全然堂歳時記 冬の部
【セーター】
全然堂歳時記=現在、本号を含め61記事=春夏秋冬–年末年始=21-9-17-11–2-1
/2022.11.27
目次
◎葉書俳句
◎テキスト
編棒の先セーターになるつもり ハードエッジ
編棒:
編棒を三本挿せる毛糸玉 京極杞陽
白指も編棒のうち毛糸編み 鷹羽狩行
毛糸玉に編棒挿して母眠し ハードエッジ
セーターを裏に表に編み進む ハードエッジ
セーターを編むやこつくりこつくりと ハードエッジ
こつくり:
こつくりと夢みる子猫こつくりと ハードエッジ
セーターの中より生れ来る頭 ハードエッジ
セーターを嬰がひつぱる涎ふく ハードエッジ
涎:
神の鹿涎流して角切らる 木田千女
鮟鱇のよだれの先がとまりけり 阿波野青畝
鮟鱇のよだれの中の小海老かな 阿波野青畝
ふはふはのセーター床を叩き泣く ハードエッジ
ふはふは:
病室にふはふは育ち春の塵 今井つる女
夏まけの歩のふはふはと二学期へ 林翔
義士祭の近しふはふはたまご焼 菊田一平
ふはふはのふくろふの子のふかれをり 小澤實
ふはふは/自作:
ふはふはと風に吹かるる毛虫かな ハードエッジ
白といふふはふはの色毛糸編む ハードエッジ
ふはふはの粉雪のごとき毛布かな ハードエッジ
初夢に雪ふはふはと暖かし ハードエッジ
セーターの白を汚して元気な子 ハードエッジ
元気:
無職ゆゑ白い元気な蝶ばかり 永田耕衣
峰雲は元気筋雲は繊細 西村和子
お変りもなくてお元気さうな汗 ハードエッジ
母なりに元気な暮らし蚊遣香 藤崎由紀子
潮日焼山日焼して元気なり 星野立子
日本の元気なころの水着かな 安里琉太
葉桜のころは元気に歩くべし ハードエッジ
鰯雲おーいわたしは元気だぞ 安増恵子
子供達お墓参りに来て元気 今井千鶴子
足踏みも元気よく春遠からじ ハードエッジ
おしくらまんぢゅう皆貧しくて皆元気 鎌田保子
十字軍より元気にて黒コート 櫂未知子
セーターは白で金髪碧眼で ハードエッジ
金髪:
金髪のごとく美し木の芽伸ぶ 阿波野青畝
金髪は冷え易くして滝を去る 鷹羽狩行
金髪にして桃色の毛絲編む 京極杞陽
公園に白きセーター昼休 ハードエッジ
昼休:
日の永くなりたることを昼休 ハードエッジ
たんぽぽの隣に座る昼休み 一澤千鶴子
運動会お昼休みの賑はひに ハードエッジ
風花や小学校の昼やすみ 上村占魚
雪吊の仕上がらぬまま昼休み 高田正子
何話そセーターを編む母のそば ハードエッジ
何+話そ:
春宵の何から話そ旅のこと 稲畑汀子
人去りて三人官女なに話そ ハードエッジ
鎌倉の何から話そ桜餅 田畑美穂女
久闊の何から話そ扇風機 高木晴子
よその子にかこまれて秋何話そ 高田風人子
セーターの母が写りし古写真 ハードエッジ
古写真:
卒業やモンペの並ぶ古写真 大塚とめ子
アイスクリーム食べさせてゐる古写真 ハードエッジ
籐椅子の母に抱かれし古写真 ハードエッジ
古写真出して笑ひぬ夜は長し 高木晴子
古写真に映る人びと冬深し 薮内小鈴
古写真股引の父若きかな 滝沢伊代次
セーターを着てセーターを買ひに行く ハードエッジ
参考歌:
ボーダーを着てボーダーの服買いに行くのはながいきのおまじない 橋爪志保
セーターの談笑美術館ロビー ハードエッジ
セーターを着て危きに近寄らず ハードエッジ
危き:
危きに遊ぶ楽しさ石鹸玉 ハードエッジ
紙雛のあやふき影や夜半の燭 桂信子
蛇の子の鱒に危き柳かな 会津八一
神輿いま危き橋を渡るなり 久米三汀
明けんとす露のあやふきものの先 加藤楸邨
あやふきに遊ぶこころや綿虫は 能村登四郎
セーターの前後左右と裏表 ハードエッジ
前後左右:
大枯木前後左右を忘却し 津田清子
セーターの表の薔薇と裏の薔薇 ハードエッジ
セーターを開きにすればカーディガン ハードエッジ
潜るのがセーター羽織るのがカーディガン ハードエッジ
芭蕉なら緋のセーターを大枯野 ハードエッジ
セーターや芭蕉の齢とうに越え ハードエッジ
◎推敲過程/テキスト/pdf
全3枚/127句
全然堂歳時記 冬 【セーター】テキスト推敲
◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf
全5枚
全然堂歳時記 冬 【セーター】A4推敲◎推敲過程/葉書印刷+手書き/pdf
全2枚/葉書8枚
全然堂歳時記 冬 【セーター】葉書推敲
◎葉書俳句表側
◎データベース画面/桐v10
◎セーター秀句
セーターの黒い弾力親不孝 中嶋秀子
妻着ずに逝きしセーター我似合ふ 能村登四郎
妻知らぬセーターを着て町歩く 本井英
一団地子らのセーター相似たる 後藤比奈夫
セーターのあつたかさうな予報官 西原天気
スエターの胸まだ小さし巨きくなれ 京極杞陽
セーターの中に貧しき丘がある 櫂未知子
セーターの胸の薔薇ごと愛さるる 椎名智恵子
セーターの上にセーター街古りぬ 小宅容義
セーターにもぐり出られぬかもしれぬ 池田澄子
セーターを脱ぎてセーターあたたかし 齋藤朝比古
以上です