ペアリング 35
◎前処理
行く春や土に隠せば宝物 山田露結
冬ざるるリボンかければ贈り物 波多野爽波
◎笛の担い手
仕る手に笛もなし古雛 松本たかし
芦の葉も笛仕る神の旅 高濱虚子
◎子抜き
桜餅子が寝て夫婦水入らず 西宮舞
白玉や子のなき夫をひとり占め 岡本眸
◎冷餅
冷たくてほのと色香や桜餅 ハードエッジ
美しき冷えをうぐひす餅といふ 岡本眸
◎鳥の声
夕空のなほかすかにもさへづれる 岸本尚毅
湖暮れて囀ばかり残りけり 佐藤郁良
烈風にきこゆるとなき雲雀かな 木下夕爾
◎どんな味
そら豆はまことに青き味したり 細見綾子
秋の風豆腐四角き味したり 小川軽舟
◎妻との会話
妻がゐて夜長を言へりさう思ふ 森澄雄
いたく降ると妻に語るや夜半の雪 高井几董
息白く妻が問ふよく寝ねしやと 日野草城
◎秋の水
行く秋の草にかくるる流れかな 加舎白雄
秋晴や草にかくれて潦 五十嵐播水
◎まとうもの
曼珠沙華月光のほか纏ふなし 三橋敏雄
冬菊のまとふはおのがひかりのみ 水原秋櫻子
◎木の実とどんぐり
蔕のあと白々とある木の実かな 西山泊雲
どんぐりを拾へば根あり冬日向 藺草慶子
落葉掃いてそこここにある実生かな 五十嵐播水
以上です