追記:潜水艦2句、引つ込み2句/2019.10.27、白酒・ガス/2019.9.23
ペアリング50
◎手を合はせ
さくらもち供へたる手をあはせけり 久保田万太郎
知らぬひと手をあはせゆく門火焚く 藤岡筑邨
胼の手をあはせて拝むほとけかな 橋本鶏二
大根焚食ぶ大根に手を合わせ 木田千女
◎出入り
ガスの火は穴に引つ込み春浅し 小川軽舟
白酒の引つ込んで注ぎ終りけり 小川軽舟
やどかりの脚あふれ出て動きけり 奥坂まや
引つ込みのつかぬ芽吹や先駆けて ハードエッジ
でで虫のごくりともどる殻の中 大石雄鬼
引つ込みのつかぬ体型着膨れて ハードエッジ
◎二階から
二階から紙屑捨てる柳かな 会津八一
二階から目薬すてる年の暮 橋閒石
◎髪の有無
髪はなく唇はある落椿 ハードエッジ
形代に黒髪の無き怨みかな 鈴木鷹夫
髪長き螢もあらむ夜はふけぬ 泉鏡花
怖い闇夜の句:
或る闇は蟲の形をして哭けり 河原枇杷男
◎十四五本
百合の黄の十四五本や梅雨の宴 ハードエッジ
鶏頭の十四五本もありぬべし 正岡子規
鶏頭の十四五本の昃りぬ 高野素十
鶏頭の十四五本の哀れかな ハードエッジ
鶏頭の十四五本のありし庭 野木藤子
曼珠沙華十四五本も生けたらむ 相生垣瓜人
干大根十四五本の冬籠 ハードエッジ
◎潜水艦の四季
潜望鏡上げよさくらの夜なれば 野崎海芋
潜水艦夏空を見てまた沈む ハードエッジ
十五夜の潜水艦は水の中 攝津幸彦
窓のなき潜水艦に雪降れり 茨木和生
◎すべての人
全員が喪服で日傘さしてをり 辻桃子
少女みな紺の水着を絞りけり 佐藤文香
もう少し年上:
色水着干す女子寮の昼深し 清水基吉
◎バラバラそうめん
素麺に繙くといふことのあり ハードエッジ
さうめんの束のほどけし施餓鬼かな 岸本尚毅
◎一時代
遠ざかる一つの時代天の川 ハードエッジ
一ト時代八つ手の花に了りけり 久保田万太郎
◎薄目の山
薄目せる山も混りて山眠る 能村登四郎
眠る山薄目して蛾を生みつげり 堀口星眠
以上です