追記:船に手を振る3句/2019.11.22、三味線草/2019.10.3
ペアリング52
省力化で句と作者の間隔を空白2文字から1文字にしてみました
◎出立
春寒や砂より出でし松の幹 高濱虚子
落葉より立ち上りたる大樹かな 稲畑汀子
◎歯に当てて
歯に当ててぱりりと音や桜餅 ハードエッジ
歯に当てゝいよいよ青き実梅かな 野村喜舟
歯にあてて雪の香ふかき林檎かな 渡辺水巴
◎雪と白
雪汚すもの白梅の落花かな 深川正一郎
雪の上に落ちて紛れず白椿 吉川一竿
雪に咲く白き椿の金の蕊 ハードエッジ
◎地球の影
月に置く地球の影や冴返る 三島広志
月涼し地球の影を映しては 内田美紗
月面に地球の影や鹿の声 加藤静夫
三味線草地球も長き影曳くや 河原枇杷男
◎それが
春の暮老人と逢ふそれが父 能村研三
空稲架に老人が立つそれが兄 大牧広
◎大樹の動静
囀をこぼさじと抱く大樹かな 星野立子
薄紅葉して静かなる大樹かな 高濱虚子
木の実降る幹静かなる大樹かな 高橋淡路女
◎船に手を振る
花見舟の手を振る人や振り返へす 髙見恵子
遠くの船につい手を振って青水無月 池田澄子
遊船の人に手を振り答へ見る 星野立子
船遊びとは手を振つてすれちがふ 本井英
浚渫船にも手を振りて舟遊 吉岡翠生
◎収まる影
日盛や椰子にをさまる椰子の影 福永耕二
石の影石にをさまる秋の暮 矢島渚男
我が影の我に収まるきりぎりす 加藤楸邨
◎人魂
人魂で行く気散じや夏の原 葛飾北斎
人魂も涼みに来れ蚊遣香 ハードエッジ
◎寺々
村々のその寺々の秋の暮 鷹羽狩行
寺寺に在すみほとけ柿日和 橋本鶏二
以上です