追記:一網打尽/2019.10.19、火達磨/2018.10.29、秋刀魚の命/2018.6.19、順序変更/2018.6.19
全然堂歳時記 秋の部
【秋刀魚】さんま
秋刀魚焼く煙の秋となりにけり
秋風に心尽しの秋刀魚焼く
※心尽し=こころづくし
火柱は秋刀魚の神の降臨か
※火柱=ひばしら、降臨=こうりん
ぼんぼんと秋刀魚楽しや火を噴いて
火達磨に呵々大笑の秋刀魚かな
火達磨は有終の美ぞ秋刀魚焼く
※有終の美=ゆうしゅうのび
国中の菜箸に火や秋刀魚焼く
※菜箸=さいばし
飯を炊く湯気と秋刀魚を焼く煙
長身の焦げ美しき秋刀魚かな
黒に焦げ琥珀に焼けて秋刀魚かな
※琥珀=こはく
腸は秋刀魚の命喰ふべし
「喰らふ」と書くのが多数派なのは承知の上
命令形ではあるし、
ここは表記も締って行きたい処
参考句:
夏痩せて大めし喰ふ男かな 正岡子規
渋柿を喰ふともなくもぎにけり 会津八一
ふぐと汁ひとり喰ふに是非はなし 加舎白雄
やはらかきところの苦き秋刀魚かな
鯖の皮も秋刀魚の腸もありがたく
※鯖=さば
漱石にジアスターゼや秋刀魚焼く
※(夏目)漱石=そうせき
一網打尽を逃れし秋刀魚寂しかろ
「聞ける俳句」2019神野紗希選落選作
台風は北へ秋刀魚は南へと
港には秋刀魚を待てる大根かな
風呂が先か秋刀魚が先か帰り道
この家も秋刀魚を焼いてゐるらしき
何食うて長くなりたる秋刀魚かな
日本に長き皿あり秋刀魚焼く
ちりちりと醤油を弾く秋刀魚かな
※醤油=しょうゆ、弾く=はじく
大正のさんま苦いか塩つぱいか
けふの月長いさんまを焼きにけり
本歌取り:
けふの月長いすすきを活けにけり 阿波野青畝
以上です
お読み頂きありがとうございました