追記:福寿草/2021.12.29、海ほほえんで/2020.1.26、笑ひ返し/2020.1.23、蟻の列&魂なき僧/2019.12.4、緑蔭/2019.10.23、砂も亦/2019.8.18、海原がこい/2019.6.16、梅雨入/2019.5.17、大出目金/2019.3.4、日は光/2018.9.27、小家の灯/2018.7.25
修正:髙担ひ→高になひ/2023.5.12
ペアリング25
◎春の煙突
高々と煙突立てり春の空 高柳重信
煙突の一本高し春の海 高濱虚子
◎口もと
ほほといふ口して三人官女かな 高田正子
冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ 川崎展宏
◎光るもの
はるかなる光も畑を打つ鍬か 皆吉爽雨
万緑やきらりと窓の閉まりたる 藤井あかり
緑蔭や眼鏡光りてこちを見る 高濱虚子
遠方や枯野の小家の灯の見ゆる 小林一茶
遠き家の氷柱落ちたる光かな 高濱年尾
遠目にも光るは硝子初景色 岸本尚毅
日は光ひかりは鳥や初景色 岡本眸
あけまして光るは金の福寿草 ハードエッジ
◎乗り捨て
涅槃会や誰が乗り捨ての茜雲 上田五千石
拗ねてをり乗り捨てられしブランコが 西村和子
自転車を一家乗り捨て磯遊 上野泰
自転車を乗り捨ててゆく親不孝 高澤晶子
◎世と砂と美
現し世の今美しや桜貝 後藤夜半
砂も亦美しきかな桜貝 高濱虚子
現し世の砂美しや蟻地獄 ハードエッジ
◎ヤァ!ヤァ!ヤァ!
やあ蝶々やあ蒲公英と歩きけり 斉田仁
大出目金やあ楸邨といふらしき 加藤楸邨
やあといふ朝日へおうと冬の海 矢島渚男
山との挨拶は、
山笑ふみづうみ笑ひ返しけり 大串章
山笑ひ海ほほえんでゐる日かな 嶋田摩耶子
◎梅雨の日本、梅雨の沖縄
日本は水に浮く國梅雨に入る 田中裕明
大いなる海原がこい梅雨の国 池田澄子
艦といふ大きな棺沖縄忌 文挾夫佐恵
沖縄は浮かぶ花束梅雨明ける 川崎展宏
◎静かに
樹も草もしづかにて梅雨はじまりぬ 日野草城
梅雨の海静かに岩をぬらしけり 前田普羅
蟻地獄静かに蟻を融かしをる ハードエッジ
◎死の浮遊
蟻の列しづかに蝶をうかべたる 篠原梵
秋月や魂なき僧を高になひ 飯田蛇笏
◎この二人
尚毅居る裕明も居る大文字 波多野爽波
漱石が来て虚子が来て大三十日 正岡子規
◎あざやか印
冬ざれや朱をあざやかに受領印 片山由美子
印影の朱のあざやかに事務始 日野草城
以上です