全然堂歳時記 夏の部
【蟬生る】せみうまる
全然堂歳時記=現在、本号を含め89記事=春夏秋冬–年末年始=29-20-17-16–3-4
/2023.8.13
子季語:蟬の穴
目次
◎葉書俳句
◎テキスト
蟬の穴地下から掘つて来りけり ハードエッジ
暁闇や決死の蟬が穴を出づ ハードエッジ
その辺の地べたにほろと蟬の穴 ハードエッジ
伸び初めし蟻の列あり蟬も出づ ハードエッジ
改案:
蟻の列伸び始めたり蟬も出づ ハードエッジ 2023.8.13
庭掃けばまだ新しき蟬の穴 ハードエッジ
蟬の殻ぬるりと抜けて生れけり ハードエッジ
改案:
蟬殻をぬるりと抜けて生れけり ハードエッジ 2023.8.13
目も眩むほどの地上に出でし蟬 ハードエッジ
産声の無き静かさに蟬生る ハードエッジ
穴を出て色なき蟬が歩きをる ハードエッジ
参考句:
露の幹静かに蝉の歩き居り 高濱虚子
飛び立ちし蟬を見送る蟬の穴 ハードエッジ
蟬穴に蟬の未来はなかりけり ハードエッジ
真つ黒な歳月残る蟬の穴 ハードエッジ
墓穴にあらずよ蟬の生れし穴 ハードエッジ
蟻の穴にぎやか蟬の穴孤独 ハードエッジ
寂しくてビー玉詰めし蟬の穴 ハードエッジ
改案:
ビー玉を詰めて寂しき蟬の穴 ハードエッジ 2023.8.13
羽化の蟬飛んで風化の蟬の穴 ハードエッジ
帰り来ぬ蟬を忘るる蟬の穴 ハードエッジ
蟬の穴蟬を葬ふごと崩る ハードエッジ
蟬の穴無用のものは崩れ易 ハードエッジ
蟬すでに遠く果てたる蟬の穴 ハードエッジ
◎推敲過程/テキスト/pdf
全3枚/161句
全然堂歳時記 夏 【蟬生る】 テキスト推敲
◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf
全2枚
全然堂歳時記 夏 【蟬生る】 A4推敲
◎推敲過程/葉書俳句原稿&書き込み/pdf
葉書俳句書き込み無し 全9枚
全然堂歳時記 夏 【蟬生る】 葉書推敲 原稿
葉書俳句書き込み有り 全9枚
全然堂歳時記 夏 【蟬生る】 葉書推敲 加筆
◎葉書俳句表側
◎データベース画面/桐v10
◎蟬生る秀句
※漢字の「蝉」は「蟬」である可能性が高いのですが、
わがデータベース入力時の制限で「蝉」になってます ご容赦
蝉の穴まばゆき朝の来てゐたり 大谷弘至
しやがみてもこどもになれず蝉の穴 大島雄作
神仏の混交ながし蝉の穴 岩下四十雀
蝉生る夢の色して幹のぼる 山口青邨
しがみつくだけの一生蝉生る しまねこくん
やわらかき蝉生れきて岩つかむ 西東三鬼
この穴をすすめば蝉の生誕地 加藤絵里子
生きものの匂ひ消えたる蝉の穴 大串章
蝉の穴しづかに舟を待つてゐる 岸本尚毅
蝉穴よりこの世覗かれゐて塞ぐ 中原道夫
蝉すでに老いて出でたる蝉の穴 正木ゆう子
蝉穴といふ寂寞をのぞき見る 能村登四郎
蝉の穴程の寂しさなどといふ 高澤良一
蝉の穴覗く故郷を見尽して 中村苑子
覗きたきものは奈落よ蝉の穴 村上巳津子
塵ひとつなき境内に蝉の穴 若井新一
蝉の穴目利きのごとく覗きをり 大石悦子
蝉の穴蟻の穴よりしづかなる 三橋敏雄
邃(おくぶか)し単なる蝉の穴なれど 相生垣瓜人
蝉の数ほどもなかりし蝉の穴 中本真人
もう何も出てこぬ蝉の穴の数 鶴岡加苗
ただ一度蝉の通りし蝉の穴 吉田汀史
ひとつだに入口のなき蝉の穴 菊井義子
蝉すでに抜けしを蝉の穴といふ 片山由美子
◎未練句/補遺/在庫処理
蟬抜けて蟬穴残る虚ろかな ハードエッジ
蟬穴に蟬の未練はなかりけり ハードエッジ
飛び立つは死出の旅路や蝉の穴 ハードエッジ
崩れつつ蝉を忘るる蝉の穴 ハードエッジ
雨足の深く刺さりし蟬の穴 ハードエッジ
もう蝉の出て来ぬ穴を見てゐたる ハードエッジ
蟬の穴近くに蟬の歩きをる ハードエッジ
蟬生れて湯上りのごと吹かれをる ハードエッジ
以上です