推敲:たまはる/2020.12.18、曲るなり/2020.4.22
追記:キャラメル/2019.9.23、石あれば/2019.7.23、半ば6句/2018.11.15、月涼し/2018.10.7、露けき2句/2018.9.28、その中(入替)/2018.6.19、手袋・深淵/2018.6.18
ペアリング16
◎塵や露や破片
我らみな青き地球の春の塵 ハードエッジ
月涼しわれら地球の破片なるも 池田瑠那
忘年や身ほとりのものすべて塵 桂信子
石ころも露けきものの一つかな 高濱虚子
われもまた露けきもののひとつにて 森澄雄
◎抱かれて
母に抱かれてわれまつさきに囀れり 八田木枯
十五歳抱かれて花粉吹き散らす 寺山修司
◎波音
波音の東海道や初燕 ハードエッジ
波音の由比ヶ浜より初電車 高濱虚子
◎障害物
スリッパを越えかねてゐる仔猫かな 高濱虚子
露の玉蟻たぢたぢとなりにけり 川端茅舎
石あれば左右に割るる蟻の列 利普苑るな
蟻の列磁石を置けば曲るなり ハードエッジ
◎ゆっくり、じっくり
日の歩みせかずあわてず蕗の薹 鷹羽狩行
油壓もて日月あがる松の芯 中原道夫
◎半分
三月へ急ぐ二月のはや半ば ハードエッジ
解けてまた氷る二月のはや半ば ハードエッジ
降りつづく弥生半ばとなりにけり 高濱虚子
桜餅草餅春も半かな 正岡子規
卓上日記いま真二つ半夏生 鈴木榮子
夏休みも半ばの雨となりにけり 安住敦
天の川今年も半ばすぎしかな 久保田万太郎
雪達磨二十世紀も半ば過ぎ 上野泰
◎行くものと光
行く秋や朝を照らせる常夜灯 岡田一実
ゆく年が今ゆふやけてゐるところ ハードエッジ
◎浮遊物
深淵に浮いて平たき蛙かな 岸本尚毅
冬河に新聞全紙浸り浮く 山口誓子
漂へる手袋のある運河かな 高野素十
枯草にキャラメルの箱河あわれ 金子兜太
噴水に葉牡丹ちぎれ浮いてをり 岸本尚毅
◎その中に
その中にちいさき神や壺すみれ 高濱虚子
その中に紅葉の黄なる明るけれ 高濱年尾
その中に眠るものあり雪ま白 ハードエッジ
その中に美貌の枯木ありにけり ハードエッジ
◎集るもの
日本がここに集る初詣 山口誓子
各地より我名たまはる年賀状 ハードエッジ
以上です