冬 【年末集】 ゆく年が今ゆふやけてゐるところ

改訂版画像追加/2017.12.31

全然堂歳時記 年末集

 

古暦切つて綺麗なメモ用紙
  ※古暦=ふるごよみ、綺麗=きれい

日記買ふにも立読の如きもの

数へるにしても短日ばかりなり
  ※短日=たんじつ

 

悪筆を吉例として賀状書く
  ※悪筆=あくひつ、吉例=きちれい

筆を止め筆を止め書く年賀状

夜更しの煮豆ことこと賀状書く
  ※夜更し=よふかし
  改、小夜ふけて煮豆ことこと賀状書く

 

のし餅ののされぐあひを押してみる

惜みても余りある年惜みけり

手囲ひの白息に年惜みけり

大年や午後の日に舞ふ塵ほこり
  ※大年=おおとし=大みそか、塵=ちり

堰を切るための堰あり大晦日
  ※堰=せき、大晦日=おおみそか

 

ゆく年が今ゆふやけてゐるところ

行く年の日は沈みつつ潮満ち来

年行くや大きな橋に灯を点し

年の夜の湯に沈むとも浮ぶとも
  改、除夜の鐘湯に沈みつつ浮びつつ

 

ここからは篝火の道除夜詣
  ※篝火=かがりび、除夜詣=じょやもうで

山々を驚かしたる除夜の鐘

NHK第一放送除夜の鐘

 

葉書版、改訂版

 

 

葉書版、初版