俳句類題 名詞
【水底】みなそこ/みなぞこ
水底、水の底、水+底、等の俳句を集めました
「55DB」でのヒット数は333句/2019.6.20
そこから、私の好みで、
非生物の石、砂、泥
そして、
非物質の影、その他を選びました
逆に言うと、
天文の日や雲
生活物
植物の落葉や木の実
動物の小魚や虫は、ほとんど見送りました
◎石
水底の石のゆらめき山笑ふ 長谷川櫂
水底の石みな透ける涼しさよ 吉屋信子
底の石ほと動き湧く清水かな 高濱虚子
底の石動いて見ゆる清水哉 夏目漱石
水底に動かぬ石や秋の立つ 桂信子
◎砂
水底の砂の涼しく動くかな 長谷川櫂
苔清水底砂にして青松葉 正岡子規
秋立つや砂をどりゐる水の底 瀧澤和治
水底の砂のさ走るまで澄めり 上田五千石
水底の砂も小春の日なたかな 桜井梅室
◎影
水底に魚の影さす春日哉 正岡子規
魚の影底にしばしば春の水 夏目漱石
泡影いくつ底に舞ひ居り水温む 西山泊雲
水底に映れる影もぬるむなり 杉田久女
水底を影遅れゆく流し雛 藤原たかを
花影の水の底にぞ濃かりける 藺草慶子
水底を渦の影ゆく桜桃忌 林昭太郎
水底の目高の影の方が濃し 西村和子
水底に影の生れて澄みにけり 馬場龍吉
解けて浮く氷のかげや水の底 村上鬼城
鴛鴦の遅々たる影や水の底 寺田寅彦
水底の朽葉にありぬ鯉の影 西東三鬼
◎泥
泥落ちてとけつつ沈む芹の水 高濱虚子
水底に泥のかぶさる月の村 桂信子
ねむごろに水底もみぢ泥となりぬ 松村蒼石
水底は泥の静けさ寒の鯉 ハードエッジ
◎落椿
水底に仰向きしづむおちつばき 飯田蛇笏
水底に重なりあへる椿かな 原石鼎
水底に赤き椿を敷き詰めて ハードエッジ
水底に椿こたびは流れ去る 大野林火
◎見たぞ!
水底を見て来た顔の子鴨哉 内藤丈草
水底の日暮見て来し鳰の首 福永耕二
水底を見て来し鳰の眞顔かな 中嶋秀子
泥鰌浮いて鯰も居るというて沈む 永田耕衣
◎独特な水底
水底に水輪ひろごる涅槃かな 対中いずみ
水底の栓を抜きたる涼しさよ ハードエッジ
水底の見ゆるさびしさ泳ぎをり 仙田洋子
水の底突けば固しや水澄める 岸本尚毅
水底に映れるごとし遠花火 長谷川櫂
水底は水面を知らず冬の月 山田露結
※水底の読み方:
「みなそこ」が一般的でしょうが、
私は長らく「みなぞこ」と読んでました
「ふりがな文庫」によれば、
「みなそこ」=51.8%、
「みなぞこ」=16.5%です/2019.6.20
参照先:ふりがな文庫「水底」
以上です