ペアリング54 鶏に食はせてみたき桜貝 ハードエッジ

追記:蛇打たれ/2020.7.3
削除:誕生日 1句削除

ペアリング54

 

驚愕きょうがく

春や子の胸乳むなじれておどろきぬ 大石悦子

鹿の妻つのなきつまに驚きぬ ハードエッジ

夕立の大きな音に驚きぬ ハードエッジ

初螢はつぼたるおのがひかりに驚きぬ 正木ゆう子

灯を点けて顔驚きぬ秋の暮 小川軽舟    けいしゅう

妻の出て来し初夢におどろきぬ 藤田湘子    しょうし

 

 

◎一字加減

改めて春と名付けし寒さかな ハードエッジ

寒の字のとれて雀のよくはずみ 横井理恵

 

 

◎悲しき誕生日

如月きさらぎや死んでほのかに誕生日 ハードエッジ

さくらもち死んでもつまの誕生日 石田あき子

煮凝にこごりや死後にも母の誕生日 神蔵器かみくら うつわ

笹鳴ささなきや亡き人に来る誕生日 津川絵理子

 

 

◎鶏と貝

にわとりに食はせてみたき桜貝 ハードエッジ

めんどりに貝殻かいがら食はす桜かな 小川軽舟

 

 

◎終焉

梅一輪踏まれて大地の紋章もんしょうたり 中村草田男   くさたお

かたつむり踏まれしのちは天のごとし 阿部青鞋    せいあい

へび打たれ笑いくずるる如く死す 対馬康子

 

 

◎四季の洗面

洗面の水の切れ味山ざくら 鷹羽狩行たかは しゅぎょう

顔に水ぶつつけ洗ふ祭かな 小川軽舟

洗面所水散らかして秋の朝 小川軽舟

顔に水押しあて洗ふ今朝の冬 鷹羽狩行

 

 

◎職場の外

職場から駅を見下ろし春惜しむ 小川軽舟

職場より見てゐる雨の祭かな 恩田秀子

 

 

◎夏の青

四方から青みて夏の夜明かな 正岡子規  しき

初夏はつなつの乳房の筋の青さかな 野村喜舟   きしゅう

吊肉に検印青き立夏りっかかな 山崎千枝子

初夏の青を散らして豆ごはん ハードエッジ

 

 

◎風呂と飯

風呂が筍飯たけのこめしけしとよ 池田秀水

風呂は沸き飯は炊けたり初鰹はつがつお 小川軽舟

かじかみて凡夫ぼんぷあかし風呂と飯 斉田仁さいだ じん

 

 

◎来て帰る

秋晴を来て星空を帰りけり 長谷川櫂      かい

雨を来て雨に帰りぬ茄子なすの馬 山崎千枝子

 

以上です