開発素句報 2023-07 ああこれが秋の寒さか雨も降り

開発素句報 2023-07 「秋の寒さ

◎葉書俳句

◎テキスト

朝顔あさがおの花がり葉に穴があき ハードエッジ

歯の穴:
蕗の葉にぽんと穴あく暑かな 小林一茶
向日葵の穴だらけなる枯葉かな ハードエッジ
葛の葉に秋風の穴あきにけり 京極杞陽
水澄むや細かき穴が紫蘇の葉に 岸本尚毅
病葉に大きな穴や水澄める 薮内小鈴
はつゆきや落葉拾へば穴が明く 加賀千代女

朝夕あさゆうの六時の暗さ曼珠沙華まんじゅしゃげ ハードエッジ

六時:
ゆふざくら六時前とはいい時間 加藤静夫
六月の朝の六時の空の青 ハードエッジ
豊年の午後の六時の真つ暗な ハードエッジ
雨の萩六時といへば暮るゝかな 久保田万太郎
短日の三時四時五時六時かな 杉田菜穂
午後五時が六時の如し日短 ハードエッジ

くもるだけくもりし秋の空の色 ハードエッジ

曇りし:
曇りしが降らで彼岸の夕日影 宝井其角
どんよりと曇りし春の月明り 鈴木花蓑
秋晴の少し曇りしかと思ふ 高濱虚子

ああこれが秋の寒さか雨も降り ハードエッジ

これが:
素裸のこれが私のオリジナル 櫂未知子
これがその神田の生れよてふ祭 後藤比奈夫
天高しこれが社長のキャデラック 西村麒麟
こんなもの吊してこれが鳥威 綾部仁喜
五六本ころがりこれが鮭の棒 細川加賀
幼子よ地に水氷るこれが冬 肥田埜勝美
これが母の死ぬ夜か星の美しき 岡本差知子

これが/自作:
これがまあ栄華の跡か山笑ふ ハードエッジ
これがあの子猫なりしや膝に来て ハードエッジ
初夏のこれが一番白い服 ハードエッジ
もう一つ来し夕立のこれがまた ハードエッジ
とは言へどこれが頼りのわが素足 ハードエッジ
天球のこれが半分星月夜 ハードエッジ
かざし見るこれが今年の初氷 ハードエッジ
ずつしりとこれが熊撃つ鉄砲ぞ ハードエッジ

 

柿の実に装填そうてんされしたね八個 ハードエッジ

「装填」の句は我がデータベースでこの1句だけです/60万句超/自作除外
言うまでもなく、リボルバーが念頭にあります

柿の実:
柿の実の大暑に耐ふる緑色 ハードエッジ
柿の実の青くて細き土用哉 正岡子規
柿の花から柿の実のなるところ 田中裕明
柿の実の青き秋暑や兵士去る 横光利一
柿の実の隙間に種の平べつた ハードエッジ

路地裏ろじうら秋刀魚さんま焼くべく日がるる ハードエッジ

路地裏:
薄氷を路地裏で待つ女神かな 攝津幸彦
路地裏の黒きベンツや猫交る 佐藤郁良
路地裏に食み出してゐる冷蔵庫 小池康生
路地裏もからりと晴れて祭かな 今橋眞理子
露地裏を夜汽車と思ふ金魚かな 攝津幸彦
路地裏もあはれ満月去年今年 三橋鷹女

五時に暮れ六時真つ暗冬近し ハードエッジ

五時:
午後五時も明るくなりぬ花辛夷 ハードエッジ
五時起床空茫々と梅雨続く ハードエッジ
短日の三時四時五時六時かな 杉田菜穂
短日や五時と約して電話切る 星野立子
午後五時が六時の如し日短 ハードエッジ
このごろの午後五時枯木暮るゝ時 山口誓子
四時五時のすでに寂しき水仙花 ハードエッジ
年の瀬の五時の暗さよ月の出よ ハードエッジ

 

◎推敲過程/テキスト/pdf

全95句

開発素句報 2023-07 テキスト推敲

 

◎推敲過程/A4 原稿/pdf

なし

 

◎推敲過程/A4 加筆/pdf

なし

 

◎推敲過程/葉書俳句 原稿/pdf

葉書俳句プリント原稿 全9枚

開発素句報 2023-07 葉書原稿

 

◎推敲過程/葉書俳句 加筆/pdf

葉書俳句プリント加筆 全9枚

開発素句報 2023-07 葉書推敲

 

◎葉書俳句表側

 

以上です