◎春
腸に春滴るや粥の味 夏目漱石
◎夏
腸のようもくさらぬ暑さ哉 尾崎紅葉
大仏にはらわたのなき涼しさよ 正岡子規
すゝしさの腸にまで通りけり 正岡子規
噴水にはらわたの無き明るさよ 橋閒石
ゼンマイは椅子のはらわた黴の宿 山口青邨
◎秋
腸も老いてぶつぶつ秋に入る 川崎展宏
はらわたの熱きを恃み鳥渡る 宮坂静生
腸に秋のしみたる熟柿哉 各務支考
◎冬
この星のはらわたは鉄冬あたたか 正木ゆう子
凍鶴を腸冷ゆるまで見てゐたり 能村登四郎
◎無季
木を割くや木にはらわたといふはなき 日野草城