開発素句報 2024-02 この傷は海の思ひ出サングラス

開発素句報 2024-02 「暑中見舞号

◎葉書俳句

 

◎テキスト

人と木で「休」といふ字涼しけれ ハードエッジ

人+木:
春暁や人こそ知らね木々の雨 日野草城
川沿ひの桜並木や人が邪魔 ハードエッジ
木には木の人には人の秋の暮 原田喬
べつたりと人のなる木や宮角力 小林一茶
人の名に山川草木年賀状 鷹羽狩行

むくむくと雲の巨体が夏の空 ハードエッジ

巨体:
河豚食うて佛陀の巨体見にゆかん 飯田龍太
流木の巨体の亀裂鑑真忌 小檜山繁子

片陰は天の賜お陰様 ハードエッジ

お陰:
負真綿父のおかげのものばかり 星野立子

涼しくて笑ふが如しアッパッパ ハードエッジ

笑ふが如:
婆嬶の笑ふが如し啼く蛙 会津八一
人間を笑ふが如し年の暮 正岡子規

雷鳴の中の静けさ蓮の花 ハードエッジ

静けさ:

悉く繭となりたる静けさよ 高野素十
黴生えてゐるやも知れず静けさに 佐々木六戈

社員食堂夜食の前の静けさに ハードエッジ
草市の後は仏の静けさに ハードエッジ
小学校老人の日の静けさに ハードエッジ
砂時計の砂の静けさ葡萄垂る ハードエッジ
群れ咲いて紅の静けさ曼珠沙華 西宮舞

春を待つものの静けさ百花園 ハードエッジ
図書館に知恵の静けさ冬灯 秋尾敏
水鳥の水尾の静けさ右ひだり ハードエッジ

とんでもないことの静けさ去年今年 ハードエッジ

さつちやんの遠くへゆきしバナナかな ハードエッジ

遠くへ:
より高くより遠くへと凧と風 ハードエッジ
山風に乗つて遠くへ花吹雪 草間時彦
夕焼のさらに遠くへ夕日かな ハードエッジ
秋風に乗つて遠くへ行く虫ぞ ハードエッジ
赤蜻蛉みんな遠くへ行つたきり ハードエッジ
吾子ほどは遠くへ行かず毛糸玉 今瀬剛一
遠くへとゆく木の葉あり枯れながら 今井杏太郎
風呂と餅あれば遠くへ行かずとも ハードエッジ

この傷は海の思ひ出サングラス ハードエッジ

サングラスの傷を詠んだ会心作 ←砂浜に落したとか
と思ってましたが、
海で転んだ体の傷と(も)読めてしまう、、、

石原裕次郎「錆びたナイフ」

思ひ出:
思ひ出の次から次へ雛飾る ハードエッジ
思ひ出に落丁多し初桜 直木葉子
思ひ出の始るときが夏の果 後藤立夫
思ひ出や苺が乳に混るとき 軽部烏頭子
思ひ出も花火も遠くにて開く 川名将義
狐火の飛びとび妻の思ひ出も 森澄雄
息白く語りし事も思ひ出に 星野椿

◎推敲一覧/pdf

全句

 

◎A4推敲 原稿/pdf

全枚

 

◎A4推敲 加筆/pdf

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◎葉書推敲 原稿/pdf

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◎葉書推敲 加筆/pdf

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◎葉書俳句表側

 

以上です