ペア78 黴くさき婚の写真の私かな 松野苑子

ペア78

 

◎夢の寒さ

夢の世に覚めたる夢の余寒よかんかな 山田露結   ろけつ

落ちる夢落ちきらず覚む朝寒し 小川軽舟    けいしゅう

 

 

◎天井と植物

天井てんじょうにつかへてかめの山桜 長谷川櫂      かい

天井にとどくゴムの木年忘としわすれ 岸本尚毅   なおき

 

 

◎黴の人物

かびくさきこんの写真の私かな 松野苑子   そのこ

黴のアルバム母の若さの恐ろしや 中尾寿美子  すみこ

 

 

◎日焼

夫かなしくすし通ひに日焼して 岡本眸    ひとみ

医者通ひ日焼さそひてえそめぬ 古賀まり子

 

 

◎旧姓

旧姓といふ空蝉うつせみに似たるもの 辻美奈子

バイブルに残る旧姓クリスマス 千原叡子ちはら えいこ

賀状書くわが旧姓のおとうとへ 内田美紗  みさ

 

 

◎魚の骨

秋風や魚のかたちに骨のこり 鷹羽狩行たかは しゅぎょう

秋の暮大魚の骨を海が引く 西東三鬼さいとう さんき

 

 

◎映画の人

夜長に見る映画の人やなべて亡き 押野裕

正月映画の主役は故人ばかりなり 小久保佳世子

 

 

◎月と川と道

月明の道あり川ともつれつつ 松本たかし

月の村川のごとくに道ながれ 上田五千石   ごせんごく

道なりに来なさい月の川なりに 恩田侑布子  ゆうこ

 

 

◎百花園の枯れ

見るところみな枯草や百花園ひゃっかえん 星野立子

一めんのすゝきの枯レや百花園 久保田万太郎

 

 

◎初富士の句会

初富士をながめの句座くざをしつらへん 高木晴子

初富士をどすんとゑて句会かな 大谷弘至おおたに ひろし

誰も富士まんともくす初句会 福田甲子雄  きねお

 

 

以上です