追記:見えざる手/2019.10.18
全然堂歳時記 類題
【手】
腕、肘、指、爪を含む
◎葉書俳句
◎春
右手に抱き左手に手引き母の春 ハードエッジ
何故、父の春や、親の春でないのかは、
当時の時代背景などに鑑み云々
寝転ぶに春の証の腕まくり ハードエッジ
割烹着の腕の太さよ草の餅 ハードエッジ
初案は「母の日よ」
菫摘み電車通れば手を振つて ハードエッジ
この集に「手を振」が全部で3つ
しかも、
「電車に手を振る」は類想の可能性大
最後まで残すかどうか迷ったものの、結局、収録
◎夏
一寸手を振つてやりたや撒水車 ハードエッジ
手に取つて素足を愛づる赤ん坊 ハードエッジ
団扇絵の美人片手に夕涼み ハードエッジ
「美人片手に」は推敲の賜物
深爪となつてしまひし裸かな ハードエッジ
無防備
夏祭べたべたの手でありにけり ハードエッジ
◎秋
手をつなぐことなく進む踊かな ハードエッジ
フォークダンスとの違い
「踊り+手」の秀句:
手をあげて足を運べば阿波踊 岸風三楼
手のひらをかへせばすすむ踊かな 阿波野青畝
運動会ゴールの手足はたはたと ハードエッジ
つなぐ手の反対側の猫じやらし ハードエッジ
◎冬
両の手を父母に与へて七五三 ハードエッジ
つなぐだけなら、野遊びでも初詣でもいいが、
「与へて」となると、やはり七五三では
主役交代:
青き踏む左右の手左右の子にあたへ 加藤楸邨
合はす手に袂重たし七五三 ハードエッジ
「袂が重し」より、
「袂重たし」の字面の重量感
左手にむんずと鱈や切らんとす ハードエッジ
想像句
丼に親指大事夜鳴蕎麦 ハードエッジ
ぼろ市に千手の一手らしきもの ハードエッジ
千手観音のバラ売り
無論、想像句
千里飛ぶ白鳥の腕太きかな ハードエッジ
「白鳥+千里」の秀句:
千里飛び来て白鳥の争へる 津田清子
遠くから手を振るやうに春を待つ ハードエッジ
春が来た後も、、、:
途方もなきものへ手をふる春の暮 恩田侑布子
「春+手」の秀句:
千手即春の翼の観世音 川崎展宏
「惜春+手」の秀句:
手をとめて春を惜しめりタイピスト 日野草城
春惜む箒があれば箒手に 後藤比奈夫
梅が枝の肘の辺の氷柱かな ハードエッジ
「梅+肘」の古句:
寒梅を手折るひびきや老が肘 与謝蕪村
◎未練句
指先や鶯餅の粉に汚れ ハードエッジ
手放しに泣いて日焼の腕かな ハードエッジ
手を腰に当てて歯磨き夏休み ハードエッジ
手のひらにぺたり吸ひつく金魚の死 ハードエッジ
秋の夜の頁をめくる指の先 ハードエッジ
案の定両手に木の実転びけり ハードエッジ
手をつなぎたれば我より冷たき手 ハードエッジ
マフラーを手に取るだけで手が温し ハードエッジ
指にまだ水仕の冷や毛糸編む ハードエッジ
グーの手をパーに開いて焚火かな ハードエッジ
湯ざめして手足の固くなりにけり ハードエッジ
五指を組むやうにラガーのスクラムす ハードエッジ
さすりくれし罅皸の手よ母よ ハードエッジ
ぼろ市にドアなきドアの取手かな ハードエッジ
龍の玉に龍の爪痕なかりけり ハードエッジ
日記手にレジ待つ人や我もまた ハードエッジ
さらに追加:
捨てられし子猫に神の見えざる手 ハードエッジ
以上です