秋 【紅葉】 翼よあれが日出づる国の紅葉山

全然堂歳時記 秋の部
【紅葉】もみじ、こうよう

全然堂歳時記=現在、本号を含め116記事=春夏秋冬–年末年始=32-27-24-21–5-7
/2025.10.19

子季語:紅葉山、山紅葉、照紅葉、濃紅葉、夕紅葉
人気成分:枝、松、川、滝、雨、暗、宿、美、煙、色、村、旅

 

◎葉書俳句

◎テキスト

つばさよあれが日出ひいづる国の紅葉山 ハードエッジ

あれが:
親方のあれが妾や鰊群来 小野寺夢城
打水のあれが打ち止めだつたかと ハードエッジ
手袋で指さしあれが壇の浦 鷹羽狩行

青空に補色ほしょくされたる紅葉かな ハードエッジ

「捕食」の駄洒落

満開まんかいの花より派手はでに紅葉山 ハードエッジ

満開:
満開の花の中なる虚子忌かな 秋元不死男
満開のにはかに冷ゆる桜花 川崎展宏
満開の桜の苗木畑かな 矢島渚男
地に深く居る満開の桜の根 辻田克巳
満開の桜や干してあるような 池田澄子

満開の花の中なる幹の花 ハードエッジ
満開の花より白き塩むすび ハードエッジ
満開の花に送られ花筏 ハードエッジ

色変いろかへぬ松をはやせる紅葉かな ハードエッジ

囃す:
囀りの挙りて囃す夜明かな ハードエッジ
百千鳥雌蕊雄蕊を囃すなり 飯田龍太
咲き囃す花菜の中の庵かな 日野草城
よろこびて囃す雀や袋掛 石田波郷

氷る湖二つに割るる夜を囃す 原裕
着膨れを囃すが如き上天気 ハードエッジ

湯の町は湯煙ゆけむりの町紅葉し ハードエッジ

紅葉濃し:
峠路の登るにつれて紅葉濃し 高濱年尾
道細り川細りつつ紅葉濃し 上村占魚

家族みなはだかで入る紅葉の湯 ハードエッジ

家族:
朝ざくら家族の数の卵割り 片山由美子
みな笑ふ家族の写真夏の雲 高倉和子
気の強き家族みんなでバタフライ 櫂未知子
家族とは濡れし水着の一緒くた 小池康生
釣糸をその数垂らし避暑家族 行方克巳

ばらばらに帰り炬燵の一家族 山本美紗
炬燵猫女系家族に囲まれて 市堀玉宗
殖えてまた減りゆく家族雑煮食ふ 大橋櫻坡子
七種を祝へば散つてゆく家族 稲畑汀子
福寿草家族のごとくかたまれり 福田蓼汀

家族/自作:
麗かや赤子を抱いて家族連れ ハードエッジ
家族の春特急の窓に鼻押し当て ハードエッジ
行楽や家族の春も瞬く間 ハードエッジ
この山の雲にも別れ避暑家族 ハードエッジ
家族にも盛りありけり帰り花 ハードエッジ

の先に赤き実のある紅葉かな ハードエッジ

「枝先」→「枝の先」に分解して、
文字の上でも疎らな感じにしたかったが、
の先」という言い方は誤用かも
松が、梅がはあるんだが、、、

団栗どんぐりをやつて紅葉をもらひけり ハードエッジ

もらひけり:
立春の大蛤をもらひけり 原石鼎
もらひけり利子少々と花の種 内田美紗
祭馬涼しき木蔭もらひけり 大石悦子
手花火のマッチ擦らしてもらひけり ハードエッジ
酒買ふて酒屋の菊をもらひけり 正岡子規

清流せいりゅうに紅葉一枝いっしとうじけり ハードエッジ

一枝:
雛舟や手向けのごとく桃一枝 大野林火
夜桜の一枝長き水の上 高野素十
梅も一枝死者の仰臥の正しさよ 石田波郷
剪りて置く紅梅一枝片袖めく 野澤節子
木蓮の一枝を折りぬあとは散るとも 橋本多佳子

連翹の一枝づつの花ざかり 星野立子
冬の水一枝の影も欺かず 中村草田男

ほろびゆく赤うつくしきもみぢかな ハードエッジ

赤い紅葉:
柿紅葉地に敷き天に柿赤し 松本たかし
日に赤く昃れば濃く冬紅葉 ハードエッジ
滝壺の底が真赤や冬もみぢ 日原傳
もみぢ散る墓に赤さが足らぬから 櫂未知子

火をけばむらさきけむる紅葉かな ハードエッジ
ぱらぱらと紅葉を打てる小雨こさめかな ハードエッジ
あかあかと紅葉の下の雨宿あまやどり ハードエッジ
湯煙ゆけむりの夜空に消ゆる紅葉かな ハードエッジ
つ暗な紅葉の宿に月もなし ハードエッジ
朝食の卵のうまき紅葉宿 ハードエッジ
書きめし紅葉のホ句にしゅを入るる ハードエッジ
紅葉こうようこうかよへるみきならず ハードエッジ
紅葉こうようは紅茶の葉にはなれぬなり ハードエッジ
月見から雪見にいたる紅葉かな ハードエッジ

 

◎初案20句

制作順

ぱらぱらと紅葉を打てる小雨かな ハードエッジ
枝先に赤き実のある紅葉かな ハードエッジ
くらやみの紅葉の宿につきにけり ハードエッジ
紅葉は紅茶の字にも似たるかな ハードエッジ
掃き溜めの紅葉の句にも朱を入れて ハードエッジ
湯の町は湯煙の町初紅葉 ハードエッジ
湯煙の夜空に消ゆる紅葉かな ハードエッジ
色変へぬ松を囃せる紅葉かな ハードエッジ
清流に棒を流しぬ初紅葉 ハードエッジ
火を焚いて紫けむる初紅葉 ハードエッジ
月見から雪見の間を紅葉見て ハードエッジ
青色は空へ抜けたる紅葉山 ハードエッジ
紅葉山血気盛んといふべかり ハードエッジ
あかあかと紅葉の下の雨宿り ハードエッジ
水を抜かれし血の色の紅葉かな ハードエッジ
朝食の卵の旨き紅葉宿 ハードエッジ
紅葉の紅通はぬ幹として ハードエッジ
団栗を出して紅葉を貰ひけり ハードエッジ
翼よあれが日出づる国の紅葉なり ハードエッジ
われらみな湯舟に裸紅葉山 ハードエッジ

 

◎推敲句一覧/pdf

全157句/3枚

全然堂歳時記 秋 【紅葉】 テキスト推敲

 

◎A4推敲 原稿/pdf

全4枚

全然堂歳時記 秋 【紅葉】 A4推敲 原稿

◎A4推敲 加筆/pdf

全4枚

全然堂歳時記 秋 【紅葉】 A4推敲 加筆

 

◎葉書推敲 原稿/pdf

全7枚

全然堂歳時記 秋 【紅葉】 葉書推敲 原稿

◎葉書推敲 加筆/pdf

全7枚、内2枚欠落

全然堂歳時記 秋 【紅葉】 葉書推敲 加筆

 

◎葉書俳句秀句&注釈面

◎データベース画面/桐v10

 

◎紅葉秀句

鬼灯は実も葉も殻も紅葉かな 松尾芭蕉
何の木も紅葉となればうつくしき 正岡子規
透き通る氷の中の紅葉哉 正岡子規
一村の家まばらなる紅葉哉 正岡子規
紅葉あり夕日の酒屋月の茶屋 正岡子規

大紅葉燃え上らんとしつゝあり 高濱虚子
紅葉してゐるや茶色に紫に 岸本尚毅
湯の縁に眼鏡を置いて紅葉山 鈴木鷹夫
懸崖に根も露はなる紅葉かな 島村元
本堂に兵隊泊る紅葉かな 滝井孝作

流れには憩ひ濃紅葉には歩く 藤崎久を
虫食ひの一葉も紅葉尽しけり 山内遊糸
遠山に滝かかりゐる紅葉かな 谷向竹桃

 

◎未練句/補遺/在庫処理

ゆぶねから湯をあふれしむ紅葉の夜 ハードエッジ
寺の子がハモニカを吹く紅葉かな ハードエッジ
温度差の身にこたへたる紅葉かな ハードエッジ
角 山深く紅葉づる湯宿ありにけり ハードエッジ
急流を流るる紅葉枝のまま ハードエッジ

あの茶屋の消えて峠の紅葉かな ハードエッジ
木の紅葉道の紅葉と見つつゆく ハードエッジ
ずんぐりと紅葉の駅にバスが待つ ハードエッジ
船の如き白きホテルを紅葉山 ハードエッジ

 

以上です