俳壇賞 2025 落選供養 プランB 大浴場にあまたの蛇口虚子忌なり

俳壇賞 2025
プランB「高飛び」30句

落選作

◎葉書俳句

◎テキスト

ひなを見に一番星を先頭に ハードエッジ

一番星:
あたたかや一番星に女神の名 山口速
夕雲雀一番星を咥へ来よ ハードエッジ
噴水の一番星に届きけり 金子敦
浴衣着て一番星を探しをり 星野高士
みな帰り一番星と月見草 栗山恵子

一番星いちばん先に凍ての中 髙柳克弘
冬至なり一番星に喜色あり 相生垣瓜人
北風が一番星を砥ぎだせる 塚本万亀子
暦売一番星を見上げゐし 渡辺恭子

野焼後のやきごの地下一寸いっすんの種ぬくし ハードエッジ

地下鉄:
地下鉄を出れば銀座の春の雪 吉屋信子
地下鉄のぬるき風圧春うれひ 佐藤郁良
地下鉄の押し来る空気花疲 小川軽舟
猫の恋地下鉄郡部まで延びて 前山松花

地下鉄は青き火花を夜の秋 長谷川櫂
コクトー忌地下鉄の窓鏡なす 榮猿丸
地下鉄路線図こんがらがって神無月 斉田仁
地下鉄で行く地下街のクリスマス ハードエッジ
牡蠣船に坐し地下鉄の工事音 右城暮石

この下を地下鉄通る落葉かな ハードエッジ
地下鉄の最後尾にて年惜しむ 木村敏男
地下鉄も初日浴びゆく小石川 福島胖

大浴場だいよくじょうにあまたの蛇口じゃぐち虚子忌きょしきなり ハードエッジ

蛇口:
余寒とはずらりと蛇口並ぶこと 櫂未知子
春風に蛇口の水のよろめける 抜井諒一
さくらの夜不意に蛇口が水こぼす 宮坂静生
蛇口なる水の細きも遍路宿 本井英
雲水の蛇口むさぼる炎暑かな 生田力丈

素麺を冷やす蛇口の露まみれ ハードエッジ
颱風裡蛇口捻れば嗚咽のみ 小川軽舟
蛇口まで押し寄せてゐる水の秋 中塚健太
枯原の蛇口ひねれば生きてをり 髙柳克弘
鶴凍てて水ほとばしる蛇口かな 岸本尚毅

若水やあをき藁もて蛇口結ひ 南うみを
蛇口にて水束ねらる寂光土 攝津幸彦

はずされて古き巣箱は草の上 ハードエッジ

草の上:
枯草の上の枯葉に春日かな ハードエッジ
木洩日に浮かぶ花びら草の上 長谷川櫂
夕立に鎌の光りや草の上 寺田寅彦
草刈の人の弁当草の上 依光陽子
冬草の上の発泡スチロール ハードエッジ

煤払や神も仏も草の上 正岡子規

梅の字の消えてしまひし山桜桃ゆすらうめ ハードエッジ

梅と字:
蘂といふ字のみつしりと梅の花 津川絵理子
いの字よりはの字むつかし梅の花 夏目漱石
考へを文字に移して梅の花 高濱虚子
字拙きをあはれみたまへ梅の神 正岡子規
お習字のみな前向くよ梅の花 千野千佳

壽の字は紅梅の蕊のさま 野澤節子
雨の字の中も雨ふり梅雨つづく ハードエッジ
虫偏の字なども厭ふ梅雨の夜は 相生垣瓜人
似て非なる蜜と密の字梅雨籠 ハードエッジ
消えがての伝言板の梅雨の文字 行方克巳

梅雨晴や文字より落つるチョークの粉 池田瑠那
干梅の怨の字に似る一つ見ゆ 中村和弘

ぐつぐつと太陽ゆるひでりかな ハードエッジ

太陽:
太陽にぶん殴られてあつたけえ 北大路翼
太陽に酔ひ下りられぬ雲雀達 鷹羽狩行
「太陽にほえろ!」に残る扇風機 櫂未知子
雨に咲く傘太陽に咲く日傘 中塚健太
太陽や農夫葱さげ漁夫章魚さげ 西東三鬼

太陽が夕陽にかはる稲穂波 鶴岡加苗
曼珠沙華暗き太陽あるごとし 阿部みどり女
伊太利の太陽の唄日向ぼこ 高濱虚子
太陽と同じ丸顔雪達磨 ハードエッジ
光源は太陽一つ初景色 小川軽舟

裸子はだかごはおなか、せなかを前うしろ ハードエッジ

前うしろ:
夜桜のみしみし搖るゝまへうしろ 川崎展宏
葉桜や子を自転車の前うしろ 若井新一
前うしろ乗せて自転車秋の空 ハードエッジ
銀杏の実しきりに落つる前うしろ 高濱年尾
としよりやとつくりスエターまへうしろ 草間時彦

潮吐きしときの海鼠に前うしろ 山田弘子
冬椿落つやわが佇つ前うしろ 木下夕爾

饅頭まんじゅうのごと夏みかん食ふ妊婦にんぷ ハードエッジ

饅頭:
饅頭の天邊に印あたたかし 中原道夫
饅頭の餡のむらさき春の山 中嶋憲武
大きな大きな葬式饅頭梅が咲き 斉田仁
饅頭に濃き焼印の端午かな 池田澄子
饅頭や足の黴たる童子ども 永田耕衣

饅頭の割られて乾く夜長かな 箱森裕美
饅頭の片割れ包む敬老日 松山足羽
饅頭のやうな茸の名は何と ハードエッジ
饅頭割ってさみしいほうを津軽とす 矢本大雪

いぶかしむアイスクリーム前のあり ハードエッジ

訝し:
享保雛天井の灯を訝しむ ハードエッジ
いぶかしや遍路の群におのれ見て 能村登四郎
片目してラムネの玉を訝しむ 正木ゆう子
一枚はいぶかしき数朴落葉 いのうえかつこ

ようみの蟻地獄ありじごくにはちりほこり ハードエッジ

用済み:
父の日の使用済なる乾電池 佐藤郁良
用済みの骸をはねる蟻地獄 柴崎公子
白に緑に蚕豆の莢用済みに ハードエッジ
用済みのなほ直立の曼珠沙華 ハードエッジ

秋冬あきふゆと春にもあれど夏のはえ ハードエッジ

あれど:
風あれど玻璃ごしなれば春めきぬ 星野立子
飛ぶ鳥や氷柱はあれど春の山 大串章
越すつもりあれどあさがほ蒔きにけり 久保田万太郎
巣燕や旅にはあれど書肆に寄る 大島民郎
戸の開けてあれど留守なり桃の花 加賀千代女

大海のうしほはあれど旱かな 高濱虚子
棚あれど置くもののなき簗番屋 森田峠
毛虫にも色々あれどみな嫌ひ ハードエッジ
雲あれど無きが如くに秋日和 高濱虚子
芋はあれど酒なし月を如何せん 正岡子規

天の川小さくあれど志 矢島渚男
頼りなくあれど頼りの案山子かな 清崎敏郎
冬日低く眩しくあれど温もらず ハードエッジ
白と黄は菊にもあれど水仙花 ハードエッジ
曙は常にもあれど今朝の富士 井上井月

ホルマリンづけにもならずせみから ハードエッジ

虫すうて虫とる糸をむる蜘蛛くも ハードエッジ

吸うて:
息吸うてからだ浮く湯の朧かな 澁谷道
水吸うて崩ゆる土塊つばめ来る 南うみを
水吸うて水の上なる桜かな 曾根毅
あさつゆを吸うてつちくれよみがへる 中田剛
息吸うて一身の浮く初湯かな 今瀬剛一

夕焼に黒点ふゆる喰鳥くいどり ハードエッジ

黒点:
曇天の黒点なれど声は雲雀 香西照雄
黒点となり光となりて揚雲雀 上田五千石
太陽に黒点のあり黒穂生ふ 石井とし夫

天網てんもう習作しゅうさくからすうりの花 ハードエッジ

天網:
天網にかかり戻らぬ凧いくつ 大関靖博
天網をいくたびもぬけ流れ星 佐藤礼以子
天網は鵲(かささぎ)の巣に丸めあり 恩田侑布子
鷹飛ぶや天網を裂きひらきつつ 小檜山繁子
天網は冬の菫の匂かな 飯島晴子

朝顔の咲くほかはなき今朝けさの雨 ハードエッジ

今朝の雨:
散り敷ける花連翹に今朝の雨 星野立子
籐椅子や旅にしありて今朝の雨 長谷川櫂

はらわたこころざしへと新酒しんしゅむ ハードエッジ

志:
亀鳴くや事と違ひし志 安住敦
方寸にあり紅梅の志 川崎展宏
志松にもありて松の芯 鷹羽狩行
麦秋やあとかたもなき志 上田五千石
志半ばの人の更衣 ハードエッジ

天の川小さくあれど志 矢島渚男
紫に白に桔梗の志 ハードエッジ
西瓜ほど重くなけれど志 池田澄子
志ぶれず揺がず着膨れる ハードエッジ
屠蘇祝ふ古希には古希の志 清崎敏郎

さわやかに心機しんき一転いってんやりなおす ハードエッジ

やり直す:
永き日の自画像の顔やり直す ハードエッジ

いわしらの誰彼だれかれもなきつみれかな ハードエッジ

誰彼:
誰彼の誰彼も逝き虚子忌かな 高田風人子
誰彼の老いてしまひし帰省かな ハードエッジ
誰彼の亡き傘雨忌でありしかな 鈴木真砂女
一年で誰彼消ゆる盆踊 ハードエッジ
吊革の誰彼の目の遠花火 相子智恵
誰彼がかれこれいふて年暮るる 会津八一

高飛びのひざ高く曲げすいつちよん ハードエッジ

蟋蟀こおろぎつぶれて黒き地べたかな ハードエッジ

潰れて:
闘鶏の眼つぶれて飼はれけり 村上鬼城
さくらんぼ踏めば潰れて夏来る 遠藤梧逸
咲くやうに潰れてをりぬこがねむし 小谷由果
無花果落ちて潰れしや潰れて落ちしや 永田耕衣

丈高たけたかき草こそ月にかなひけり ハードエッジ

丈高:
夏は雲白無垢の丈高きこそ ハードエッジ
丈高くゑのころ草の枯れ初むる ハードエッジ
丈高き男なりけん木枯らしに 高濱虚子
凍鶴の首を伸して丈高き 高濱虚子

我こそはすすきの味方月の使者 ハードエッジ

味方:
啓蟄や敵も味方も供養の碑 角川源義
軽薄は土産の味方海苔を買ふ ハードエッジ
ゴジラいま地球の味方花吹雪 ハードエッジ
雷神を味方につけて雨強し ハードエッジ
敵味方入り乱れたるシャワーかな 齋藤朝比古

味方とは限らぬ低く来る揚羽 池田澄子
みづすまし味方といふは散り易き 鷹羽狩行
月と酒敵も味方もなかりけり 正岡子規
敵味方ともに香りて菊人形 林昭太郎

敗荷やれはすを自由闊達かったつとも思ふ ハードエッジ

自由:
風船を手放す自由ありにけり 櫂未知子
さへづりの中にて自由時間とす 佐藤郁良
滝白く自由落下といふ快楽 ハードエッジ
嫌はれてしまへば自由油虫 高田風人子
冬籠不自由ながら婢も置かず 鈴木花蓑

不自由なやうで氣まゝや冬籠 正岡子規
真空を自由落下の羽根布団 ハードエッジ
空といふ自由鶴舞ひ止まざるは 稲畑汀子

胸元むなもと薔薇ばらのほつれしスヱタかな ハードエッジ

胸元:
胸もとに虫の入りたる浴衣かな 久保田万太郎
夜濯に胸もと濡れぬそれも洗ふ 鷹羽狩行
菊人形胸もと菊のやや混みて 福永耕二
菊人形の胸もと深く水注ぐ 百崎左人
胸もとの少しよごれて著ぶくれて 下田實花

水鳥はきびすかせ着水ちゃくすいす ハードエッジ

着水:
着水のあとは音なき浮寝鳥 小池康生
着水の鴨もしぶきも前のめり 手塚美佐
白鳥の腸重く着水す ハードエッジ
着水のとき白鳥の開花かな 櫂未知子

長葱ながねぎの青と白とのあはひかな ハードエッジ

草枯れてブロックべいのねずみ色 ハードエッジ

ブロック塀:
蒲公英はブロック塀の裾模様 ハードエッジ
ガラス戸にブロック塀にかたつむり ハードエッジ
ブロック塀の透かし模様や冬立つ日 ハードエッジ
あるだけの布団ブロック塀に干す 右城暮石

年末

髪刈かみかつてばかりの床屋とこや年詰としつまる ハードエッジ

髪刈:
庭先に子等の髪刈る薄暑かな 直井照男
くりくりと髪刈つてさあ夏休 小島健
若竹や髪刈らしむる庭の椅子 正岡子規
髪刈れば母また小さし秋曇 古賀まり子
老父母の髪刈る庭や菊日和 塚本治彦

赤い目をつむることなく雪うさぎ ハードエッジ

赤い目:
青い目の子猫と赤い目の魔女と ハードエッジ

◎初案30句

原句制作順

ホルマリン漬にもならず蟬の殻 ハードエッジ
虚子の忌の大浴場の蛇口かな ハードエッジ
水鳥の踵楽しく着水す ハードエッジ
訝しむアイスに出会ひたる蟻は ハードエッジ
うめと読んで梅の字あらず山桜桃 ハードエッジ

饅頭のごと夏みかん食ふ妊婦かな ハードエッジ
百番も百一番も春の星 ハードエッジ
腸へ志へと新酒酌む ハードエッジ
赤い目をつぶることなし雪うさぎ ハードエッジ
鰯らの丸くなりたるつみれかな ハードエッジ

脚曲げて背ナより高しすいつちよん ハードエッジ
朝顔の咲くほかはなき朝の雨 ハードエッジ
裸子のおの付くお腹せの背中 ハードエッジ
天網の習作烏瓜の花 ハードエッジ
丈高きものこそ月に供ふべし ハードエッジ

胸元の薔薇のほころぶセータかな ハードエッジ
一寸の深さに種の野焼かな ハードエッジ
夕焼に黒点ふゆる蚊喰鳥 ハードエッジ
爽やかに心機一転月初め ハードエッジ
いつの間に居坐つてゐる蟻地獄 ハードエッジ

青葱の青と白とのあはひかな ハードエッジ
架け替への古き巣箱の集められ ハードエッジ
もの食うて糸を吐くなる蚕・蜘蛛 ハードエッジ
敗荷の自由闊達池広し ハードエッジ
ぐつぐつと夏草生ゆる地表かな ハードエッジ

蟋蟀の潰れて黒き漢字かな ハードエッジ
草枯れてブロック塀は存へて ハードエッジ
我こそは芒の味方月の使者 ハードエッジ
髪ばかり刈つて床屋の年詰る ハードエッジ
秋冬と春にもあれど蠅は夏 ハードエッジ

◎推敲句一覧/pdf

全197句/5枚

俳壇賞 2025 プランB 推敲句一覧

◎A4推敲 原稿/pdf

全19枚

俳壇賞 2025 プランB A4推敲 原稿

◎A4推敲 加筆/pdf

全19枚

俳壇賞 2025 プランB A4推敲 加筆

◎葉書俳句表側

◎データベース画面/桐v10

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