冬 【着膨れ】 着膨れの三文安を婆が抱く

推敲:三文安/2022.6.15

全然堂歳時記 冬の部

【着膨れ】きぶくれ

 

◎葉書俳句

 

 

◎テキスト

うさぎ小屋当番の子の着膨れて ハードエッジ

着膨れてゐても何かとけ出す子 ハードエッジ

  駆け出す:
  遅れじと犬の駈け出し牧開き 片山由美子

  駆け出して底持つかばん夏近し 古川朋子   ともこ

  大野火のびのふいに駆け出したくなりぬ 猪俣千代子いのまた ちよこ

  いさぎよ夕立ゆだちの駅を駆け出すは ハードエッジ

  駈け出して雨中の茄子なすをもぎてくる 和田耕三郎

  生き別るほどに駆け出したこ上がる 対馬康子つしま やすこ

着膨れが泣いてじたばた床に寝て ハードエッジ

着膨れの三文安さんもんやすの子が可愛かわい ハードエッジ

  推敲:
  着膨れの三文安をばばが抱く ハードエッジ 2022.6.15

  先行句:
  着ぶくれて子が可愛いといふ病 中村草田男   くさたお

  三文俳句:
  三文がかすみ見にけり遠眼鏡とおめがね 小林一茶   いっさ

  なが生きは三文の得どぢやうなべ 亀田虎童子   こどうし

  早起きは三文の得茄子なす胡瓜きゅうり ハードエッジ

 

着膨れて当りさわりのない話 ハードエッジ

  有益な場合、
  取つて置きの話を胸に着膨るる 佐藤郁良   いくら

 

着膨れて毛並み良きものひるがえし ハードエッジ

 

重ね着の雪より白き恋衣こいごろも ハードエッジ

  参考句:
  寒ければ着重ね恋しければう 池田澄子   すみこ

  春なら、
  重ね着る花の衣といふことも ハードエッジ

 

着膨れて我身わがみ一つのわが命 ハードエッジ

  参考句:
  秋風のわが身ひとつの句なりけり 安住敦あずみ あつし

  つくろひつつ使ふ身一つそぞろ寒 岡本眸    ひとみ

 

着膨れの仏の顔も三度とや ハードエッジ

  仏の顔:
  大仏の顔よごれたり山桜 正岡子規  しき

  大仏の顔をはしるやつゆの玉 正岡子規  しき

  

 

着膨れをさげすみ立てるジャコメッティ ハードエッジ

 

着膨れて夜の火をる五六人 ハードエッジ

  夜の火:
  まつさきに星が見付けし深夜の火事 田川飛旅子たがわ ひりょし

  つぎつぎて通夜つや火鉢ひばちに炭乏し 上村占魚うえむら せんぎょ

  川音をたのしむ夜の火桶ひおけかな 増田龍雨ますだ りゅうう

  歌反古うたほごき居る除夜じょや火桶ひおけかな 正岡子規

 

宇宙船船外作業着膨れて ハードエッジ

  宇宙船:
  宇宙船つライカ犬乗せしまま 池田瑠那  るな

  隙間風すきまかぜ入るを許さず宇宙船 ハードエッジ

 

 

着膨れのままか一肌ひとはだ脱ぐべきか ハードエッジ

 

手も足も出せず着膨れ懐手ふところで ハードエッジ

  手も足も:
  手も足もばらばらにあり運び去る ハードエッジ

  手も足も声も捨て去りへびきれい 播磨陽子はりま   

  腹を見せ手も足も見せもずにえ ハードエッジ

 

重ね着を丸ごといで湯に走る ハードエッジ

  丸ごと:
  丸ごとの命なりけり石鹸玉しゃぼんだま ハードエッジ

  校庭が丸ごと花の水たまり ハードエッジ

  鉄橋の丸ごとびて山桜 ハードエッジ

  お祭の赤子まるごと手渡さる 池田澄子

  丸ごとの西瓜すいか巻き取る象の鼻 ハードエッジ

 

着膨れをはやすがごと上天気じょうてんき ハードエッジ

  囃すの四季:
  春なれや天女てんにょを囃す鳶の笛 ハードエッジ

  百千鳥ももちどり雌蕊雄蕊めしべおしべを囃すなり 飯田龍太

  よろこびて囃す雀や袋掛ふくろかけ 石田波郷    はきょう

  往きあぐむ長刀鉾なぎなたほこを囃しけり 長谷川櫂      かい

  嫁入の行列囃せ鳴子なるこ引け 島田青峰    せいほう

  登校や寒い寒いと囃しつつ ハードエッジ

  一群の寒烏かんがらすにぞ囃されし 相生垣瓜人あいおいがき かじん

 

 

◎推敲過程

  面倒、、、当分保留

 

以上です