全然堂歳時記 夏の部
【紫陽花】あじさい
子季語:七変化、四葩の花、かたしろぐさ
熟語:濃紫陽花
人気成分:雨、霧、月、傘、舟、毬、色、藍
※角川俳句賞2021の応募で忙しく、 ←5月末締切
全然堂歳時記は3月末発行の【春】以来、3ヶ月ぶりです
◎葉書俳句
◎テキスト
紫陽花が朝日のごとく卓の上 ハードエッジ
紫や藍色は朝日の色じゃないだろう、への反論
紫陽花自体が、紫の陽の花
紫陽花や目に見えねども低気圧 ハードエッジ
目に見:
目に見えて音に聞こえて春らしく ハードエッジ
先行句:
今日何も彼もなにもかも春らしく 稲畑汀子
目にみえて柳青めり雛納 久保田万太郎
このあたり目に見ゆるものは皆涼し 松尾芭蕉
中八「目に見ゆるものは」を
定型の7音「目に見ゆるもの」にしたい衝動
目に見えぬ塩の恩寵豆御飯 ハードエッジ
月日とは目に見えねども夏落葉 岸本尚毅
目に見えぬ火に籾殻の焼かれゆく 長谷川櫂
籾殻焼の画像/Google
散る芒寒くなるのが目にみゆる 小林一茶
紫陽花は気圧の谷に咲くといふ ハードエッジ
菫なら、
わが鬱の淵の深さに菫咲く 馬場駿吉
明け方の霧の中なる濃紫陽花 ハードエッジ
霧の中:
擲げ棄てしマツチの火らし霧の中 高濱虚子
霧とマッチなら、
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや 寺山修司
かたまりて通る霧あり霧の中 高野素十
霧の中「ゐるか」と男牛を呼ぶ 星野立子
舷に物ふるる音霧の中 星野立子
轟々と霧の中行く列車哉 徳田秋声
日本の夜霧の中の懐手 高柳重信
舟が消え湖が消え濃紫陽花 ハードエッジ
舟と湖:
再びの春雷をきく湖舟かな 富安風生
火の山の麓の湖に舟遊 高濱虚子
晩涼や湖舟がよぎる山の影 水原秋櫻子
名月や湖水の中に舟一つ 正岡子規
月影の湖に舟なし風の音 正岡子規
みづうみは真水の寒さ舟を出す 長谷川櫂
湖を船は出られず細雪 小野あらた
紫陽花にこの曇天のいつまでも ハードエッジ
曇天:
曇天の中の一点揚雲雀 ハードエッジ
無風曇天の紫藤垂るる ハードエッジ
曇天の罠よりぬくきもの外す 長谷川双魚
数へ日や曇天に物干すことも 岡本眸
紫陽花や砂利敷き詰めて変電所 ハードエッジ
変電所:
青蛙あまたをりけり変電所 池田秀水
砂利:
妻抱かな春昼の砂利踏みて帰る 中村草田男
たんぽぽや線路の砂利の錆びついて ハードエッジ
落葉掻き砂利響かせてゐたりけり ハードエッジ
紫陽花や雨戸を叩く雨の音 ハードエッジ
戸や障子:
朝顔や板戸にしみて釘のさび 長谷川櫂
紫陽花や古戸十枚戸袋に 野村喜舟
末枯や障子にかゝる雨の音 金尾梅の門
水を得ていま紫陽花の濃紫 ハードエッジ
濃紫:
早春の松に烏や濃紫 星野立子
夜桜に星無き空の濃紫 成瀬正俊
紫の袷袖口濃紫 高野素十
帰省子に葉がくれ茄子の濃紫 水原秋櫻子
紫陽花の時流に乗りし濃紫 ハードエッジ
濃紫薄紫や草の花 高野素十
朝顔の裂けてゆゆしや濃紫 原石鼎
朝顔は丸顔にして濃紫 ハードエッジ
朝顔や日陰に咲いて濃紫 ハードエッジ
一枝の濃紫せる紅葉あり 竹下しづの女
短日に夜の帳の濃紫 ハードエッジ
紫陽花も金魚の墓も雨の中 ハードエッジ
金魚の墓:
子の立てし金魚の墓に詣でやる 上野泰
割箸を立てて金魚の墓となす ハードエッジ
墓石は金魚の墓に重からん 西村麒麟
紫陽花やズボンの裾がびしよびしよに ハードエッジ
裾:
春の滝白き裳裾を岩に伸ベ 高濱年尾
梅見婆はしよれる裾の派手模様 星野立子
代掻の泥電柱の裾よごす 高濱年尾《たかはま としお》
裾をやや乱して神の滝落下 片山由美子
信長忌浴衣の裾に足二本 鈴木鷹夫
新涼の甚平に裾なかりけり 草間時彦
名月や何所までのばす富士の裾 加賀千代女
みんなみへ裾すこし延べ山眠る 鷹羽狩行
山眠る裾に座禅のさまの堂 鷹羽狩行
雪女には山茶花の裾模様 ハードエッジ
じやぶじやぶと長靴楽し濃紫陽花 ハードエッジ
じやぶ:
麦秋のソースじやぶりとアジフライ 辻桃子
増水の川の濁流濃紫陽花 ハードエッジ
濁流:
濁流の白く崩るる西日かな 茨木和生
濁流の沖へ拡がる端午かな 茨木和生
冷まじや濁流に石動く音 矢島渚男
濁流を一本とほす野分晴 井上弘美
紫陽花の遠き憧れ虹かかる ハードエッジ
紫陽花と虹:
遅れ咲く木の間紫陽花庭の虹 山口青邨
憧れ:
西行に憧れてゐる焚火かな 岸本尚毅
湯あがりの宿の籐椅子濃紫陽花 ハードエッジ
紫陽花と湯治:
紫陽花の花に日を経る湯治かな 高濱虚子
薬缶は金に紫陽花は紫に ハードエッジ
金色の薬缶/Google画像=アルマイト加工=しゅう酸アルマイト
薬缶:
野に出でて薬缶かがやく田植かな ハードエッジ
万緑や寺格を誇る大薬缶 斉田仁
ぴかぴかの薬缶の如く冬籠 ハードエッジ
飲んでみたしよラグビーの薬缶水 大島雄作
ずつしりと丼重し濃紫陽花 ハードエッジ
丼:
丼は涼しと猫の子が眠る ハードエッジ
あかあかとイクラ丼雪もよひ 辻桃子
丼に親指大事夜鳴蕎麦 ハードエッジ
紫陽花やハムを土台の目玉焼 ハードエッジ
苦手な取合せ
形の類似と色の対比
土台でハムの厚さが想像できる
が、それが俳句の出来に直結する訳ではない
植物と卵:
オムレツが上手に焼けて落葉かな 草間時彦
土台:
金銀は虹の土台になるものか ハードエッジ
風呂に沸かす水の一トン濃紫陽花 ハードエッジ
紫陽花の見頃がありてそれも過ぎ ハードエッジ
紫陽花と時間:
紫陽花を生けてより日々過ぎやすき 藤井あかり
◎推敲過程/テキスト
全250句/A4-4枚
日付を原句日付と推敲日付の二本立てにしたのは、
まだ、ここ2-3年
それ以前は補正しつつも、やや雑
第2列がグレーになってる句は本歌取り
本歌省略
◎推敲過程/印刷葉書+手書き
全10枚
全然堂歳時記 夏 【紫陽花】推敲
以上です