和語俳句 【て】 死螢に照らしをかける螢かな 永田耕衣

新設/2018.2.5
◎和語俳句、た行の「て」です
→「た」
→「ち」
→「つ」
→「と」

◎照る=てる

鉄道員雨の杉菜を照らしゆく  福田甲子雄きねお

べたべたに田も菜の花も照りみだる  水原秋櫻子しゅうおうし

桑の葉の照るにへゆく帰省きせいかな  水原秋櫻子

深川のかんかん照りの祭かな  大木あまり
  かんかん照りであればこそ、
  「さあ、ぶっ掛けてくんな」の水掛け祭です

  「かんかん」は、お囃子の鉦も連想させますが、
  実際は、
  笛(ホイッスル)や太鼓が聞こえてきます

  さあ、「わっしょい、わっしょい」
  →深川祭/ggl画像
  →深川祭/ggl動画

死螢に照らしをかける螢かな  永田耕衣こうい
  死者であればこそ、
  「照らしをかける」のシュール感が似合います

  個人的には、
  実景というより、
  流線型の宇宙船を想像しました

  昔々のハヤカワポケットSF(翻訳もの)の、
  それも、裏表紙の片隅にあった、
  原作本の表紙の単色カラー写真に、
  そんなイメージがあったような、なかったような、、、

 

行く秋や朝を照らせる常夜灯じょうやとう  岡田一実
  季節の変り目と、
  夜から昼への変り目の二重構造です

  長き夜を一晩中、照らし続けていた常夜灯が、
  間もなく消えようとしています

  しかし、
  消えるとは書きません

  健気に、まだ照らし続けているのです
  元より、太刀打ちできない、
  「朝」を照らしているのです
  具体物ではない「朝」です

  力と力の対決というより、
  もっと静かに、もっと秘かに、
  これぞ、秋深き無常感に他なりません

  同じ頃、虫の音も聞こえてきます
  あかつきよいよりさびし鉦叩かねたたき  星野立子

  昼から夜への二重構造なら、
  ゆく年が今ゆふやけてゐるところ  ハードエッジ

照れば金日かげれば銀すすきかな  下村梅子

鉄道草赤い夕日に照らされて  川崎展宏てんこう

末枯うらがれは照らされ海はまつくらな  岸本尚毅なおき

以上です