全然堂歳時記 秋の部
【流れ星3】ながれぼし
全然堂歳時記=現在、本号を含め108記事=春夏秋冬–年末年始=29-25-23-19–5-7
/2024.11.19
子季語:流星、夜這星、星流る、星飛ぶ
熟語:流星群
目次
◎葉書俳句
◎テキスト
晴れ渡る夜を喜び流れ星 ハードエッジ
晴れ渡:
どの家も蚕の香桑の香晴れわたり 飯田龍太
新緑の滴るほどに晴れ渡る ハードエッジ
晴れ渡る天下の秋となりにけり ハードエッジ
秀句あれ運動会は晴れ渡り ハードエッジ
山茶花の散るにまかせて晴れ渡り 永井龍男
数へ日をどこ吹く風と晴れ渡る ハードエッジ
年の瀬の三日つづきて晴れわたり 細見綾子
滴々と天の滴り流れ星 ハードエッジ
滴々:
滴滴と糸瓜の水も子規忌かな ハードエッジ
滴々と濾過の雫や去年今年 ハードエッジ
滴々と刻の漏れゆく去年今年 上田五千石
人の世はいかにと星をふらしめり ハードエッジ
人の世:
人の世になりても久し紀元節 正岡子規
人の世の次は何の世山桜 ハードエッジ
人の世も斯く美しと虹の立つ 高濱虚子
夜のなくば人の世いかに螢籠 鷹羽狩行
人の世に月見草あり夜明あり 星野立子
天の川人の世も灯に美しき 沼波瓊音
人の世の遠き花火の美しき ハードエッジ
人の世に木賊も蘆も刈らで老ゆ 相生垣瓜人
人の世の月日ながるる寒さかな 久保田万太郎
人の世に疎き海鼠が海の底 ハードエッジ
人の世に花を絶やさず返り花 鷹羽狩行
口笛の如く鋭く流れ星 ハードエッジ
口笛:
口笛や卒業の日も自転車で 伊藤宇太子
口笛ひゆうとゴツホ死にたるは夏か 藤田湘子
口笛は兄ハミングは姉桐の花 正木ゆう子
初秋の口笛吹いて女の子 石田郷子
船員とふく口笛や秋の晴 高野素十
口笛の音色は老いず草の花 金澤諒和
冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ 川崎展宏
本流になれぬ悲しみ流れ星 ハードエッジ
本流:
花筏本流に出て解散す 塩川雄三
本流も支流も富士の雪解川 ハードエッジ
本流に入りて安らぐ冬の川 福川悠子
泣虫の星の涙か流れ星 ハードエッジ
泣虫:
涅槃像かこむ泣き虫ばかりかな 上田五千石
泣き虫の子猫を親にもどしけり 久保より江
どろんこの泣虫洗ふシャワーかな ハードエッジ
きらきらと泣き虫の子も祭の子 成田千空
泣虫の神さまが泣く流れ星 ハードエッジ
つづれさせ泣虫母をまた泣かす 福永耕二
弱虫も泣虫も来よ西瓜切る ハードエッジ
寂しさに流星群をなせりけり ハードエッジ
流星群:
針刺して止める刺繍の流星群 対馬康子
老人や流星群の中に座し ハードエッジ
冬未明流星群と墓石群 落合水尾
流星の夜ごとに刺さる地球かな ハードエッジ
地球:
岩の面に苔の花咲く地球かな ハードエッジ
爽やかに宇宙を巡る地球かな ハードエッジ
今朝秋をわがねて丸き地球かな 長谷川零餘子
消灯の虫籠となる地球かな 都築まとむ
虫の夜の星空に浮く地球かな 大峯あきら
流星や火を取る虫も死に絶えて ハードエッジ
死に絶:
死に絶ゆるまで手を触れず螢籠 右城暮石
幾万の蝉死に絶えて風の音 長谷川櫂
逝く秋や虫死に絶えし雨の音 林翔
天の川昭和の猫は死に絶えて 岸本尚毅
大仏の鋳造すすむ流れ星 ハードエッジ
大仏:
大仏は大きな仏あたたかし ハードエッジ
大仏もいと眠たげな目借時 辻井喬
あかがねの大仏こそ花の冷 長谷川櫂
大仏の金の肌に春の塵 ハードエッジ
大仏にはらわたのなき涼しさよ 正岡子規
大仏の頭吹きけり青嵐 正岡子規
万緑の万物の中大仏 高濱虚子
大仏の冬日は山に移りけり 星野立子
大仏に子守二組冬の晴 上野泰
大仏の鼻水たらす氷柱哉 正岡子規
流れ星釈迦の救ひの糸もあれ ハードエッジ
電流の流れ星にはあらざりき ハードエッジ
電流:
空を裂く大電流の涼しけれ ハードエッジ
夕立雲電流通り易きかな ハードエッジ
ひるがほに電流かよひゐはせぬか 三橋鷹女
庭の木に電流通ふクリスマス ハードエッジ
細長きビルの屋上流れ星 ハードエッジ
ビル:
長閑さやビルに凭るるビルの影 ハードエッジ
ビル裏に配管くねる燕来る ハードエッジ
大学の中のビル群初燕 ハードエッジ
若き日の香水の香よ旧本社ビル ハードエッジ
社名の灯消えたるビルの夜長かな 中本真人
ビルの裏早暮れ初めし秋の風 ハードエッジ
解体のビルの階段十三夜 ハードエッジ
工事ビルネットの中に夜業の灯 篠田悦子
同士めく隣のビルの夜業の灯 吉岡朋子
この辺り師走のビルもなかりけり ハードエッジ
どのビルも箱のしづけさ大旦 佐藤郁良
ビル、がく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、れ なかはられいこ
流星と厨に迸る水と ハードエッジ
迸る:
山国に水迸る蝶々かな ハードエッジ
枯山をほとばしる瀬のねこやなぎ 飯田蛇笏
製材の香のほとばしる山桜 西村和子
童女かがみ尿ほとばしる麦の秋 西東三鬼
夕立に負けじと樋の迸る ハードエッジ
溝浚ひはじめての水ほとばしる 能村登四郎
手花火の火は水にして迸る 山口誓子
山百合や水迸る龍の口 正岡子規
君照らすごとほとばしる酢橘かな 野口る理
雪山に水ほとばしる寒の入り 飯田蛇笏
鶴凍てて水ほとばしる蛇口かな 岸本尚毅
黒板にかりそめの文字流れ星 ハードエッジ
文字:
うららかや仮名文字こんな日に生まれ 小池康生
壷焼の奥より文字のやうなもの 齋藤朝比古
苗札の同じ花の名違ふ文字 ハードエッジ
絵も文字も下手な看板海の家 小野あらた
白靴の中なる金の文字が見ゆ 波多野爽波
傘といふ文字重たし濃あぢさゐ 北見さとる
七夕竹惜命の文字隠れなし 石田波郷
一字づつ文字を覚ゆる草の花 日原傳
落ちてゐる紙に文字ある枯野かな 杉本零
流星や二段ベッドの上が好き ハードエッジ
ベッド:
流氷のひとつ月光裡のベッド 小檜山繁子
ダブルベッドてふアメリカや昭和の日 柴田千晶
ちちははのフランスベッド草田男忌 櫂未知子
母のベッドありしあたりの緋絨毯 大木あまり
眠る子をベッドへはこぶクリスマス 鶴岡加苗
お互いにベッドの上や初電話 松永二三子
流星に長き手紙となりにけり ハードエッジ
長き手紙:
秋の夜の長き手紙を書きにけり ハードエッジ
コスモスや長き手紙のただ長き 山田露結
寝て書いて長き手紙や種茄子 岸本尚毅
寒柝や長き手紙の封をせり 岡田史乃
流星に乗つて招待客来る ハードエッジ
招待:
峰雲に招待席のあるごとし 大木あまり
秋風や招待券の細長き ハードエッジ
針山に刺して流星コレクション ハードエッジ
針山:
針山に母の黒髪針供養 ハードエッジ
色さめし針山並ぶ供養かな 高濱虚子
針山も見えて尼寺梅の花 高濱虚子
針山に針豊かなる良夜かな 西村麒麟
針山に休める針や冬の雨 利普苑るな
絎台の先の針山一葉忌 ハードエッジ
流星の数恐ろしや誰か来て! ハードエッジ
星の数:
夕雲雀隠れしあとや星の数 尾崎紅葉
生涯に星の数ほど梅を干す 鳥井保和
十薬や星の数ほど十文字 ハードエッジ
凩やかぎりしられぬ星の数 加藤楸邨
なやらひの山の裏なる星の数 髙柳克弘
◎初案18句
流星や二段ベッドの上が好き ハードエッジ
流れ星火を取る虫の後にかな ハードエッジ
黒板を消してしまへば天の川 ハードエッジ
流星の幾つ流れし手紙かな ハードエッジ
口笛のごとくに星の流れたる ハードエッジ
流星や泣き疲れたる子が眠る ハードエッジ
水だけを運ぶ水道流れ星 ハードエッジ
屋上は地上に遠し流れ星 ハードエッジ
流星の降り止まぬ夜や誰か来て ハードエッジ
釈迦の糸あるやもしれぬ流れ星 ハードエッジ
雨垂れのごと一滴の流れ星 ハードエッジ
秋晴の一と日を終る流れ星 ハードエッジ
寂しさに群をなしたる流れ星 ハードエッジ
針山に数多の針や流れ星 ハードエッジ
流れても流れになれず流れ星 ハードエッジ
大仏の鋳造現場流れ星 ハードエッジ
人の世はいかに流星ふらしめり ハードエッジ
また一人星の招待客が着く ハードエッジ
◎推敲一覧/pdf
全句181/3枚
全然堂歳時記 秋 【流れ星3】 テキスト推敲一覧
◎A4推敲 原稿/pdf
全1枚
全然堂歳時記 秋 【流れ星3】 A4推敲 原稿
◎A4推敲 加筆/pdf
全1枚
全然堂歳時記 秋 【流れ星3】 A4推敲 加筆
◎葉書推敲 原稿/pdf
全7枚
全然堂歳時記 秋 【流れ星3】 葉書推敲 原稿
◎葉書推敲 加筆/pdf
全7枚
全然堂歳時記 秋 【流れ星3】 葉書推敲 加筆
◎葉書俳句表側
◎データベース画面/桐v10
◎流れ星秀句
星一つ命燃えつつ流れけり 高濱虚子
星流る弥勒菩薩を待つ時間 利普苑るな
叱られし星か流れて海の上 鷹羽狩行
流星の滴る島に泊つるなり 正木ゆう子
流星に思はずも襟かき合せ 星野立子
流星の針のこぼるるごとくにも 山口青邨
流星の使ひきれざる空の丈 鷹羽狩行
流星や夜を覚えて泣く赤子 折勝家鴨
参考に一つの星が流れけり 阿部青鞋
星飛んで巨(おお)きな墓に王ひとり 津川絵理子
流星に二度と戻れぬ空のあり 櫂未知子
流星や生れし覚えなき嬰児 三橋敏雄
「あ」「見えた?」「見えた」「私も」流れ星 徳山高校
天網をいくたびもぬけ流れ星 佐藤礼以子
星流るすうっと走る裁ちばさみ 北畠千嗣
◎未練句/補遺/在庫処理
以上です