追記:内臓/2022.2.4、蝉の穴・大晦日/2021.1.30、蜜柑選る/2019.12.14、羽化8句&菜の花の中8句/2019.11.28、花篝/2019.3.8
転出:1ペア/2020.4.1
ペアリング36
◎文字変身
かげろふと字にかくやうにかげろへる 富安風生
あはゆきとひらがな書きに降るごとし 林翔
蛞蝓といふ字どこやら動き出す 後藤比奈夫
◎天地の間
あかあかと天地の間の雛納 宇佐美魚目
赤々と天地の間の花篝 ハードエッジ
天地の間にほろと時雨かな 高濱虚子
◎水たまり
菜の花の中や大きな水たまり 岸本尚毅
桜なら、
花冷えの浅くひろがる水たまり 長谷川櫂
末枯の原をちこちの水たまり 高濱虚子
◎菜の花の中
菜の花の中を浅間のけぶり哉 小林一茶
菜の花の中に城あり郡山 森川許六
菜の花の中に川あり渡し舟 正岡子規
菜の花の中に夕日の黄なるかな 正岡子規
菜の花の中へ大きな入日かな 夏目漱石
菜の花の中に糞ひる飛脚哉 夏目漱石
菜の花の中に老いたる電車かな ハードエッジ
菜の花の中に紛れて蝶の羽化 ハードエッジ
◎羽化
瓜人先生羽化このかたの大霞 能村登四郎
春月や羽化のはじまる草の中 高柳克弘
白や黄の粉も乾きぬ蝶の羽化 ハードエッジ
羽化終へて蝶の不思議のなくなりぬ ハードエッジ
入道雲しづかに羽化のはじまれる 上野さち子
羽化のなきにんげんにして昼寝覚 木内彰志
羽化終へてこの世の色に油蝉 横井理恵
羽化の蝉飛んで風化の蝉の穴 ハードエッジ
調ひて羽化待つ如し大晦日 鎌田保子
口寄のふるへる五体羽化はじまる 柿本多映
◎国語上達
さくらんぼと平仮名書けてさくらんぼ 富安風生
星祭とはまだ書けずおほしさま ハードエッジ
◎人体構造
ひとみ元消化器なりし冬青空 攝津幸彦
人間は管より成れる日短 川崎展宏
みみずだって、
一管の肉の弾力蚯蚓鳴く ハードエッジ
なお、拙句は本歌取りです
ねはん哭くみみずやゴムの身をくねり 上田五千石
天の川内臓すべてつながれる 小澤實
◎電線の任務と形状
電線がつなぐ電柱枯るる中 西東三鬼
電線のたわみたわみの冬田かな ハードエッジ
◎クリスマス準備
歌ひくく吾子ら聖夜の星つくる 能村登四郎
歌ひつつ聖夜にふらす雪つくる ハードエッジ
クリスマスの少女唄ひて蜜柑選る 萩原麦草
◎不使用
茶の花や母の形見を着ず捨てず 大石悦子
年越や使はず捨てず火消壷 草間時彦
◎東西南北
西ふけば東にたまる落葉かな 与謝蕪村
北吹けば南へ傾ぐ冬日かな ハードエッジ
北吹けば南に抜ける隙間風 ハードエッジ
参考句:
焚くほどは風がくれたる落葉哉 小林一茶
焚くほどは風がもてくる落葉かな 良寛
以上です