ペアリング34 暖かし若き叔母なる口ひげも 永井龍男

削除:1句/2019.4.16、追記:猫の子/2019.3.18

ペアリング34

◎大時計の今

春立ちし大時計鳴りつづきをり  上野泰    やすし

春暁しゅんぎょうの大時計鳴りをはりたる  木下夕爾   ゆうじ

 

 

◎少女と叔母

暖かし若き叔母おばなる口ひげも  永井龍男

ほのかなる少女のひげの汗ばめる  山口誓子   せいし

 

 

◎崩壊過程

寂寞じゃくまく遅日ちじつがけが砂こぼす  岡本眸     ひとみ

かげろふやほろほろ落る岸の砂  服部土芳はっとり とほう

苗代なわしろに落ち一塊いっかいあぜの土  高野素十    すじゅう

絶壁ぜっぺきのほろほろ落つる汐干しおひかな  前田普羅  ふら

乾きては土こぼすうね揚雲雀あげひばり  林昭太郎

満月や永遠とわこぼるる崖の土  ハードエッジ

氷上に少しく土のくずれ落ち  波多野爽波はたの そうは

 

 

◎容れ物

猫の子のもらはれていく行く袂かな  久保より江

もらひ来る茶碗ちゃわんの中の金魚かな  内藤鳴雪    めいせつ

 

 

◎水尾の如き

金魚売過ぎゆき水尾みおのごときもの  鷹羽狩行たかは しゅぎょう

年過ぎてしばらく水尾のごときもの  森澄雄

 

 

◎拭き掃除

へし階段に腰かけて秋  岡本眸

階段を拭いて降り来る小春こはるかな  ハードエッジ

 

 

◎虚の誕生

もの置けばそこに生れぬ秋の蔭  高濱虚子たかはま きょし

けてすなわち水尾や秋の川  高濱虚子

 

 

◎月と虫

虫の音のたかまりくれば月でん  今井つる女

鳴く虫も月に力を得たりけり  ハードエッジ

月出でゝをらむ鈴虫鳴き澄むは  岸風三楼  ふうさんろう

虫鳴くやあたかも月のあるごとく  依光陽子

 

 

◎ちりはら

ばさと落ちはらはらと降り松手入まつていれ  片山由美子

ちりと鳴きちりちりと鳴き月の虫  後藤夜半   やはん

 

 

◎句稿ほかほか

腹稿ふっこうを暖めて居る懐爐かいろかな  正岡子規  しき

句を玉と暖めてをる炬燵こたつかな  高濱虚子

以上です