追記:ストーブ/2021.3.25、桜餅/2020.8.12、夜食/2020.1.20
ペアリング46
◎顔面ダメッジ
春一番来し顔なればまとまらず 伊藤白潮
颱風に目鼻飛ばして歩きをり 上野泰
ストーブに貌が崩れていくやうな 岩淵喜代子
◎川と海
海に入ることを急がず春の川 富安風生
海に出てしばらく赤し雪解川 三橋敏雄
◎黒猫
黒猫の這入りそれきり春の闇 鳴戸奈菜
黒猫の影も黒ねこ日の盛 牛田修嗣
◎形無し
草餅を頬ばりし時目が会ひぬ 星野立子
つづけざまに嚏して威儀くづれけり 高濱虚子
ほほばれるかほを見あひて夜食かな 森川暁水
◎首傾げ
畦塗るや首をかしげて懇に 高濱虚子
かしこげに首を傾げて子猫かな 長谷川櫂
首かしげおのれついばみ寒鴉 西東三鬼
◎食われるもの
時同じく鼠の子猫の子が育つ 右城暮石
蛇の夢蛙の夢や春を待つ ハードエッジ
◎簡略化
白魚のさかなたること略しけり 中原道夫
形代として省略を尽したる 後藤比奈夫
◎昨日の雨
椿落ちて昨日の雨をこぼしけり 与謝蕪村
嘘のやうに晴れて花見の水たまり ハードエッジ
石段に昨日の雨や七五三 ハードエッジ
道の上にきのふの雨の氷りけり 今井杏太郎
節分やきのふの雨の水たまり 久保田万太郎
◎時の流れ
茅の輪とれ神の月日も亦迅し 伊藤柏翠
松過ぎの又も光陰矢の如く 高濱虚子
◎人の話
竈猫人の話を聞いてをる 富安風生
蜜柑むき大人の話聞いてゐる 西村和子
桜餅大人の話聞いてゐる 柏柳明子
以上です