全然堂歳時記 夏の部
【新茶】しんちゃ
全然堂歳時記=現在、本号を含め114記事=春夏秋冬–年末年始=32-26-23-21–5-7
/2025.6.11
子季語:古茶
目次
◎葉書俳句
◎テキスト
日本に新茶の五月来りけり ハードエッジ
五月来/末尾コード順:
汗ばめる母美しき五月来ぬ 中村汀女
カフェラテの冷めてもうまき五月来ぬ ハードエッジ
わがつけし傷に樹脂噴く五月来ぬ 木下夕爾
ざぶざぶと水が精出す五月来ぬ 川名将義
そよ風に髪そよがせて五月来ぬ ハードエッジ
八つ手の実黒く地に踏む五月来ぬ 松村蒼石
水筒のうちの鏡や五月来ぬ 千野千佳
風の木と書いて楓や五月来ぬ 村上鞆彦
窓に腰かけて山あり五月来ぬ 岸風三楼
子の髪の風に流るる五月来ぬ 大野林火
君逝きし世界に五月来たりけり 池田瑠那
挨拶の楽しき五月来りけり ハードエッジ
チョコレートの分厚き五月来りけり ハードエッジ
よき友の来るごと五月来りけり 中塚健太
暮れ際の紫紺の五月来りけり 森澄雄
五月来ぬ肩組むことを吾子もする 加倉井秋を
湯上りの爪やはらかく五月来る 北大路翼
習作と言ひしが遺作五月来る 今井聖
笑ふ嬰に飯粒の一歯五月来る 奈良文夫
五月来る夜空の色のインク壺 成田千空
うつすらと汗かくころの新茶かな ハードエッジ
うつすら:
うつすらと空気をふくみ種袋 津川絵理子
雛菓子のうつすら砂糖着てをりぬ 江渡華子
新緑や歯形うつすらリコーダー 小川春休
うつすらと埃うかべて水澄めり 若井新一
温室のうつすら濁る夜なりけり 櫂未知子
新茶なり若く幼き葉を摘んで ハードエッジ
新茶とは葉の面影の無き緑 ハードエッジ
面影:
さういへば去年の子猫の面影が ハードエッジ
花筏面影橋にさしかかる 加藤静夫
面影も失するばかりに夏やつれ 日野草城
梅干して玉の面影なかりけり ハードエッジ
少年に母の面影白絣 長谷川櫂
露草を面影にして恋ふるかな 高濱虚子
襷して新茶娘が駅頭に ハードエッジ
襷:
佐保姫も襷かけゝん草の餅 尾崎紅葉
美しき人や蚕飼の玉襷 高濱虚子
富士に見せむと茶摘女の紅襷 鷹羽狩行
襷かけしまゝのひるねをあはれめり 久保田万太郎
襷とりながら案内や避暑の宿 高濱虚子
縁にかけ襷を膝に雁あふぐ 橋本鶏二
墨染の衣に襷大根掛け ハードエッジ
必は心にたすき龍の玉 ハードエッジ
母たすき娘エプロン年用意 ハードエッジ
かりそめの襷かけたる春著かな 久保田万太郎
送るてふ新茶を待つてゐる釘煮 ハードエッジ
待つてゐ:
土筆煮て夜の到来を待つてゐる 中原道夫
お迎へを待つてゐる子のチューリップ ハードエッジ
金魚ゆらゆら母船を待つてゐるやうな ハードエッジ
いまに鳴る添水を待つてゐるしじま 三須虹秋
草に座し花火を待つてゐるところ ハードエッジ
湯加減を塩梅申す新茶殿 ハードエッジ
滴滴と分くるも楽し新茶注ぐ ハードエッジ
滴々:
滴々の新茶のしづく稿進む ハードエッジ
滴々と天の滴り流れ星 ハードエッジ
滴滴と糸瓜の水も子規忌かな ハードエッジ
滴々と濾過の雫や去年今年 ハードエッジ
滴々と刻の漏れゆく去年今年 上田五千石
豆飯を食ふや新茶もごくごくと ハードエッジ
ごくごく:
ごくごくと麦茶の旨き昼寝覚 ハードエッジ
百日紅ごくごく水を呑むばかり 石田波郷
火事明り寡婦ごくごくと水を飲む 寺山修司
山葵漬なめて新茶をいれかへて ハードエッジ
山葵漬:
ほろほろと泣き合ふ尼や山葵漬 高濱虚子
葉も茎も花も刻みて山葵漬 長谷川櫂
混沌を丸く詰めたる山葵漬 中原道夫
羊羹も沢庵も合ふ新茶なり ハードエッジ
羊羹:
朧の夜羊羹黒き長四角 中戸川朝人
花曇り厚く羊羹切りにけり 若杉朋哉
漆黒の羊羹に散るさくらかな 金子敦
羊羹の甘きを好む新茶かな 正岡子規
ゼリー明るく羊羹暗く盆の家 正木ゆう子
羊羹と栗の出会ひを祝福す ハードエッジ
羊羹や金象嵌の栗ふたつ 日野草城
しぐるゝや羊羹切つて茶を淹れる 吉屋信子
羊羹の高きを買はむ年の暮 永井荷風
チェスならば紅茶、将棋に汲む新茶 ハードエッジ
将棋:
雛の間に将棋をさしてをりにけり 望月周
緑蔭に自転車止めて賭将棋 吉屋信子
長き夜をたゝる将棋の一ト手哉 幸田露伴
ぽつと出の新茶ばかりが褒めらるる ハードエッジ
ぽつと:
春暁やぽつと点りし炊飯器 ハードエッジ
わたくしがぽつと点りぬ春夕焼 ふけとしこ
苗代にぽつと灯りし婚の家 長田等
ぽつとある注射の跡や秋の暮 森賀まり
雪達磨肩に金星ぽつと点く 鷹羽狩行
コチャといふ音も愛しや古茶淹るる ハードエッジ
愛しや:
不器量の小ねこいとしや掌 久保より江
わが焚ける焚火いとしや日短 山口青邨
音たてぬ家霊いとしや冬の月 池田澄子
玉子とも書いて愛しや寒卵 ハードエッジ
肢のみは赤くいとしや撃たれ鴨 山口青邨
ことと置く軽くて小さき古茶の缶 ハードエッジ
軽小:
小包の軽さよ出でゝ来し若布 星野立子
代馬は大きく津軽富士小さし 高濱虚子
小包の大きく軽く夏燕 正木ゆう子
旅鞄小さく軽し秋の蝶 阿部みどり女
秋茄子の小さく軽く硬くかな ハードエッジ
若きらに道を譲りて古茶啜る ハードエッジ
若きら:
若きらが自ら歌ふ卒業歌 ハードエッジ
若きらの揃ひの浴衣背まちまち ハードエッジ
八月や若きらにもう怒り失せ 鎌田保子
浮寝鴨若きらは水走るなり 石田波郷
古茶を淹れ古書の山にも手を伸ばし ハードエッジ
古書の山:
百卷の古書の山こえ春は來ぬ 正岡子規
古書の山笑ふと思う笑はずや ハードエッジ
古書の山天井の空や冬籠 籾山柑子
御僧と古茶を啜りぬ昼の雨 ハードエッジ
心して古茶の別れを惜しむべし ハードエッジ
夏は新茶、冬は蜜柑よ富士を見て ハードエッジ
◎初案20句
送るてふ新茶待たるる釘煮かな ハードエッジ
豆飯を食ふや新茶もごくごくと ハードエッジ
自づから色に出でたる古茶新茶 ハードエッジ
山葵漬摘みつつ汲む新茶かな ハードエッジ
汗ばむと云ふにあらねど新茶かな ハードエッジ
滴滴の新茶のしづく夜も更けて ハードエッジ
ことと鳴る軽く小さき古茶の缶 ハードエッジ
襷して新茶娘や駅前に ハードエッジ
心して今宵限りの古茶を淹れ ハードエッジ
古茶といふ音の響きも良からずや ハードエッジ
熱湯に言ひ聞かせては新茶汲む ハードエッジ
新茶の葉葉の面影はなけれども ハードエッジ
チェスは立ち将棋は伏せて松の内 ハードエッジ
若葉して哀れ摘まるる新茶かな ハードエッジ
古茶を啜り古書の山にも手を伸ばし ハードエッジ
長幼の序を大切に古茶新茶 ハードエッジ
禅僧と古茶を啜りて松の風 ハードエッジ
冬は蜜柑夏は新茶を賜りぬ ハードエッジ
若きらに道を譲りて古茶新茶 ハードエッジ
煎餅も羊羹も良き新茶かな ハードエッジ
◎推敲句一覧/pdf
全180句/3枚
全然堂歳時記 夏 【新茶】 推敲一覧◎A4推敲 原稿/pdf
全2枚
全然堂歳時記 夏 【新茶】A4推敲 原稿◎A4推敲 加筆/pdf
全2枚
全然堂歳時記 夏 【新茶】A4推敲 加筆◎葉書推敲 原稿/pdf
全5枚
全然堂歳時記 夏 【新茶】葉書推敲 原稿◎葉書推敲 加筆/pdf
全6枚
全然堂歳時記 夏 【新茶】葉書推敲 加筆◎葉書俳句秀句&注釈面
◎データベース画面/桐v10
◎新茶秀句
◎未練句/補遺/在庫処理
以上です