本流になれぬ悲しみ流れ星
寂しさに流星群をなせりけり
針山に刺して流星コレクション
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
本流になれぬ悲しみ流れ星
寂しさに流星群をなせりけり
針山に刺して流星コレクション
土色は白桃の非の打ちどころ
泣きながら賽の河原に桃を積む
桃の香の残る机に稿を継ぐ
神々も寂しかりしや秋の暮
原つぱも喇叭も消えて秋の暮
町の子に町の寂しさ秋の暮
鳴き通す図書館裏の本の虫
童謡が「あれ」と歌ふよ虫の声
この頃の虫の弱音や数も減り
満天の星に送られ流星は
流星に潮吹き上ぐる鯨かな
流星の降り止まぬ夜もいつか来て
のびのびと長き蛙や鵙の贄
鵙の贄鵙の帰りを待つ如く
鵙の贄月の光に冷ゆるかな
旅ゆけば秋田青森りんご晴れ
見て見てと小学四年林檎むく
しりとりのりんごが誘ふごはんかな
ドガとその踊子たちの夜食の絵
急患に夜食なかばで呼び出され
眠たさの夜食つまみつ乳飲ます
地下水をタンクに貯めし大西瓜
切られるか叩き割られるかの西瓜
素麺に添へて西瓜の箸休め
白黒の間の黄色終戦日
植民地解放成らず敗戦日
悪魔の手借りし米国戦勝日
恋人と葡萄の園に昼寝して
食べ終へて骨格残る葡萄かな
園閉ざすころには雪か葡萄村
赤々と月の出を待つ夕焼かな
ふる雪もちる花もなき月夜なり
真夜中の月夜の日本大使館
婚の荷でありし柿の木祖母の庭
入りし刃にシクと切られし柿の種
柿たわわ日本の村の滅びつつ
流れ星ただ一筋に光るなり
一の糸そして二の糸流れ星
流星や柱の中に錆びし釘
長き夜を線香の火の沈みゆく
長き夜の胡麻を圧して胡麻油
而して頁を捲る夜長かな
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
秋風も秋風らしく秋なかば
アベベなく円谷もなし秋の風
秋風に心尽しの秋刀魚焼く
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
秋雨に草芽吹きたる更地かな
秋雨や線路は頭のみ光り
秋雨や小学生の五六人
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
上流は神々の山天の川
天の川古き時計の捨て所
モナリザの瞳の中の天の川
けふは城あすは図書館松手入
松手入松の緑を滴らす
池に雨松の手入も済みたるよ
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
柿くへば鐘の正岡子規忌なり
柿食うて柿好き子規の忌を修す
死神を何の糸瓜と子規忌かな
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
火柱は秋刀魚の神の降臨か
秋風に心尽しの秋刀魚焼く
黒に焦げ琥珀に焼けて秋刀魚かな
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
草の花やがて草の実草の種
細道の人に踏まるな草の花
星ひとつ空を零るる草の花
※葉書俳句追加予定/2024.9.1
三色に白粉花の赤白黄
おしろいの花も蕾も種も見ゆ
白粉花の蕾はみどり種は黒