追記:荒打/2020.9.10、白にして/2020.5.11、向日葵/2019.8.4、夢の高さ/2019.3.24、もまるる花びら/2019.3.14、長閑/2019.2.18、土筆/2019.1.9、落穂・草の花/2018.10.30、日向ぼこ/2018.9.12、1ペア移転/2018.9.4、追加:種袋 汗かき/2018.6.9
ペアリング24
◎スポーツ春秋
春ひとり槍投げて槍に歩み寄る 能村登四郎
円盤投げしあとのよろめき秋終わる 斉田仁
◎睡眠の季節
朧にて寝ることさへやなつかしき 森澄雄
七夕や独り寝さてもなつかしき 小川軽舟
人間に寝る楽しみの夜長かな 青木月斗
◎運命
拾はれてよりの仕合せ桜貝 後藤比奈夫
拾はれて長閑なバスの客となる ハードエッジ
やさしげな子に掬はれし金魚かな 笹下蟷螂子
拾はるるそのたうとさよ草の花 広瀬惟然
◎花を混ぜる
残生やひと日は花を鋤きこんで 飴山實
荒々と花びらを田に鋤き込んで 長谷川櫂
花びらのもまるる水を田に引けり 南うみを
向日葵を鋤き込む北の大地かな 橋本幸篤
そして、秋には:
落穂をも踏みかためつゝ道となる 高濱虚子
荒打にぬりこむ風の木の葉哉 幸田露伴
◎色違い、音違い
葉ざくらや白さ違へて塩・砂糖 片山由美子
槍穂高色を違へて炎天下 粟津松彩子
秋立つや音を違へて稲と草 岸本尚毅
◎それほどの事
種袋振つて忘るるほどのこと 松野苑子
土筆の袴取りつつ話すほどのこと 大橋敦子
白靴を踏まれしほどの一些事か 安住敦
汗かきに出掛けるほどの用なりし 小圷健水
ががんぼの脚を落とせしほどのこと 片山由美子
日向ぼこし乍ら出来るほどの用 稲畑汀子
◎サイズと質量
蚊柱や不幸に丈のありとせば 鷹羽狩行
空蝉や不幸に重さのありとせば 齋藤愼爾
朴の花夢に高さのありとせば 南うみを
◎菖蒲とは
白にして大いなるかな花菖蒲 高濱虚子
広々と紙の如しや白菖蒲 星野立子
てぬぐひの如く大きく花菖蒲 岸本尚毅
◎次の間
絨緞の薔薇が次の間までひらく 正木ゆう子
次の間に絵のつゞきゐる屏風かな 下田實花
次の間へ襖の松のつづきをり 奥坂まや
以上です