リボンして伴奏の子や卒業歌
去るものは追はず卒業式終る
忘れ得ぬことぞ悲しき卒業歌
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
自作自選の歳時記です
リボンして伴奏の子や卒業歌
去るものは追はず卒業式終る
忘れ得ぬことぞ悲しき卒業歌
苗札に大きくなれと書いてある
苗札の予告通りに芽吹きたる
苗札の影くつきりと良い天気
燃えて立つ鋼の足の花篝
また一つ消えて最後の花篝
花篝消えて夜明の石畳
今日こそは晴れて桜の出番なれ
僧の名を沢庵と云ふ花の宴
花冷の銀の落花となりにけり
美しやこの囀も鳥籠も
囀の色とりどりの故郷かな
古寺の朽ち行くままに囀れり
淡々と流るる色も石鹸玉
しやぼん玉わつて天使の楽しけれ
多作なる虚子の一生石鹸玉
すらり立つ給水塔も水仙も
荒れ狂ふ水仙のある岬かな
水仙の切られし跡も雪に消ゆ
少しづつ書いてつらつら氷柱の夜
怖い夢見しや氷柱の曲りしは
へし折つて鬼の引きずる大氷柱
欄干は風の通ひ路掛大根
家々に掛大根の月夜かな
紅梅の蕾ほつほつ掛大根
リボンのやうな立体交差クリスマス
ブランコに雪ふり初めしクリスマス
夢の世のコンビナートの聖夜かな
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
秋風も秋風らしく秋なかば
アベベなく円谷もなし秋の風
秋風に心尽しの秋刀魚焼く
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
秋雨に草芽吹きたる更地かな
秋雨や線路は頭のみ光り
秋雨や小学生の五六人
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
上流は神々の山天の川
天の川古き時計の捨て所
モナリザの瞳の中の天の川
けふは城あすは図書館松手入
松手入松の緑を滴らす
池に雨松の手入も済みたるよ
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
柿くへば鐘の正岡子規忌なり
柿食うて柿好き子規の忌を修す
死神を何の糸瓜と子規忌かな
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
火柱は秋刀魚の神の降臨か
秋風に心尽しの秋刀魚焼く
黒に焦げ琥珀に焼けて秋刀魚かな
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
草の花やがて草の実草の種
細道の人に踏まるな草の花
星ひとつ空を零るる草の花
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
三色に白粉花の赤白黄
おしろいの花も蕾も種も見ゆ
白粉花の蕾はみどり種は黒