夏 【螢】 ほうたるの余命を刻む点滅ぞ

全然堂歳時記 夏の部
【螢】ほたる

全然堂歳時記=現在、本号を含め84記事=春夏秋冬–年末年始=29-15-17-16–3-4
/2023.7.13

子季語:初螢、夕螢、螢火、死螢
人気成分:闇、恋、命、雨、霧、橋

 

◎葉書俳句

◎テキスト

螢火は螢のやみの中にこそ ハードエッジ
よ小学校は真の闇 ハードエッジ
かんむりに二つ火のある螢かな ハードエッジ
螢火の飛んで光の速さかな ハードエッジ
螢火を裸火はだかびとこそ言ひつべし ハードエッジ
雨に来て葉先ににじむ螢かな ハードエッジ
その中にくすぶる螢ありにけり ハードエッジ
なれそめの十五十六螢の夜 ハードエッジ
いくさにも恋にもつる螢かな ハードエッジ
降り出して恋の螢の行方ゆくえかな ハードエッジ
ほうたるの余命よめいきざ点滅てんめつぞ ハードエッジ
晩年ばんねんの光たっとし螢の夜 ハードエッジ
螢火と庭のプールの小舟かな ハードエッジ
幼子おさなごを乗せて何処いずこへ螢舟 ハードエッジ
半壊はんかいの旧地下鉄に螢舞ふ ハードエッジ
終列車彼方かなたに消ゆる螢かな ハードエッジ
死螢しぼたるを金魚のはかとなりへと ハードエッジ
連絡船れんらくせん磁気嵐じきあらしとや螢の夜 ハードエッジ
弓なりにミサイルの飛ぶ螢の夜 ハードエッジ
螢火の歓喜かんき観音様かんのんさまきたる ハードエッジ

 

◎推敲過程/テキスト/pdf

全2枚/126句

全然堂歳時記 夏 【螢】 テキスト推敲

 

◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf

全2枚

全然堂歳時記 夏 【螢】 A4推敲

 

◎推敲過程/葉書俳句+手書き推敲/pdf

葉書俳句推敲前 全7枚

全然堂歳時記 夏 【螢】 葉書推敲 原稿

 

葉書俳句推敲後 全7枚

全然堂歳時記 夏 【螢】 葉書推敲 加筆

 

◎葉書俳句表側

 

◎データベース画面/桐v10

◎螢秀句

蛍火は闇に仏を彫るごとし 大串章
じゃんけんで負けて蛍に生まれたの 池田澄子
死螢に照らしをかける螢かな 永田耕衣
みんなみんな蛍になって見送るよ 正木ゆう子
蛍の死弔ふ水をやりにけり 安住敦

病み抜いて母は蛍となりにけり 井上弘美
蛍生るさなぎ内側より光 野崎海芋
初螢已がひかりに驚きぬ 正木ゆう子
初螢かなしきまでに光るなり 中川宋淵
蛍待つ闇を大きく闇つつむ 倉田紘文

蛍火の一寸先の闇に坐す 和倉左京
ほたる火の冷たさをこそ火と言はめ 能村登四郎
螢火の明滅滅の深かりき 細見綾子
おのが火をたよりか一ツ飛ぶ蛍 正岡子規
初螢いづくより火を点じ来し 上田五千石

ほうたるの火の精にして水の精 鷹羽狩行
抽斗に螢しまひし夜の火事 齋藤愼爾
蛍火と水に映れる蛍火と 清崎敏郎
釣鐘にとまりて光る螢かな 正岡子規
蛍くれし子に何がなと思へども 富安風生

髪長き螢もあらむ夜はふけぬ 泉鏡花
手の皺が歩み悪(にく)いか初螢 小林一茶
葉先より指に梳きとる螢かな 長谷川櫂
ゆるやかに着てひとと逢ふ蛍の夜 桂信子
寝し家を喜びとべる蛍かな 高濱虚子

蛍の来るころ風呂が沸いてをり 水田光雄
闇の奥の螢溜りが次の駅 正木ゆう子
人寝ねて蛍飛ぶなり蚊帳の中 正岡子規

以上です