開発素句報 2021-02
こりごり/暑中見舞
◎葉書俳句
◎テキスト
紫陽花の彼方にかかる虹の橋 ハードエッジ
虹の橋:
大川や橋の上にまた虹の橋 山口青邨
虹の橋この世のいづこにも触れず 和田知子
多摩川に虹の橋立つ出初かな 猿渡律子
虹の橋自作:
虹の橋いくつ消えたる鳰の海 ハードエッジ
白塗りの特急電車虹の橋 ハードエッジ
桜貝よりも色濃し蓮の花 ハードエッジ
色濃:
草餅の色濃きを食み雨ごもり 岡本眸
さくらより少し色濃し桜餅 森澄雄
入学や色濃き土のやはらかく 今泉礼奈
色濃 自作:
春雪に道は色濃く水浸し ハードエッジ
雪解の土の色濃し蕗の薹 ハードエッジ
雲の峰よりも色濃しマヨネーズ ハードエッジ
枝よりも色濃くなりぬ鵙の贄 ハードエッジ
冬の日の色濃くあれど温もらず ハードエッジ
痩せ痩せて色濃くなりぬ干大根 ハードエッジ
八方へシャワー打ち出す畑かな ハードエッジ
八方:
雲の峰八方焦土とはなりぬ 加藤楸邨
八方へゆきたし青田の中に立つ 橋本多佳子
八方に揺れて青田になるところ 恩田侑布子
八方へ蛙跳ぶ草引きにけり 南うみを
滝はもうこりごりと水流れ去る ハードエッジ
流れ去:
春水と行くを止むれば流れ去る 山口誓子
雛流れ去りつばくらは返し来る 大橋敦子
流れ去る水うつくしやうぐひの眼 川崎展宏
冷し瓜回して水の流れ去る 大串章
夜濯や終ひの泡の流れ去り 金子敦
蛭泳ぎ濁りと共に流れ去る 篠原温亭
流れ去る雨の行方や濃紫陽花 ハードエッジ
海女浮けば秋雲すでに流れ去り 鈴木真砂女
ドーナツ状に残土積み上げ蟻の穴 ハードエッジ
ドーナツ:
真つ黒なドーナツ盤や春の雪 ハードエッジ
蚊帳ふたつ吊つて連結部分かな ハードエッジ
連結:
雪の宿貨車の連結みてゐたり 鈴木しづ子
大の大人に子供だましの夏休 ハードエッジ
大人:
育たなくなれば大人ぞ春のくれ 池田澄子
春雪や絵本の作者みな大人 ハードエッジ
風船を貰はんとする大人かな 西原天気
大人一枚と言ひて切符や炎天に 相子智恵《あいこ ちえ》
秋風や大人ばかりの大手町 加藤静夫
外套の大人と歩む子供かな 千葉皓史
蜜柑むき大人の話聞いてゐる 西村和子
雑煮食ぶだけの大人となりにけり 嵯峨根鈴子
◎推敲過程
開発素句報 2021-02
以上です