開発素句報 2018-12 春に吹く風は花びら運ぶ風

追記:推敲作/2020.4.6

開発素句報 2018-12 桜の涙
桜が散り始めて、花の句の賞味期限が間近に、、、
もう一日、冷却すべきかと思ったものの見切り発車
で、さっそく、
サイン入れ直後から、いくつか手直しが、、、

◎葉書画像

 

 

 

◎自句自解

全山ぜんざんは今沸騰ふっとうの桜かな
  先行句:
  沸騰の一山にして新緑す  すずきみのる

  沸騰の句の極めつけは、
  カツ揚る沸騰空母沈むさまに  大原テルカズ
  確かに、あれは、
  戦艦ではなく平べったい空母の沈没です

  が、待てよ、待てよ、
  「沈むさま」ではありますが、
  あくまで沈む「さま」です
  実際は、もう沈まないんですね

  つまり、
  衣を付けたカツは、
  フライパンに入れると、
  一旦は沈むものの、
  やがて、衣の水分が蒸発して、軽くなり、浮いて来るのです
  浮いてきたら、出来上がりで、もう沈みません

  不沈空母!!

  なお、沈んだ空母は、(芭蕉の句を踏まえつつ)
  海底に空母の夢や夏の月  ハードエッジ

 

 

花びらは花を離れて空の旅
  「空の旅」いいよね
  って、半ば冗談で置いてみましたが、
  なんか、収まりが良いようです (^_^;;;

  日航でハワイへ!
  パンナムで宇宙へ!
  →2001年のパンナム/GGL

 

 

春に吹く風は花びら運ぶ風
  ヒントは以下のイラストと、その題名でした
  →大桃洋祐「春に吹く風」/twitter

  俳句業界では、
  音数節約のため、
  春風4音、春の風5音、とは言っても、
  「春に吹く風」7音、なんて言いません
  「55DB」でも例句なし
  そこがかえって新鮮で、
  素敵なイラストにも触発されて一句となりました 感謝

  春、花、運ぶ、が頭韻です
  風ダブルで入って、お徳用俳句

 

 

花びらは桜の涙かも知れぬ
  参考句:
  春燈しゅんとうやはなのごとくにのなみだ  飯田蛇笏   だこつ
  全くの偶然、
  twitterに流れて来た蛇笏の句が、
  「櫻のなみだ」と誤入力されていて、
  あれ、櫻の涙?、、、いいかも、で作りました

  推敲句:
  花びらは桜の花の涙かも 2018.4.3
  「花(桜)の涙」なんて、ウンザリするほど、あるかと思いましたが、
  これが意外にないんです

  さくら花びら手でぬぐひやる子の涙  細見綾子
  近いところで、この句ぐらい
  後は、
  桜餅や桜湯の塩味からの連想でした
  →真珠の涙/スパイダース/GGL
  →スワンの涙/オックス/GGL

  さらなる推敲句:
  花びらは花の涙かため息か ハードエッジ 2020.4.6
  逆選を一身に浴びそうな句、ではあります (^_^;;;
  →酒は涙か溜息か/youtube
  作曲家・古賀政男、作詞家・高橋掬太郎、歌手・藤山一郎の出世作

 

 

花冷の月煌々こうこうと上りけり
  ところで、
  「55DB」には、
  「花」が36800句
  「月」が25700句
  「冷」が4400句、収録されています
  (いずれも漢字のみ検索、仮名書は無視)

  そして、
  上記3漢字を全て含んだ句は10句
  内、花冷+月が7句でした

  その中の秀句、
  満月を上げて八分の花の冷え  森澄雄

 

 

城跡しろあとに城あるごと花篝はなかがり

 

 

ぼつてりとみごもる夜の桜かな
ぼつてりとはらみし夜の桜かな
  さて、どっち

 

 

◎未練句

花びらの飛んで花ではなくなりぬ

 

花びらの花になかりし自在じざいかな

 

花びらのあれよあれよと云ふ間かな

 

夜桜と篝火かがりびに立つ天守閣てんしゅかく

 

夜桜の語り尽すと云ふやうに

 

夜桜を見つつ下りぬ夜の坂
  先行句:
  かへりみるなかれ夜桜夜の坂  西村和子
  

 

◎推敲過程 葉書

pdf_20180403

 

◎推敲過程 DB

開発素句報2018-12

 

 

以上です