◎葉書俳句
背景の「落」マークは、
春夏は涼しそうな青
秋冬は暖かそうな赤、にしましたが逆効果
雛祭に青、冷蔵庫に赤はなかろう
と気付いたが後の祭
◎テキスト
春
お目覚めの熊に食はるる蕗の薹
ショボ
改案:
春はまだ熊の欠伸と蕗の薹 ハードエッジ
歳時記の春の巻より春の風
ツマラン
背が伸びて細き手足や雛祭
まだ、ふっくらの頃は、
手に取つて素足を愛づる赤ん坊 ハードエッジ
桜貝永遠に幼き桜色
自作類句:
ほんのりと言へば桜のさくら色 ハードエッジ
暖かや赤子の爪の桜色 ハードエッジ
春たのし子猫の鼻も桜色 ハードエッジ
花びらを蝶の如くに壁に刺す
大失敗
畑中に小便もらふ桜の木
「畑中」の秀句:
畑中の西瓜漂着せし如し 大串章
改案:
遊ぶ子に小便もらふ桜かな ハードエッジ
「遊ぶ子」の四季:
陽炎に包まれ遊ぶ子供かな 高濱虚子
母たのし汐干にあそぶ子を眺め 星野立子
物指をもつて遊ぶ子梅雨の宿 星野立子
遊ぶ子のなかをぬけゆく墓参かな 日原傳
石集めてひとり遊ぶ子鳰淋し 清原枴童
味見するやうに子猫を舐めてをる
強引
バックネット裏のあんパン春の雲
空振りか?
壺焼の壺を貰つて帰りけり
山葵田の水全幅で奏でをる
コザカシ
虚子の忌の棒を継ぎ足し継ぎ足して
むろん先行句は、
去年今年貫く棒の如きもの 高濱虚子
家業繁盛 w
電柱は刺さるレガッタは進む
刺さる電柱の先行句:
寒鴉去りて電柱つきささる 秋元不死男
夏
誤用また楽しからずや五月晴
元々は陰暦五月(新暦六月)の晴れ間=梅雨晴間
昨今は新暦五月にも用いられる
梅雨の月花より濡れてゐたりけり
魔が差したとしか、、、
毒だみや夜遊びに行く五六人
子宝のこぼれむばかり燕の巣
先行句:
子燕のこぼれむばかりこぼれざる 小澤實
他の自作「子宝」:
金銀に勝る子宝宝船 ハードエッジ
馬車飾る鈴になるべし花南瓜
シンデレラ
宿浴衣きのふは絣けふは縞
石と木と鉄の道あり炎天下
冷房のなき本堂の太柱
丼は涼しと猫の子が眠る
参考句:
貰ひ来る茶碗の中の金魚かな 内藤鳴雪
胡瓜揉み塩辛き手となりにけり
胡瓜揉みの名句:
胡瓜もみ世話女房といふ言葉 高濱虚子
ひまはりは雪の深さを知らざりき
知らざりきの名句:
みつまめをギリシャの神は知らざりき 橋本夢道
番号や団地の壁の夕焼けて
番号の名句:
電話みな番号を持ち星祭 山口優夢
みづからも骸となりし蚊遣香
冷蔵庫バタンと閉めてまた明日
こういう軽快な句を揃えたい
秋
八月の赤字九月の黒字かな
白桃を夢の高さに積み上げて
大失敗
曲りつつ青き稲穂は金色に
稲は日に芋は土中に太りをる
縦書は塔婆に良けれ曼珠沙華
これよりぞ秋刀魚祭が火を噴いて
月並
下駄箱の中の長靴秋の暮
屋上に駐車場あり今日の月
蜂蜜のとろりと夜学果つる頃
一寸、背伸び
冬
毛糸玉子猫のために買ふことも
健気なりコンクリートも大根も
コンクリの秀句:
さくら咲くコンクリートを煉つてゐる 加倉井秋を
コンクリの基礎の部屋割り紫木蓮 小池義人
葱買うてパン屋の前を通りけり
先行句:
葱買うて枯木の中を帰りけり 与謝蕪村《よさ ぶそん》
「買うて」の四季:
蛤を買うて重たや春の月 松本たかし
宵山に買うて端切れの美しき 山西雅子
出目金を買うて龍宮城も買ふ 木田千女
蟷螂の怨みを買うてしまひけり 福神規子
湯上りの蜜柑忘るな柚子買うて ハードエッジ
剥く時の林檎包丁蜜柑指
腸詰め
湯ざめするまでは湯ざめでなかりけり
深刻な「までは」:
死ぬまでは生きてゐし人ひやし桃 八田木枯
年末
買ひ替へし鍋に始まる年用意
凡庸
行く年に息を凝らしてゐたりけり
山寺のあたりが赤し除夜の鐘
新年
ぽつかりと初日を生めり海の上
泣初の赤子の舌の短さよ
初夢に見知らぬ人がにこにこと
にこにこの怪句:
地球一万余回転冬日にこにこ 高濱虚子
瓶に入れ流してみたき宝船
着飾りて詩歌の国の歌留多会
先行句:
波寄せて詩歌の国や大旦 大谷弘至
冬2
寒卵売場乳製品売場
締切前のラストワン句
地元の生協写生句
春2
もう一度子猫になつて会ひに来よ
◎推敲過程/時系列手書き推敲 A4
全31ページ
角川俳句賞2019
◎推敲過程/季語別 A4
表示不具合調査中
全10ページ
赤字が最終稿
角川俳句賞 2019 季語別推敲
以上です