ペアリング20 よろこべばしきりに落つる木の実かな 富安風生

追記:春水/2021.8.23、入学・新涼・初日/2020.12.16、神輿/2020.3.16、嬉しくて3句/2019.11.21、草の絮/2018.10.31、鳥帰る・下り簗・海鼠/2018.10.28、揚雲雀・入道雲/2018.10.4、子猫/2018.9.8、1ペア追加/2018.9.7、菜飯・浦島翁・線香花火・蒲団/2018.7.17、星涼し/2018.6.4
移転:2ペア移転/2018.9.4

ペアリング20

 

◎鐘の扱い

さびしさやけばのどかなかねの音  矢島渚男    なぎさお

梵鐘ぼんしょうつまはじきつつ涼しけれ  上村占魚うえむら せんぎょ

梵鐘をくすぐるごとし煤払すすはらい  長谷川櫂     かい

 

 

◎歓喜

はた打つや土よろこんでくだけけり  阿波野青畝あわの せいほ

うれしくてたまらぬやうに初蝶はつちょうは  市堀玉宗いちぼり ぎょくしゅう

うれしくて飛び上りたるつばめの子  ハードエッジ

よろこべばしきりに落つるの実かな  富安風生とみやす ふうせい

うれしくて手袋の手を叩くなり ハードエッジ

うれしくてこつぽり逃げる七五三 山田弘子

 

 

◎蝶の翅

ちょうはねたためば模様かさなりぬ  藤田湘子しょうし

冬の蝶かさねし翅のずれてゐし  小原啄葉おばら たくよう

 

 

◎遠方

入学の子に見えてゐて遠き母 福永耕二

みえてゐて遠き海かもつくしむ  木下夕爾ゆうじ

遠くある電車の車庫や揚雲雀あげひばり  ハードエッジ

遠くある入道雲にゅうどうぐも蟻地獄ありじごく  ハードエッジ

見えてゐて遠きところや星涼し  ハードエッジ

赤々と見えゐて遠き初日はつひかな ハードエッジ

見えてゐて京都が遠し絵双六えすごろく  西村麒麟   きりん

 

 

◎切味や如何

晩夏光ばんかこうナイフとなりて家を出づ  角川春樹

プールサイドの鋭利えいりな彼へ近づき行く  中嶋秀子

庖丁ほうちょうの切れ味を待つ海鼠なまこかな  川崎展宏    てんこう

 

 

◎知らぬ食べ物

みつまめをギリシャの神は知らざりき  橋本夢道むどう

ユトリロは雑煮ぞうにを知らず雪のパリ  ハードエッジ

 

 

◎流れ流れて

ともだちの流れてこないプールかな  宮本佳世乃

踊子おどりこの妻が流れて行きにけり  西村麒麟   きりん

新涼しんりょう回廊かいろうを僧流れゆく 高瀬祥子   さちこ

 

◎部分的

春水と行くを止むれば流れ去る 山口誓子   せいし

春昼しゅんちゅうの子猫時々目を覚まし  ハードエッジ

鳥帰るところどころに寺の塔  森澄雄

遠くまで行く秋風とすこし行く  矢島渚男なぎさお

  少しじゃない場合:
  遠くまで行く秋風に草の絮  ハードエッジ

秋風を二三歩追へり見送れり  神蔵器かみくら うつわ

ゆかりなき秋の神輿みこしとすこし行く 安里琉太あさと りゅうた

長き夜のところどころを眠りけり  今井杏太郎きょうたろう

  熟睡バージョン:
  長き夜を余すことなく眠りけり  ハードエッジ

行く秋の所々や下りやな  与謝蕪村よさ ぶそん

 

以上です