全然堂歳時記 秋
【葡萄】ぶどう
◎葉書俳句
◎テキスト
夏は西瓜秋は葡萄の種を吐き ハードエッジ
針金の逞しき張り葡萄棚 ハードエッジ
逞しきの秀句:
注連縄の逞しき縒男の子産め 鷹羽狩行
葡萄まだ小文字のoの大きさに ハードエッジ
文字系の葡萄:
葡萄食ふ一語一語の如くにて 中村草田男
砂時計の砂の静けさ葡萄垂る ハードエッジ
恋人と葡萄の園に昼寝して ハードエッジ
寝てみる葡萄の秀句:
たのしさは寝ねて見上ぐる青葡萄 岩田由美
紫の雨に煙るや葡萄園 ハードエッジ
雨の葡萄の秀句:
紫のぶだうを置いて雨の音 細見綾子
雨溟濛葡萄の房の濃むらさき 山口青邨
盆地の灯ぱらぱら消ゆる葡萄かな ハードエッジ
盆地の四季:
春祭盆地は音をこぼさずに 鈴木鷹夫
奈良盆地猫も歩かぬ暑さかな 大木あまり
日本の暑さを競う盆地かな 北川美美
たはやすく盆地ひゞけり威し銃 飴山實
寧楽盆地寒気の蓋の嵌まりけり 矢島渚男
山々の小春盆地に町小さく 宮津昭彦
夜空より紫紺滴る葡萄かな ハードエッジ
紫紺の名句:
暮れ際の紫紺の五月来りけり 森澄雄
紫も緑も黒も葡萄なり ハードエッジ
色々な葡萄:
黒きまで紫深き葡萄かな 正岡子規
亀甲の粒ぎつしりと黒葡萄 川端茅舎
敵手と食ふ血の厚肉と黒葡萄 能村登四郎
月さしてむらさき煙る葡萄かな 日野草城
雨月なる卓にみどりのマスカツト 波多野爽波
二三粒葡萄沈みし洗桶 ハードエッジ
葡萄の算数:
一粒を食べて欠きたる葡萄の房 橋本多佳子
二三粒欠け洗ひ上ぐ黒葡萄 土生重次
黒雲の如き葡萄が皿の上 ハードエッジ
黒雲自作:
黒雲も夕立の前の静けさに ハードエッジ
黒雲秀句:
黒雲の底の毛羽立つ厄日なり 正木ゆう子
黒雲の見ゆる避暑地を指してゆく 岸本尚毅
黒雲やわれめわれめのけふの月 正岡子規
灯を少し暗くして食ふ葡萄かな ハードエッジ
暗い灯の秀句:
春の夜に堪へよとくらき灯なりけり 久保田万太郎
春の灯のあるひは暗くやはらかく 久保田万太郎
春の灯のむしろくらきをよろこべる 久保田万太郎
暗き灯をおきて追儺の僧だまり 福田蓼汀
食べ終へて骨格残る葡萄かな ハードエッジ
食べ終える俳句:
時かけてつくりし草餅すぐ食べ終ふ 山口波津女
園閉ざすころには雪か葡萄村 ハードエッジ
「葡萄村」までは呻吟グ・ブルージーンズ ←『ヒッピー・ヒッピー・シェイク』
葡萄園(園がダブル)、黒葡萄(月並)、葡萄狩(苦しい)など
果樹のその後:
葡萄摘終りし谷のうすもみじ 山口青邨
採りつくしたる林檎園雪嬉々と 上田五千石
◎推敲過程
全然堂歳時記 秋 【葡萄】
以上です