俳壇賞 2024
プランC「多段式」30句
落選作
目次
◎葉書俳句
※郵送分の日付印字が「2月11日」だったらしい、ご容赦
◎テキスト
春
城下町門前町や桜餅 ハードエッジ
城下町:
城下町とは町中に春の水 ハードエッジ
雪残りつつ水ぬるむ城下町 京極杞陽
水打てば御城下町の匂かな 芥川龍之介
若葉して水清らかに城下町 ハードエッジ
花菖蒲それは小さな城下町 ハードエッジ
漸寒や一万石の城下町 高濱虚子
秋の雲お城があつて城下町 ハードエッジ
羽目板を反らす秋日の城下町 鍵和田秞子
城下町には白無垢の雪達磨 ハードエッジ
鴨食べる聖夜のくらき城下町 岩淵喜代子
お降りに早も真白き城下町 ハードエッジ
門前町:
山積に門前町のアロハシャツ 鈴木良戈
水音の門前町の夜寒かな 星野椿
数へ日の燈惜みの門前町 上田五千石
初不動門前町の鰻の香 片山桃弓
種蒔いて水撒いて草餅も食うて ハードエッジ
種蒔:
お城から見るや種蒔く三十里 正岡子規
種蒔や妻も子も出て野弁当 正岡子規
一人来て種蒔くまでの畦往来 高野素十
種蒔ける者の足あと洽しや 中村草田男
けぶりほど母の形見の種蒔けり 伊藤白潮
種蒔けば芽が出て妻をおどろかす 長谷川双魚
種蒔けり愉したくはへあるごとく 成瀬櫻桃子
白き種黒き種蒔く月日かな 櫛原希伊子
種蒔くや花壇の隅の石小石 ハードエッジ
種蒔くや二色の土を混ぜ合せ ハードエッジ
蜜蜂と共に旅から旅へかな ハードエッジ
移動養蜂
蜂と旅:
旅人のごとく足長蜂の行く 村松紅花
石鹸玉性善説を広めよう ハードエッジ
作ってはみたけれど、、、
麗かや競馬なき日の競馬場 ハードエッジ
競馬:
つばめには縦横の天競馬場 平畑静塔
鴨のこる池が真中競馬場 飯島晴子
競馬にも古典ありけり駆け抜ける ハードエッジ
コスモスに雨降つてゐる競馬かな 上田信治
はつゆきを競馬新聞にて避ける すずきみのる
夏
花は葉に学校に友得たりけり ハードエッジ
駄作
西の空炎帝がまだこちら向き ハードエッジ
西の空:
八月の吐息の残る西の空 川崎展宏
老若の老の清しき夏期講座 ハードエッジ
老若:
身に入むや星に老若ある話 蓬田紀枝子
落葉踏む音に老若なかりけり ハードエッジ
水音の激しきプール開きかな ハードエッジ
水音:
春風や土手は水音馬の鈴 正岡子規
つばくらに水音高く濯ぎけり 日野草城
水音もまた梅の香をくぐり来る 山田弘子
帯とけば涼しくなりぬ水音も 星野立子
水音の縞の浴衣でありにけり ハードエッジ
水音に色あれば銀花山葵 原田青児
水音と即かず離れず紅葉狩 後藤比奈夫
どことなく水音のして盆の町 岡本眸
古池に水音もなし厚氷 ハードエッジ
水音の縷々と通へり枯るる中 清崎敏郎
元日の水音闇をはばからず 飯田龍太
夕立に島々消ゆる船の旅 ハードエッジ
船の旅:
朝寝にも飽きて早起き船の旅 ハードエッジ
船の旅積乱雲も見飽きたり ハードエッジ
夕焼も日々平凡に船の旅 ハードエッジ
船の旅バナナの皮は海へ投ぐ ハードエッジ
秋
真つ暗な回送電車天の川 ハードエッジ
回送:
龍天へ回送電車くらやみへ 三宅やよい
回送のバス涼しげに走り去る 中本真人
おでんの香乗せて回送電車なり ハードエッジ
澄み渡る酸素と窒素秋の空 ハードエッジ
酸素:
下萌にどすんと酸素ボンベかな 金子敦
若葉して光合成の酸素湧く ハードエッジ
秋ははて酸素ぶくぶく水族館 櫂未知子
造船所寒燈も酸素の火も裸 西東三鬼
燃やせるごみ専用袋露に濡れ ハードエッジ
燃やせる:
海の家が箸を燃やせる日暮かな ハードエッジ
薔薇園に何を燃やせる煙かな ハードエッジ
身をよぢる恋の話や蚯蚓鳴く ハードエッジ
身を捩:
山は身をよぢらんばかり芽吹きける ふけとしこ
紅葉中身をよぢりては滝落す 清崎敏郎
木枯や身を捩りたる藤の幹 南うみを
冷水は老人のもの敬老日 ハードエッジ
老人/老人の日を除く:
老人に混じりてうたふ春が来た 北村保
老人に花の朝寝と云ふがあり ハードエッジ
ぶらんこの白い老人ホームかな 後閑達雄
老人の首にタオルや鶏合 小澤實
老人の跣の指のまばらかな 阿波野青畝
大男なる老人の祭笛 ハードエッジ
戦争を知らぬ老人青芒 岸本尚毅
残暑とはショートパンツの老人よ 星野立子
老人のおくれて踊るあはれなり 京極杞陽
生きてゐるうちは老人雁わたし 八田木枯
老人を一掃すべく寒の来し 相生垣瓜人
眺めゐる老人もまた初景色 黛執
秘かなる鼓動と呼吸秋の夜 ハードエッジ
鼓動:
野火果ててふたつの鼓動だけの夜 櫂未知子
囀の胸の鼓動も聞くべかり ハードエッジ
点滅は胸の鼓動よ恋蛍 大野利江
心臓の鼓動石榴の赤い粒 ハードエッジ
流星の豊かなる夜をエアメール ハードエッジ
エアメール:
エアメールサンタの橇に追ひ越され ハードエッジ
冬
しぐるるや灯しごろのジャンクション ハードエッジ
春バージョン:
春立つや太くもつるるジャンクション ハードエッジ
初雪の雨に消さるるまでを見て ハードエッジ
雨に消:
囀や雨に高まり雨に消ゆ 小川軽舟
明け方の霧雨に消え濃紫陽花 ハードエッジ
牛も知ってる、 (^_^;;;
The Cowsills – The Rain, The Park & Other Things(雨に消えた初恋)
木枯の吹き来る方へ離陸せり ハードエッジ
離陸:
春休み玩具の汽車が離陸する 高梨章
夕焼をつみ残したる離陸かな 佐川初江
また一つ離陸の灯あり大晦日 ハードエッジ
離陸して空の彼方へ去年今年 ハードエッジ
月見ヶ丘海浜公園寒月下 ハードエッジ
公園:
公園のトイレが立派春うららか 仲寒蟬
春昼や公園もあるガスタンク ハードエッジ
紅白に城址公園梅祭 ハードエッジ
公園の雨に濡れたるさくらかな 今井杏太郎
公園に木の椅子乾く薄暑かな ハードエッジ
公園に地元の赤子風薫る ハードエッジ
公園の土、砂、小石梅雨晴間 ハードエッジ
草刈つてあとを眺めて公園課 内田美紗
公園の掃除女の更衣 鈴鹿野風呂
公園に夜のブランコ夜の蟻 ハードエッジ
暖房に日比谷公園みゆるかな 久保田万太郎
公園のベンチに小さき雪だるま ハードエッジ
鹿がゐて奈良公園のクリスマス ハードエッジ
公園の冬木の瘤の日曜日 木下夕爾
公園に灯の点き初めし大晦日 ハードエッジ
白鳥の腸重く着水す ハードエッジ
着水:
けばだちをきはめ軽鳧のこ着水す しなだしん
着水のあとは音なき浮寝鳥 小池康生
着水の鴨もしぶきも前のめり 手塚美佐
着水の水鳥水を疑わず 大塚迷路
どけどけと大白鳥の着水す 行方克巳
着水のとき白鳥の開花かな 櫂未知子
年末
鬱憤とうつふん並ぶ年忘 ハードエッジ
信じられない駄作
新年
多段式ロケットのごと年新た ハードエッジ
ロケット:
ロケットの先端にある愁思かな 山田露結
初夢にあふ誰かれの懐しき ハードエッジ
誰彼:
誰彼の声聞き分けて朝寝かな 河村紫山
誰彼の誰彼も逝き虚子忌かな 高田風人子
誰彼の亡き傘雨忌でありしかな 鈴木真砂女
一年で誰彼消ゆる盆踊 ハードエッジ
吊革の誰彼の目の遠花火 相子智恵
縄飛に亡き誰彼を呼び込まむ 伊藤伊那男
誰かれに頭叩かれ雪達磨 高倉和子
たれかれに便り書かばや年惜む 石橋秀野
誰彼がかれこれいふて年暮るる 会津八一
ガスの火を電気に替へて初厨 ハードエッジ
単なる報告句
ガスコンロをIHヒーターに替えました/2024年
乗らず見る山裾をぬふ初電車 ハードエッジ
山裾:
山裾の雪や氷や春の水 ハードエッジ
山裾や草の中なる落し角 高濱虚子
流星や火の山裾に灯の撒かれ 渡邊千枝子
千年の秋の山裾善光寺 高濱虚子
山裾の錆びし鉄路や柿熟るる 岩谷照子
山裾に雨脚さはるしぐれかな 中田剛
月の出や石炭殻山裾に葱育て 友岡子郷
寝積むという正月の隠し玉/誤入力 ハードエッジ
ああ、痛恨のミス
「という」→「といふ」
制作日時:2024/ 9/30 18: 2:23.788
さあ、早く郵便局行かなきゃ、で焦ってた
冬
雪折の見事な枝を生けてある ハードエッジ
見事:
ひともとのそれは見事な梅屋敷 ハードエッジ
名は櫻物の見事に散る事よ 夏目漱石
裏切者それは見事に日焼けして 鈴木六林男
空蝉やいのち見事に抜けゐたり 片山由美子
秋草の中や見事に甕割れて 波多野爽波
菊見事死ぬときは出来るだけ楽に 日野草城
本日休診懸崖菊が見事に垂れ 斉田仁
落ち熟柿ものの見事につぶれたる 右城暮石
春着の子見事に転ぶ雪の上 ハードエッジ
大寒の大根おろし卵焼 ハードエッジ
大根おろし:
新涼の大根おろし山なりに 能村登四郎
屹と立つ大根おろし鳥渡る 秋元不死男
はつしぐれ大根おろしに甘味かな 大野林火
大根おろしにほのかなるみどりいろ 小澤實
うすみどり大根おろしたまり来る 篠原梵
◎初案50句
うららかや競馬なき日の競馬場 ハードエッジ
石鹸玉性善説を広めよと ハードエッジ
城下町門前町や桜餅 ハードエッジ
種蒔いて水撒いて草餅も食うて ハードエッジ
蜜蜂と共に旅する人、、、 ハードエッジ
炎帝は西の館に長居して ハードエッジ
夕立に島々消ゆる船の旅 ハードエッジ
君付けもさん付けも夏期講座かな ハードエッジ
水音の激しきプール開きかな ハードエッジ
学校に新しき友花は葉に ハードエッジ
おのづから鼓動と呼吸秋の夜 ハードエッジ
大空の酸素と窒素春の雪 ハードエッジ
燃えるゴミに帽子ありけり秋の暮 ハードエッジ
行く春や空に消えゆくエアメール ハードエッジ
真つ暗な回送電車天の川 ハードエッジ
冷水は老人のもの敬老日 ハードエッジ
純粋の肉声として蚯蚓鳴く ハードエッジ
大寒の甘く黄色く卵焼 ハードエッジ
月見ヶ丘海浜公園寒月下 ハードエッジ
木枯の吹き来る方へ離陸かな ハードエッジ
木枯や曲り集まるジャンクション ハードエッジ
初雪を半日で消す真夜の雨 ハードエッジ
腸の重たさうなる白鳥が ハードエッジ
雪折の見事な枝を生けてある ハードエッジ
うつぷんはうつふんに似る四月馬鹿 ハードエッジ
多段式ロケットのごと年新た ハードエッジ
楽しさをさらに重ねて寝積まむ ハードエッジ
乗らず見る山裾をぬふ初電車 ハードエッジ
初夢に会ふ誰彼の懐しく ハードエッジ
ガスの火のなくて電気の初厨 ハードエッジ
◎推敲句一覧/pdf
最終稿とその推敲分を記載
全146句/4枚
俳壇賞 2024 プランC 推敲句一覧
◎A4推敲 原稿/pdf
全12枚
俳壇賞2024 プランC A4推敲 原稿
◎A4推敲 加筆/pdf
全12枚
俳壇賞2024 プランC A4推敲 加筆
◎葉書俳句表側
◎データベース画面/桐v10
◎落選葉書一覧リンク
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