ペアリング12 鶏頭の短く切りて置かれある 岸本尚毅

追記:達磨市/2021.1.10、去年今年2句/2020.12.30、枯葦/2018.9.8、梨の形/2018.6.18、1ペア入替/2018.1.16

◎ペアリング12

 

◎有形無形

花の芯すでに苺のかたちなす  飴山實(あめやま・みのる)

まだ形なさざるものへ袋掛け  片山由美子

生つてゐる梨の形になつてきし  高野素十

 

 

◎ご案内

揚雲雀空のまん中ここよここよ  正木ゆう子
  ※揚雲雀=あげひばり

河豚宿は此許よ此許よと灯りをり  阿波野青畝(せいほ)
  ※河豚宿=ふぐやど、此許=ここ、灯り=ともり

 

 

◎花浴び

花散るや象のかたちの滑り台  上田信治
  ※象=ぞう、滑り台=すべりだい

花ふぶき張子の虎も吠ゆるかな  ハードエッジ
  ※張子の虎=はりこのとら、吠ゆる=ほゆる

 

 

◎快癒

傷少しふくれて癒ゆる残花かな  上田信治
  ※癒ゆる=いゆる、残花=ざんか

肉の傷肌に消えゆくねむの花  鳥居真里子

 

 

◎空気の加減

ひつそり減るタイヤの空気鳥雲に  津川絵理子
  ※鳥雲に=とりくもに(春の季語)

押し返すチューブの空気豊の秋  広渡敬雄
  ※豊の秋=とよのあき

自転車に詰める空気も年用意  ハードエッジ

青空に詰まる空気や達磨市だるまいち 小川軽舟    けいしゅう

 

 

◎ちからの源

天地の力もて結ひ茅の輪かな  長谷川櫂(かい)
  ※天地=あめつち、茅の輪=ちのわ
  →茅の輪/GGL画像

大勢の力で廻す踊の輪  ハードエッジ

 

 

◎父よ

端居してただ居る父の恐ろしき  高野素十(すじゅう)
  ※端居=はしい

花石榴父のお客はみな怖し  西村麒麟(きりん)
  ※花石榴=はなざくろ、怖し=こわし

 

 

◎花瓶に代えて

涼しさや花橘を皿の上  長谷川櫂
  ※橘=たちばな

鶏頭の短く切りて置かれある  岸本尚毅(なおき)
  ※鶏頭=けいとう

 

 

◎ひかり通過

籐椅子を抜ける西日となりにけり  長谷川櫂
  ※籐椅子=とういす

枯葦かれあしにすがすがと入る日脚ひあしかな  西村和子

屑籠の編目に日透く初句会  澤木欣一
  ※屑籠=くずかご、網目=あみめ

 

 

◎年末年始の月

高々と年越す月の上りけり  ハードエッジ

天心の月の左右なる去年今年  井沢正江
  ※左右=さう、去年今年=こぞことし

路地裏ろじうらもあはれ満月去年今年 三橋鷹女みつはし たかじょ

天心に静止衛星去年今年 ハードエッジ

 

 

以上です