開発素句報 2022-07 「汗の滴り」
◎葉書俳句
◎テキスト
雲ひとつ暑さに変り無けれども ハードエッジ
無けれども:
刻とどむすべなけれども更衣 馬場駿吉
ぼうふらの音無けれども賑やかな 西村麒麟
正座して師は無けれどもお正月 佐々木六戈
無けれども/自作:
春の山越ゆるつもりはなけれども ハードエッジ
花篝花の高さはなけれども ハードエッジ
ふく風に春待つ気配なけれども ハードエッジ
鉄道の涼しく曲る青嶺かな ハードエッジ
涼しく曲:
風鈴の垣根涼しく曲りけり 阿部みどり女
大川の涼しく曲るところかな ハードエッジ
掬ひたるアイス涼しく曲りけり ハードエッジ
借りて乗るボートの一期一会かな ハードエッジ
借りて:
蛙の目借りて返さず眠るべし 鈴木鷹夫
借りて来し猫なり戀も付いて来し 中原道夫
借りてさす日傘は派手や豆の花 中村汀女
借りて着る浴衣のなまじ似合ひけり 久保田万太郎
借りて乗る田植よごれの自転車に 木村蕪城
秋雨や旅の一日を傘借りて 高濱虚子
一癖のある稲刈機借りて来し 小原啄葉
宿借りて名を名乗らする時雨かな 松尾芭蕉
降る雪や借りて愛読書となりぬ 望月周
借りて来し鍋大いなり薬喰 星野麦人
炎天や光合成をひたすらに ハードエッジ
光合成:
水着着て光合成の始まりぬ 櫂未知子
一枡を一字で埋める涼しさよ ハードエッジ
一字:
雛の灯や母の名一字もらひし子 岬雪夫
遠足の子に扁額の一字読め 高千夏子
一字だけつかぬネオンや猫の恋 栗林明弘
悲しさを漢字一字で書けば夏 北大路翼
ふとぶとと氷一字の旗よろし 松本たかし
一字づつ文字を覚ゆる草の花 日原傳
提灯の三つに一字づつおでん 下田實花
辞書割つて一字を寒燈下に拾ふ 佐野まもる
飛びたがる誤植の一字冬の蠅 秋元不死男
楷といふ一字の枯木大いなり 高野素十
年玉や上の一字を筆はじめ 正岡子規
書初や平仮名一人一字づつ 久保田万太郎
一字なほにじみひろごる試筆かな 皆吉爽雨
板塀も板戸も失せて蝉の殻 ハードエッジ
板戸:
魚を干す板戸の反りや青芒 大木あまり
朝顔や板戸にしみて釘のさび 長谷川櫂
青空や板戸を立てて氷る宿 宇佐美魚目
朝すでに汗の滴り原爆忌 ハードエッジ
朝すでに:
朝すでに砂にのたうつ蚯蚓またぐ 西東三鬼
◎推敲過程/テキスト
開発素句報 2022-07 推敲 テキスト◎推敲過程/葉書加筆
開発素句報 2022-07 推敲 葉書◎葉書俳句表側
以上です