追記:花街・薬局/2021.3.13、おでん屋/2021.1.19、雪の墓/2020.12.23
削除:1句/2020.12.23
ペア82
◎笛と鈴
鈴に入る玉こそよけれ春のくれ 三橋敏雄
冬晴や玉一つ入る呼子笛 小川軽舟
◎閉店時間
ゆく春やけふも花屋の早仕舞 久保田万太郎
豆腐屋の早寝早起き冷奴 ハードエッジ
豆腐屋の早寝につもる夜の雪 関成美
おでん屋が明日の試合に早仕舞 ハードエッジ
◎靴を脱ぐ
靴脱いで蹠さびしき涼み舟 舘岡沙緻
靴脱げば足裏おどろく秋の風 正木ゆう子
◎すっぱり、ざっくり
筍の腰の辺りをすつぱりと ハードエッジ
すつぱりと葉先は落す新生姜 嶋田麻紀
鍬の跡ざつくりとあり衣被 長谷川櫂
ざつくりと割れたるものを闇汁に 岸本尚毅
◎湯と石
湯あみせし如く句碑あり緑蔭に 星野立子
てんでんに温泉に浸かるごと雪の墓 恩田侑布子
◎蓑虫がなく
秋蝉も泣き蓑虫も泣くのみぞ 高濱虚子
蓑虫の父よと鳴きて母もなし 高濱虚子
蚯蚓鳴けば蓑虫もなく夕哉 正岡子規
◎商売の灯
花街に灯る薬屋春の雨 小川軽舟
薬局の灯の商へる避暑名残 行方克巳
菊の香や花屋が灯むせぶ程 炭太祇
店の灯の明るさに買ふ風邪薬 日野草城
◎通行止
轍伸ぶ通行止の雪の先 抜井諒一
これよりは通行止めと雪に灯す 前北かおる
通行を遮断聖夜の道路工 鷹羽狩行
◎地球の中心
この星のはらわたは鉄冬あたたか 正木ゆう子
地の底の燃ゆるを思へ去年今年 桂信子
◎炬燵との距離
本箱に手の届かざる炬燵かな 会津八一
厠まで遠しと思ふ炬燵かな 佐藤郁良
以上です