NHK俳句 2025 落選供養 鶯や松竹梅と鳴き移り

NHK俳句/2025
春夏/秋冬

落選作

◎葉書俳句

2024年のNHK俳句落選供養と比べて、
背景の袋文字をオレンジから赤(RGB:255.0.0)に変更
縁幅を3px→1pxにしましたが、
縁幅が狭い為か、私的にはオレンジ寄りに見えます

◎テキスト

内海うちうみに雲の遊べる春日はるひかな ハードエッジ

内海:
静けさや内海に降る春の雨 内田百閒
内海を船の行き交ふ月今宵 ハードエッジ
内海も雪ふる日なり海苔あぶる 百合山羽公
内海のまた内海の蜜柑山 百合山羽公
初霞して内海の船だまり 石原舟月
内海や初東雲の島いくつ 小島花枝

春雨はるさめや土をはぐく微生物びせいぶつ ハードエッジ

微生物:
健やかに微生物棲む人体よ 佐藤清美

山々の残雪ざんせつみゆる春の海 ハードエッジ

うぐいすそだちの良さや梅屋敷うめやしき ハードエッジ

生れと育ち:
銀座生れ銀座育ちの猫の恋 大久保白村
香水や大正生れ巴里育ち 七田谷まりうす
神戸生まれ芦屋育ちのサングラス 三村純也
路地に生れ路地に育ちし祭髪 菖蒲あや
うろこ雲大阪生れ奈良育ち 津田清子
阿波に生れ浪花に育ち近松忌 福田蓼汀

うぐいす松竹梅しょうちくばいと鳴き移り ハードエッジ

松竹梅:
鶴亀も松竹梅も千歳飴 ハードエッジ
盆栽の松竹梅も初日浴ぶ ハードエッジ
左義長の松竹梅の煙かな ハードエッジ

百獣ひゃくじゅうの王の血筋ちすじや恋の猫 ハードエッジ

血筋:
毛虫にも黒毛・栗毛の血筋あり ハードエッジ

無我夢中むがむちゅう唯我独尊ゆいがどくそん猫の恋 ハードエッジ

夢中:
熱中も夢中のときも過ぎて秋 鷹羽狩行

生粋きっすいのアスパラガスの緑色 ハードエッジ

生粋:
生粋も子飼も減りぬ春の雪 加藤静夫

花吹雪はなふぶき一年生はよく走る ハードエッジ

一年生:
春泥を飛び越え一年生となる 金子敦
雛祭一年生もすぐ終り 上野泰
一年生あの子もこの子も家の子も 石塚友二
一年生電車の中を歩きをり 秋山未踏
蝌蚪飼つて一年生も反抗期 穐好樹菟男
ことごとく一年生や花芽吹く ハードエッジ
厚氷一年生が割らんとす ハードエッジ

湖は火山の名残なごり雲のみね ハードエッジ

火山:
死火山の眠りから覚め笑ふなり ハードエッジ
火山湖のみどりにあそぶ初つばめ 飯田蛇笏
炎天に口を開けたる休火山 ハードエッジ
活火山死火山問はず万緑に 稲畑汀子
天高く吹つ飛ばされし火山の頭 ハードエッジ

名月や海の底なる活火山 ハードエッジ
海底に火山噴きつぐ去年今年 池田瑠那
活火山修学旅行泊り発つ 楠節子
火山から出てくる机ごときもの 小川双々子

みおろせば西日ありけり空の旅 ハードエッジ

空の旅:
吹かば吹け春一番の空の旅 ハードエッジ
花びらは花を離れて空の旅 ハードエッジ

滝白く自由落下といふ快楽けらく ハードエッジ

落下:
飛燕あれは夢に落下の花鋏 市野記余子
地球儀が地球に落下青嵐 原田暹
裾をやや乱して神の滝落下 片山由美子
隕石落下まつくらなそうめんつゆ 冬野虹
真空を自由落下の羽根布団 ハードエッジ

滝といふ長く引き伸ばされしもの ハードエッジ

引き伸:
花の雨遺影引伸ばされ薄れ 大野林火
手の皺を引きのばし見る火鉢哉 正岡子規

山々に家族でいどごおり ハードエッジ

挑む:
香水や初めて挑む汚れ役 中里とも子
身を以て炎に挑む大蛾かな ハードエッジ
包丁が西瓜に挑む心意気 ハードエッジ
木枯が高層ビルに挑むなり ハードエッジ
ゆく年やしきりに岸へいどむ波 久保田万太郎

けずの白い巨塔きょとうみつの味 ハードエッジ

山崎豊子『白い巨塔』/Wikipedia

この山の雲にも別れ避暑ひしょ家族 ハードエッジ

この山:
この山に緋桃が咲いて御開帳 森澄雄
鶯やこの山もまた汽車の音 正岡子規
この山が例の古地図の流星の ハードエッジ
この山の火のなきところ煙茸 ハードエッジ
この山の眠りの緑ところどころ 長谷川櫂

この山に育ちし狸撃たれたり ハードエッジ
この山があり川があり白鳥来 太田土男
葛の花踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり 釈迢空

今年また警察沙汰ざたの夏祭 ハードエッジ
沙汰:
長閑さに無沙汰の神社廻りけり 炭太祇
うすものや破門の沙汰もなきごとく 鷹羽狩行
母逝きて里の祭の沙汰もなし 脇山良子
御沙汰あり大筍を奉る 高野素十
水の出た沙汰は聞かぬか天の川 中村史邦
老司書に叙勲の沙汰や返り花 下村ひろし

仲裁ちゅうさい喧嘩腰けんかごしなる祭かな ハードエッジ

一生を水族館のたことして ハードエッジ

本歌取り:
一生を小田原城の蜘蛛として 岸本尚毅

一生:
一生を働かず死ぬ桃の花 後閑達雄
一生を悔いてせんなき端居かな 久保田万太郎
一生を同じ稲穂を見て案山子 箱森裕美
一生を棒に俳句や阿波踊り 橋本夢道
一生を焚火の番をしてゐたき 辻桃子
一生を島に老いたる日向ぼこ 上野泰

土の色して空蟬うつせみの軽さかな ハードエッジ

土の色」
耕牛の一歩に変はる土の色 堀切克洋
雪解の土の色濃し蕗の薹 ハードエッジ
打水のたちまち乾く土の色 ハードエッジ
土の色出で尽したる代田掻 若井新一
土の色濃し蟻の巣の出入口 ハードエッジ

萩か根や露にぬれたる土の色 正岡子規
曇る田も春へ急げる土の色 阿部みどり女

すらすらと秋は水性ボールペン ハードエッジ

二三日残暑ざんしょを洗ひ流す雨 ハードエッジ

洗ひ流:
泡の身をシャワーで洗ひ流しけり ハードエッジ

身代金みのしろきん持つて雨月うげつ遊園地ゆうえんち ハードエッジ

遊園地:
遊園地の外にも浮かぶ春の雲 ハードエッジ
遊園地動かす電気桜咲く 遠藤容子
遊園地の異国の街や棕櫚の花 榮猿丸
菊人形今年限りの遊園地 塩田藪柑子

む水と青く丈夫じょうぶなポリバケツ ハードエッジ

丈夫:
蛙鳴くや黒くて丈夫なフライパン 中村明子
澄む水と青く丈夫なポリバケツ ハードエッジ
村の子は丈夫で裸赤のまま 上村占魚
コーラの氷を最後には噛む大丈夫 越智友亮
七草や夫婦の丈夫な飯茶碗 池田澄子

裏側に裏の顔ある案山子かかしかな ハードエッジ

裏の顔:
裏の顔いつしか表鳥威 林昌華
鯛焼の表の顔と裏の顔 津野利行

米はくら案山子かかし納屋なやにをさめけり ハードエッジ

収めけり:
膝すゝめ来て待針ををさめけり 清崎敏郎
蜂の尻ふは~と針をさめけり 川端茅舎
日が暮れて残暑も矛を収めけり ハードエッジ
蟷螂の翔びて怒りををさめけり 加藤かけい
日が伸びて春を射程に収めけり ハードエッジ
霜柱踏んで達磨ををさめけり 高田正子

踊子おどりこやぐらに唄ふこともかな ハードエッジ

踊りと櫓:
櫓いま故老笛とる踊らめや 皆吉爽雨
盆踊終り櫓に灯を残す 池田秀水
灯の消えし踊り櫓の下にかな 行方克巳

火虫ひむしえてやみを好める虫の声 ハードエッジ

闇を好:
干菜風呂火の粉は闇を好みけり ながさく清江

満開の花より派手はで紅葉山もみじやま ハードエッジ

派手:
派手な花に地味な種あり蒔きにけり ハードエッジ
やや派手を母にすすめて花衣 中村明子
花すみれ二りんは可愛ゆ三りんは派手 京極杞陽
蒲公英は地道に咲いて派手な花 ハードエッジ
派手ながらどこか控へ目菜の花は 池田笑子

花びらは花より派手や風に乗り ハードエッジ
借りてさす日傘は派手や豆の花 中村汀女
花火より花火セットの色が派手 ハードエッジ

ありの巣にありちて吹雪ふぶきの夜 ハードエッジ

満ち満:
みちみちて水の寝息の植田村 熊谷愛子
被爆者の満ち満ちし川納涼舟 関根誠子
接吻もて映画は閉ぢぬ咳満ち満つ 石田波郷

しづけさの色違ひなり雪・氷 ハードエッジ

色違:
しやぼん玉兄弟髪の色違ふ 西村和子
春燈の色違ひたる二間かな 正木ゆう子
何の菜か宿の菜飯の色違ひ ハードエッジ
牡丹の色違へども蘂の金 川崎慶子
姉妹の願いの糸の色ちがふ 沢田岳楼
散り敷いて色ちがひたる落葉かな 池内たけし

水道管めて立ち去る枯野かな ハードエッジ

本歌取り:
田一枚植ゑて立ち去る柳かな 松尾芭蕉

立ち去:
問答に負けて立去る霞かな 野村喜舟
いま一つ椿落ちなば立ち去らん 松本たかし
鐘ついて男立ちさる雲の峰 福田甲子雄
羊群の泉濁して立ち去れり 太田土男
ひとり言いうて立ち去る清水かな 炭太祇

早々に香水圏を立ち去らん 加藤静夫
展墓人はや立ち去りし香煙り 高橋淡路女
蓮根掘立ち去りぎはに鳴子ひく 阿部みどり女
どつと来てどつと立ち去る御慶かな 山田みづえ

さびしさに橋をかけたり枯野川 ハードエッジ
橋を架:
新しき橋をけたる春の月 ハードエッジ

日を浴びてふくらみもせず枯野原 ハードエッジ

日を浴:
永き日の末の夕日を浴び歩く 大野林火
湯帰りの立春の日を浴びにけり 篠原温亭
日を浴びて春の雪舞ふ金閣寺 浜田智恵
ひさかたの冬日を浴びて出土品 箱森裕美
冬空の鳶や没後の日を浴びて 上田五千石
今日だけは初日を浴びよ足の裏 加藤楸邨

日を浴/自作:
土くれも石ころも春の日を浴びて ハードエッジ
日を浴びつまだ陽炎となれぬ石 ハードエッジ
日を浴びて波を忘るる春の海 ハードエッジ
日を浴びて働く蜂も花蜜柑 ハードエッジ
日に一度夕日を浴びて鵙の贄 ハードエッジ

日を浴びて散りぬる金の枯葉かな ハードエッジ
蜜柑山沖の漁船も日を浴びて ハードエッジ
富士つひに初日を浴びて輝けり ハードエッジ
当選の如く初日を浴びてをる ハードエッジ

あれほどの紅葉もみじなりしを雪の山 ハードエッジ

あれ程:
あれほどの鴨の一夜に引きし沼 橋田憲明
手花火にしてあれほどの高さまで 三村純也
あれ程の暑さも残り僅かなり ハードエッジ
あれ程の椋鳥をさまりし一樹かな 松根東洋城

牡蠣鍋かきなべ土手どての輪天に土星の輪 ハードエッジ

土手:
土手に寝て春の証の腕まくり ハードエッジ
ぞろぞろと土手の上行く春の人 正岡子規
土手につく花見疲れの片手かな 久保より江
梅雨の川みるみる土手を削りをる ハードエッジ
衣更へて傘干す土手を歩みけり 内田百閒

焼夷弾逃れし土手や花火見る 川村みよき
どんぐりの落つるや土手の裏表 正岡子規
土手を外れ枯野の犬となりゆけり 山口誓子
孤児ら遊び土手の枯草擦り切れし 津田清子

孤独こどくなるたかの帝国雪催ゆきもよい ハードエッジ

孤独:
遠足にとり囲まれて象孤独 野中亮介
蟻の穴にぎやか蟬の穴孤独 ハードエッジ
飛行機は長き夜を行く孤独な灯 ハードエッジ
秋の日や凭るべきものにわが孤独 木下夕爾
妻がゐて子がゐて孤独いわし雲 安住敦

火落して湯舟の孤独虫の闇 ハードエッジ
孤独死のきちんと畳んである毛布 北大路翼
草枯れてこれより草の根の孤独 ハードエッジ
孤独死だろう俎板だけ白い 月波与生

ちょうてて影に形のへる ハードエッジ

寄り添:
傘立てに寄り添ふ二本さくら冷え 片山由美子
寄り添うて眠るでもなき胡蝶かな 炭太祇
うすきうすきうす紅梅によりそひぬ 池内友次郎
花水木咲くや若葉も寄り添うて ハードエッジ
涼み舟らしく寄りそふ灯二つ 森田峠

よりそひて静なるかなかきつばた 高濱虚子
秋の灯の部屋寄り添つて一つ家 小川軽舟
寄り添つて二本冷たき氷柱かな ハードエッジ
毛糸編む人に寄り添ふ睡魔かな ハードエッジ
寄り添うて共に解け行く雪達磨 ハードエッジ

夜といふ地球の影の枯木かな ハードエッジ

地球+影:
月に置く地球の影や冴返る 三島広志
月涼し地球の影を映しては 内田美紗
月面に地球の影や鹿の声 加藤静夫
胡桃の影濃し地球半分は夜 内藤吐天
月凍つか地球の影の掩ふとき 渡邊白泉

新年

粛々しゅくしゅく餅腹もちばら進む初詣はつもうで ハードエッジ

粛々:
粛々と髭を剃りたる西行忌 飯田冬眞
暁粛々夕寥々とほととぎす 吉野義子
粛々と培養ゲルを貪る黴 藤田哲史

◎初案39句

内海に雲の遊べる春日かな ハードエッジ
春雨や土の中なる微生物 ハードエッジ
あの山に雪まだ見ゆる春の海 ハードエッジ
鶯に育ちの良さや梅屋敷 ハードエッジ
鶯や松竹梅と鳴き移り ハードエッジ
百獣の王の血筋や恋の猫 ハードエッジ
無我夢中唯我独尊猫の恋 ハードエッジ
生粋のアスパラガスの緑色 ハードエッジ
花満ちて一年生はよく走る ハードエッジ

湖は火山の名残り雲の峰 ハードエッジ
夏空を飛んで夜空へ空の旅 ハードエッジ
滝といふ長く引き伸ばされしもの ハードエッジ
滝落る自由落下といふ快楽 ハードエッジ
山々をみんなで崩す掻き氷 ハードエッジ
掻き氷白い巨塔を崩しゆく ハードエッジ
この山の雲に別れや避暑家族 ハードエッジ
本部にて喧嘩始まる祭かな ハードエッジ
一生を水族館の蛸として ハードエッジ
土の色して空蟬の軽さかな ハードエッジ

すらすらと秋は水性ボールペン ハードエッジ
この雨や残暑を洗ひ流すべく ハードエッジ
身代金持つて無月の森の中 ハードエッジ
澄む水と青く丈夫なポリバケツ ハードエッジ
稲は蔵に案山子は納屋にをさめけり ハードエッジ
表にも裏にも顔のある案山子 ハードエッジ
踊子の櫓に唄ふこともかな ハードエッジ
火虫絶えて闇を好める虫の声 ハードエッジ
紅葉山血気盛んといふべかり ハードエッジ

蟻の巣は蟻で一杯吹雪の夜 ハードエッジ
しづけさの色違ひなり雪・氷 ハードエッジ
枯野行く水道管や音もなく ハードエッジ
寂しさに橋をかけたる枯野かな ハードエッジ
日を受けて膨らみもせず枯野かな ハードエッジ
全山の紅葉なりしを雪の山 ハードエッジ
牡蠣鍋に土手の輪天に土星の輪 ハードエッジ
王のみの鷹の帝国山聳ゆ ハードエッジ
凍蝶の影と形の寄り添へる ハードエッジ
夜といふ地球の影にゐて寒し ハードエッジ

遅々として餅腹進む初詣 ハードエッジ

 

◎推敲句一覧/pdf

原句39句/推敲総数147句
全147句/4枚

NHK俳句 2025 推敲句一覧

◎A4推敲 原稿/pdf/略

 

◎A4推敲 加筆/pdf/略

 

◎葉書俳句表側

◎データベース画面/桐v10

 

◎選者の先生方とご担当

堀田季何先生:猫の恋2句、アスパラガス、掻き氷2句、残暑、案山子2句、鷹、初詣

岸本尚毅先生:春日(海)、春雨(土)、残雪(海)、
雲の峰(雲)、西日(空)、避暑(雲)、蛸(水)、空蟬(空)、
秋(水)、水澄む(水)、虫(音・声)、
牡蠣鍋(土)、凍蝶(影)、枯木(影)
※丸括弧内が兼題

和田華凜先生:鶯2句、花吹雪、滝2句、祭2句、月、踊り、紅葉2句、雪2句、枯野3句

ご鞭撻、感謝に堪えません

 

◎落選葉書一覧リンク

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以上です