ペアリング33 ローリング・ストーンズなる生身魂 榮猿丸

更新:1ペアを2ペアに組み替えて9句追加/2019.10.10、1句入替/2019.1.7

ペアリング33

◎雨の川

春雨はるさめの中を流るる大河かな  与謝蕪村 よさ ぶそん

五月雨さみだれを集めて早し最上川もがみがわ  松尾芭蕉    ばしょう

 

 

◎雪と泥

春の雪老いたる泥につもりけり 橋閒石  かんせき

雪解けの道の泥んこ恋の猫 ハードエッジ

芹薺せりなずな踏みよごしたる雪の泥 広瀬惟然   いぜん

初雪をどろにこねたる都かな 水田正秀

降る雪を泥にこねたる時雨しぐれかな 水田正秀    まさひで

泥に降る雪うつくしや泥になる 小川軽舟    けいしゅう

 

 

◎泥と水

春泥しゅんでいの水の乾きしひとところ 今井杏太郎    きょうたろう

春泥にたまりて水が澄みゐるよ 長谷川双魚      そうぎょ

泥落ちてとけつつ沈む芹の水 高濱虚子たかはま きょし

澄む水に泥煙とは美しや ハードエッジ

水よりも泥光りをり池普請いけぶしん 小圷健水こあくつ けんすい

 

 

◎残存

残りしか残されゐしか春のかも  岡本眸    ひとみ

木守柿きもりがき勝ち残りしややぶれしや  大串章

 

 

◎清水

遠浅とおあさの水清ければ桜貝  上田五千石   ごせんごく

さびしさの水清らかにくずやな  森澄雄

 

 

◎豹の夏、豹の冬

柔かく女豹めひょうがふみて岩くる  富安風生    ふうせい

へう柄の豹をみてゐる寒さかな  内田美紗

 

 

◎時は過ぎ行く

かたつむりゐなくなるまでゐてやれず  野口る理

虫籠むしかごに虫ゐる軽さゐぬ軽さ  西村和子

 

 

◎対岩石

岩に爪たてて空蝉うつせみ泥まみれ  西東三鬼さいとう さんき

小春日こはるびや石をみゐる赤蜻蛉あかとんぼ  村上鬼城    きじょう

 

 

◎ロッケン俳句

ローリング・ストーンズなる生身魂いきみたま  榮猿丸さかえ さるまる

ミック・ジャガーの小さなおしり竜の玉  内田美紗

 

 

◎蜂の敵

雑巾ぞうきんをかぶせられたる秋のはち  岸本尚毅    なおき

冬の蜂おさへきたるほうきかな  高野素十    すじゅう

 

 

◎死の前後

死ぬときははし置くやうに草の花  小川軽舟

毛糸玉或る時いのちふっと無し  池田澄子

 

以上です