ペアリング36 人間は管より成れる日短 川崎展宏

追記:蜜柑選る/2019.12.14、羽化8句&菜の花の中8句/2019.11.28、花篝/2019.3.8
転出:1ペア/2020.4.1

ペアリング36

◎文字変身

かげろふと字にかくやうにかげろへる  富安風生とみやす ふうせい

あはゆきとひらがな書きに降るごとし  林翔はやし しょう

蛞蝓なめくじといふ字どこやら動き出す  後藤比奈夫  ひなお

 

 

◎天地の間

あかあかと天地のあい雛納ひなおさめ  宇佐美魚目う さ み  ぎょもく

赤々と天地の間の花篝はなかがり  ハードエッジ

天地あめつちの間にほろと時雨しぐれかな  高濱虚子たかはま きょし

 

 

◎水たまり

菜の花の中や大きな水たまり  岸本尚毅   なおき

  桜なら、
  花冷えの浅くひろがる水たまり  長谷川櫂はせがわ かい

末枯うらがれの原をちこちの水たまり  高濱虚子

 

 

◎菜の花の中

菜の花の中を浅間のけぶり哉 小林一茶    いっさ

菜の花の中に城あり郡山こおりやま 森川許六    きょりく

菜の花の中に川あり渡し舟 正岡子規  しき

菜の花の中に夕日の黄なるかな 正岡子規

菜の花の中へ大きな入日かな 夏目漱石    そうせき

菜の花の中に糞ひる飛脚哉ひきゃくかな 夏目漱石

菜の花の中に老いたる電車かな ハードエッジ

菜の花の中にまぎれてちょう羽化うか ハードエッジ

 

 

◎羽化

瓜人かじん先生羽化うかこのかたの大霞 能村登四郎のむら としろう

春月や羽化のはじまる草の中 高柳克弘

白や黄の粉も乾きぬちょうの羽化 ハードエッジ

羽化終へて蝶の不思議ふしぎのなくなりぬ ハードエッジ

入道雲にゅうどうぐもしづかに羽化のはじまれる 上野さち子

羽化のなきにんげんにして昼寝覚ひるねざめ 木内彰志きうち しょうし

羽化終へてこの世の色に油蝉あぶらぜみ 横井理恵

口寄くちよせのふるへる五体羽化はじまる 柿本多映  たえ

 

 

◎国語上達

さくらんぼと平仮名書けてさくらんぼ  富安風生

星祭とはまだ書けずおほしさま  ハードエッジ

 

 

◎人体構造

ひとみ元消化器なりし冬青空  攝津幸彦せっつ   

人間は管より成れる日短ひ みじか  川崎展宏    てんこう

  みみずだって、
  一管いっかんの肉の弾力蚯蚓みみず鳴く ハードエッジ

  なお、拙句は本歌取りです
  ねはんくみみずやゴムの身をくねり 上田五千石   ごせんごく

 

 

◎電線の任務と形状

電線がつなぐ電柱枯るる中  西東三鬼さいとう さんき

電線のたわみたわみの冬田かな  ハードエッジ

 

 

◎クリスマス準備

歌ひくく吾子ら聖夜の星つくる  能村登四郎のむら としろう

歌ひつつ聖夜にふらす雪つくる  ハードエッジ

クリスマスの少女唄ひて蜜柑選る 萩原麦草はぎわら ばくそう

 

 

◎不使用

茶の花や母の形見を着ず捨てず  大石悦子 

年越としこしや使はず捨てず火消壷ひけしつぼ  草間時彦

 

 

◎東西南北

西ふけば東にたまる落葉かな  与謝蕪村よさ ぶそん

北吹けば南へかしぐ冬日かな  ハードエッジ

北吹けば南に抜ける隙間風すきまかぜ  ハードエッジ

参考句:
くほどは風がくれたる落葉哉  小林一茶   いっさ
焚くほどは風がもてくる落葉かな  良寛りょうかん

以上です