開発素句報 2025-03 実も種も白き胡瓜のみどり色

開発素句報 2025-03 「実も種も」暑中見舞号

◎葉書俳句

◎テキスト

滝といふ長く引き伸ばされし水 ハードエッジ

引き伸:
手の皺を引きのばし見る火鉢哉 正岡子規

弾除たまよけのごと日傘ひがさを差してゆく ハードエッジ

別案:
土砂降りの日差しを弾く白日傘 ハードエッジ

元ネタ:ニャロメさん:
真夏の日光って言うなれば「土砂降りの日差し」なんだから

ドア開けてビルがき出すしずしさよ ハードエッジ

吐き出:
多喜二忌や水を吐き出す船の胴 若井新一
鐘打つて婆ら吐き出す涅槃寺 関戸靖子

炎昼へバスよりぞ吐き出されたる 木下夕爾
ジェット機をぷつと吐き出し雲の峰 大塚次郎
庭先に亀の吐き出す清水哉 正岡子規
叩かれて毛虫吐き出す庭木かな ハードエッジ
メデューサの蛇の吐き出す二枚舌 ハードエッジ

どろどろと鰯吐き出す輸送管 南うみを
桃の夜に真つ赤な種を吐き出せり ハードエッジ
葡萄の種吐き出して事を決しけり 高濱虚子
けむり茸踏めばけむりを吐き出せる 滝沢伊代次

噴水のつらら吐き出す鶴の口 村上辰良

実も種も白き胡瓜きゅうりのみどり色 ハードエッジ

実と種:
行く秋の実を柔かに種硬し ハードエッジ
草の花やがて草の実草の種 ハードエッジ
裂けそめし種の力や椿の実 季発
綿の実を握りて種にゆき当たる 岩淵喜代子
棉の実に種あり曰く言ひがたし 正木ゆう子
柿の実の隙間に種の平べつた ハードエッジ

空想科学小説内のゼリーゆ ハードエッジ

空想:
空想の楽しき虜ハンモック 森田峠
空想は翼を得たり毛糸編む 嶋田摩耶子
根つからの空想好きの懐手 上田日差子
空想が深み深みへ懐手 能村研三

日時計にお疲れ様と夕立ゆだち来る ハードエッジ

お疲れ:
空蝉をお疲れさまと剥がすなり 鈴木鷹夫

ビアガーデンとは屋上の宇宙船 ハードエッジ

宇宙船:
宇宙船地球号梅雨前線へ ハードエッジ
宇宙船凍つライカ犬乗せしまま 池田瑠那
隙間風入るを許さず宇宙船 ハードエッジ
宇宙船船外作業着膨れて ハードエッジ
宇宙船きさうな夜の焚火かな 大木あまり

◎初案7句

制作順:
滝といふ長く引き伸ばされしもの ハードエッジ
ビルの入口冷房の冷気出づ ハードエッジ
日時計の影のからくり炎天下 ハードエッジ
サイエンス・フィクションを読むゼリーかな ハードエッジ
土砂降りの日差し眩しや傘をさす ハードエッジ
孤島にはあらず大きなビヤホール ハードエッジ
実も種も白き胡瓜のみどり色 ハードエッジ

◎推敲句一覧/pdf

全68句/1枚

開発素句報 2025-03 推敲句一覧

◎A4/葉書推敲 原稿/pdf

全2枚

開発素句報 2025-03 暑中 A4推敲 原稿

◎A4/葉書推敲 加筆/pdf

全2枚

開発素句報 2025-03 暑中 A4推敲 推敲

◎葉書推敲 原稿/pdf

全8枚

開発素句報 2025-03 暑中 葉書推敲 原稿

◎葉書推敲 加筆/pdf

全8枚

開発素句報 2025-03 暑中 葉書推敲 推敲

◎葉書俳句表側

以上です