追加:槻の風/2021.10.28、錆錨/2019.10.31、瀬音/2018.4.30
訂正:別れては→わかれては/2021.10.28
ペアリング19
◎家事手本
春たのしなせば片づく用ばかり 星野立子
暑き故ものをきちんと並べをる 細見綾子
◎集合離散
雙燕のもつれたかみて槻の風 飯田蛇笏
春の鳶寄りわかれては高みつつ 飯田龍太
花筏寄りつ離れつ澱みつつ 中村苑子
◎晩年かも
花たのしいよいよ晩年かもしれぬ 星野麥丘人
栗をむくいまが晩年かも知れぬ 細川加賀
◎錆と交通
たんぽぽや線路の砂利の錆びついて ハードエッジ
蒲公英に置く廃港の錆錨 福田蓼汀
雨後の線路に錆新らしく土筆萌ゆ 田川飛旅子
貨車のさび草にうつりて薄暑かな 太田鴻村
◎故郷と都
春暁のあまたの瀬音村を出づ 飯田龍太
たんぽぽの絮ふるさとを出奔す 青柳志解樹
塗椀が都へのぼる雪を出て 川崎展宏
◎少年老い易く
少年老い易く夕立の中を駈く ハードエッジ
少年老い易く双六上がりけり 佐藤郁良
◎あ、妻だ!
秋風の(や)天守閣より妻の顔 岸田稚魚
自転車の妻に驚く鰯雲 斎藤夏風
◎見えるか見えぬか
一斉に見えぬもの指す踊かな 夏井いつき
目指すもの遠くにありし弓始 佐藤郁良
◎食い千切る
晩年や赤きとんぼを食いちぎる 永田耕衣
曼珠沙華ひちぎられしごとくなり 長谷川櫂
◎年の瀬ショッピング
買物の好きな女に師走来る 星野立子
夫婦して買ひ物好きの年用意 西村和子
以上です