夏 【日焼子】 海の日焼子山の日焼子地蔵盆 飯田龍太

追加:電車/2018.7.14
「日焼子(ひやけご)」を集めました
夏の季語「日焼」の中の子供の句です

◎まずは、色です

純白の服もて日焼子を飾る  林翔(はやし・しょう)
  夏の白、純白です

白シャツを脱いで真黒日焼の子  ハードエッジ
  白シャツの下は、、、

日焼の子パンツつるりと脱ぎにけり  大塚次郎
  脱ぎ方も見逃しません

ふぐりまで日焼け日焼けて島の子は  清崎敏郎
  究極の日焼です

日焼けし子日焼けにくき子健康に  稲畑汀子
  お母さんの願いです

色白の子が日焼子に言ひ返す  金子敦(あつし)
  負けていません

熱く白く飯炊き上げぬ日焼子に  櫛原希伊子(くしはら・きいこ)
  夏痩せをしないように、、、
  そして、沢山食べたら、、、
  夏休お代りをして褒めらるる  ハードエッジ

絵日記の白を拡げて日焼の子  ハードエッジ
  7月下旬、さあ、夏休み、ガンバるぞ、
  なのか、
  8月下旬、少年しのび泣けり夏、
  なのか

日焼子に取り巻かれたる赤ん坊  ハードエッジ
  帰省中の夫婦の赤子です
  遊び飽きた日焼子たちが、物珍しそうに寄ってきました
  色白の赤ん坊です

 

 

◎泣き笑いです

ただ立つてゐる日焼子の笑顔かな  綾部仁喜(あやべ・じんき)
  笑顔の子は、もうそれだけで、、、

日焼子のげらげら笑ふ手の長き  ハードエッジ
  ヒョロヒョロが、ゲラゲラと、、、

天に代りて日焼児の尻をぶつ  楠節子
  天に代りて、は軍歌の一節
  大仰な言い回しが、かえって切ない

  軍歌:日本陸軍
  1.出征
  天に代わりて不義を討つ
  忠勇無双の我が兵は
  歓呼の声に送られて
  今ぞ出で立つ父母の国
  勝たずば生きて還(かえ)らじと
  誓う心の勇ましさ

by ウィキ:日本陸軍(軍歌)

日に焼けし坊主頭の号泣す  ハードエッジ
  ここ一番に、、、

美しく日焼けて父母に抗へり  庵達雄
  美しき反抗期

 

 

◎その他

海の日焼子山の日焼子地蔵盆  飯田龍太
  賑やかです
  対比の上手さ、だけでなく、
  季語が子供たちを歓迎しています

  日焼だけの句と較べてみましょう
  潮日焼山日焼して元気なり  星野立子
  海の日焼山の日焼とここにつどふ  山口青邨(せいそん)

  ついでに、海山対比の俳句を四季順に、
  山笑ひ海ほほえんでゐる日かな  嶋田摩耶子(まやこ)

  風光るとき海遥か山かすか  稲畑汀子

  海からの風山からの風薫る  鷹羽狩行(たかは・しゅぎょう)

  涼しさや山は沈黙海多弁  阿部みどり女(みどりじょ)

  名月や海もおもはず山も見ず  向井去来(きょらい)

  本の山硯の海や冬こもり  正岡子規(しき)

日焼子のしづかに寺の書道塾  日向亮司
  日焼子は遊ぶだけではありません
  連日、遊びまわって真っ黒になった子供たちは、
  いま、畳に正座して筆を取ります
  さて、どんな字を書くのでしょう?
  もしかしたら、このお寺には、
  先祖代々のお墓があるのかも知れません

日焼子の図画の四隅に鋲四つ  鷹羽狩行
  少年期の痛々しさ
  なんてのは、深読みなんでしょうが、、、

  愁いは日焼子に限らず、夏に限らず、、
  春惜しむ画鋲を深く刺し直し  金子敦

日焼子に羽は生えねど背が伸びて  ハードエッジ
  育ち盛りです

その頃の吾子によく似し日焼子よ  西村和子
  今は昔

また電車見に行くと言ふ日焼の子  鶴岡加苗

 

◎おまけ:「子」で終る季語

(一部です、ご参考まで)
読み方色々、こ、ご、し、じ、す等

諸子=もろこ/春
鳴子=なるこ/秋
撫子=なでしこ/秋

穴子=あなご/夏
零余子=むかご/秋
羽子=はご/はね/正月

お玉杓子=おたまじゃくし/春
帰省子=きせいし/夏
麦藁帽子=むぎわらぼうし/夏
行々子=ぎょうぎょうし/夏
柚餅子=ゆべし/秋
案山子=かかし/秋
唐辛子=とうがらし/秋

障子=しょうじ/冬

籐椅子=とういす/夏
茄子=なす/なすび/夏

杏子=あんず/夏
柚子=ゆず/秋

新松子=しんちぢり/秋

 

◎まとめの3句です

海の日焼子山の日焼子地蔵盆  飯田龍太

熱く白く飯炊き上げぬ日焼子に  櫛原希伊子

日焼子のしづかに寺の書道塾  日向亮司

※わがデータベースの収録句数:日焼が470句(内、日焼子が100句)

以上です。お読み頂きありがとうございました