1ペア移転/2018.9.4、追記:昼の虫/2020.5.14、寺も古り/2019.12.28、桜餅/2018.11.15、安産・哺乳瓶・月の出/2018.8.27、櫻鯛・月の色/2018.5.17、遠花火/2018.5.7
◎ペアリング8
◎日本の春秋
春風の日本に源氏物語 京極杞陽(きよう)
秋風の日本に平家物語 京極杞陽
◎生育環境
この島の魚で肥えて猫の恋 大谷弘至(おおたに・ひろし)
※肥えて=こえて
潮風に育つて蠅の逞しき ハードエッジ
※蠅=はえ、逞しき=たくましき
朗々と山に生れて昼の虫 阿部みどり女
◎ディスプレイ
婚の荷をひろげるやうに雛飾る 猪俣千代子(いのまた・)
※婚の荷=こんのに
ウインドに落葉のやうに靴ちりばめ 西村和子
◎死の季節
春なれや歌舞伎これより死出の旅 岸本尚毅(なおき)
※歌舞伎=かぶき
夏芝居監物某出てすぐ死 小澤實
※監物某=けんもつなにがし
◎メモメモ φ(・_・”)
晩夏光バットの函に詩を誌す 中村草田男(くさたお)
※晩夏光=ばんかこう、安い煙草の銘柄がゴールデンバット(こうもり)、誌す=しるす
→ゴールデンバット/GGL
野球のバットなら、
炎天のビールケースにバット挿す 榮猿丸(さるまる)
渡り鳥紙ナプキンに書く手紙 神野紗希(こうの・さき)
書いた手紙の住所が滲んでいたら
→荒井由実『あの日にかえりたい』/歌ネット
鉛筆で助炭に書きし覚え書 高濱虚子(たかはま きょし)
※助炭=じょたん→GGL画像
◎光り物
松手入ひかりの針をふりこぼし 鍵和田[ゆう]子(かぎわだ・)
白葱のひかりの棒をいま刻む 黒田杏子(ももこ)
※葱=ねぎ
◎暗い位置
足もとはもうまつくらや秋の暮 草間時彦
とつぷりと後ろ暮れゐし焚火かな 松本たかし
月の出やまだ坂下は眞のやみ 正岡子規
◎オルゴールの蓋
蓋開けて月の光のオルゴール ハードエッジ
※蓋=ふた
凍蝶や蓋を閉ぢたるオルゴール 山田露結(ろけつ)
※凍蝶=いてちょう
◎老い共々
われも老い妻も老いけり桜餅 田中冬二
楠若葉団地全棟全戸老ゆ 小川軽舟(けいしゅう)
鯉も老いこの寺も古り幾秋ぞ 高濱年尾
吾も老いぬ汝も老いけり大根馬 高濱虚子
神父老い信者われ老いクリスマス 景山筍吉(じゅんきち)
日記果つ父老い長嶋茂雄老い 小川軽舟
以上です