俳壇賞 2023
プランＢ「ドアノブ」30句
落選作
目次
◎葉書俳句
◎テキスト
春
豆腐にも絹や木綿や針供養 ハードエッジ
絹+木綿：
白糸は絹か木綿か滝かかる ハードエッジ
夏
アテンション・プリーズと咲く紅薔薇 ハードエッジ
注意：
大気圏突入注意流れ星 ハードエッジ
人日の異常乾燥注意報 ハードエッジ
ほうたるは光りががんぼ踊るなり ハードエッジ
雲の峰白くピーマン緑いろ ハードエッジ
白+緑：
白椿うすみどり帯び湿らへる 大野林火
白梅の万蕾にさすみどりかな 鷹羽狩行
白梅の蕾に薄きみどりいろ ハードエッジ
白紙に土筆の花粉うすみどり 後藤夜半
白蓮の固き蕾の緑かな 成瀬正俊
白詰草花の芯なるうす緑 相子智恵
白藤や揺りやみしかばうすみどり 芝不器男
緑蔭や矢を獲ては鳴る白き的 竹下しづの女
緑陰や物書く人に紙白し 岸本尚毅
新緑のダム白炎の水吐けり 前山松花
新緑や白と黒なるチェスの駒 ハードエッジ
白に緑に蚕豆の莢を捨つ ハードエッジ
紫陽花や白よりいでし浅みどり 渡辺水巴
十薬は白き香黄の香緑の香 ハードエッジ
白緑の蛇身にて尚惑ふなり 飯島晴子
白粉花の蕾はみどり種は黒 ハードエッジ
白妙にみどりふふめる冬牡丹 舘岡沙緻
大根の白を育む緑の葉 ハードエッジ
緑濃きところは捨てて葱白し ハードエッジ
緑と白の境が葱のなきどころ なかはられいこ
けさの春琵琶湖緑に不二白し 正岡子規
雪の白芽吹の緑七日粥 ハードエッジ
屋根裏へ隠し階段夏館 ハードエッジ
屋根裏：
雪解風かよふ屋根裏味噌を吊る 宮坂静生
屋根裏に音読の兄夜の秋 加藤有水
屋根裏の窓の女や秋の雨 高濱虚子
屋根裏に鼠なく日の雨寒し 加藤暁台
屋根裏に別な所帯の嫁が君 田湯岬
定価★二つの文庫曝すなり ハードエッジ
文庫：
たのもしき梅の足利文庫かな 夏目漱石
麦秋や書架にあまりし文庫本 安住敦
河童忌や文庫本の背星一つ 山川和代
文庫より新書は長しすいつちよん ハードエッジ
をさな子や文庫に仕廻ふはつ氷 小林一茶
文庫本もて外套をふくらます 福永耕二
落葉明りに岩波文庫もう読めぬ 安住敦
遺品あり岩波文庫『阿部一族』 鈴木六林男
なんだ坂こんな坂汗だくだくと ハードエッジ
海の家見えて支線のどんづまり ハードエッジ
支線：
啓蟄や支線の揺れは上下動 北野民夫
太宰忌の支線岐れて郷に入る 平畑静塔
桐の花支線一駅ごと貧し 橋本美代子
水色の剥げたる氷掻き機なり ハードエッジ
水色：
春立つと拭ふ地球儀みづいろに 山口青邨
洗剤の薄水色や夏の月 ハードエッジ
炎天といふ水色の空があり 山本一歩
夏掛けのみづいろといふ自愛かな 能村登四郎
水の中なる水色のラムネ壜 抜井諒一
水色のペンキ分厚しプール憂し 相子智恵
去り際のみづいろ揺れてゐるプール 柏柳明子
方眼紙にみづいろの罫小鳥来る 金子敦
育児書の栞みづいろ小鳥来る 林昭太郎
朝顔の紫紺よ赤よ水色よ ハードエッジ
枯園や水色多き案内図 神野紗希
水色の絵具を寒の水に溶く ハードエッジ
みづいろかうすむらさきか蝶凍つる 藤井あかり
妹の駒はみづいろ絵双六 斉藤志歩
夏草の高きに絡みつく草も ハードエッジ
絡み付：
割箸の先に毛虫が絡みつき ハードエッジ
あんぐりと蛇に呑まるる卵かな ハードエッジ
あんぐり：
疫痢の子口あんぐりと医を迎ふ 飯田蛇笏
大仏の濡れ放題の夕立かな ハードエッジ
放題：
川ながれはうだい椿散り放題 三橋鷹女
爽波先生言ひたい放題露涼し 辻桃子
刈りし芝梅雨に又伸び放題に 稲畑汀子
聖書講座火取蟲火を取り放題 上田五千石
螢の夜老い放題に老いんとす 飯島晴子
稲架組の寺の悪口出放題 河野静雲
朝顔の咲き放題にいつも留守 石橋秀野
秋
食卓の朝顔は子が切つて来し ハードエッジ
駄句
草市の後は仏の静けさに ハードエッジ
ぐびぐびとどびろく呑んでくちぬぐふ ハードエッジ
氷頭膾熊の親子の知らぬ味 ハードエッジ
新蕎麦を新酒で締めて昼寝かな ハードエッジ
芋煮会再び鍋を持ち帰る ハードエッジ
湯あがりのやうなコロッケ秋の暮 ハードエッジ
旧作：
コロッケが油を出づる秋の暮 ハードエッジ 2012
類句チェックでは引っかからなかったが、
何となく既視感
念の為、X/twitterで「コロッケ ハードエッジ」検索
う～ん、微妙に改良？はしているが、危機一髪か？
わがデータベースには20世紀の自作も収録しているが、
漏れがかなりあるようで、
しかも、どういう漏れ具合なのかが本人にも判ってない
当時の記憶が崩壊しているのである
X/twitter から自身の発言を年度指定して一括ダウンロード
という手もあるはずだが面倒で、、、
穭田は心配事の無き如し ハードエッジ
冬
木枯や車の屋根の銀梯子 ハードエッジ
車の屋根：
かをりやんの上ゆく貨車の屋根にも兵 長谷川素逝
貨車の屋根の煤雪の上に初雪す 原田種茅
蟷螂の万の骸を枯野原 ハードエッジ
骸：
累々と椿の骸蟻の列 ハードエッジ
みづからも白き骸に蚊遣香 ハードエッジ
用済みの骸をはねる蟻地獄 柴崎公子
蜘蛛の囲や骸も負ひし露の玉 金箱戈止夫
長身の胡瓜の先に花骸 ハードエッジ
秋風の転がして行く骸かな ハードエッジ
骸より羽毛を攫ふ野分かな 山根真矢
目の穴を水流るるや鮭の骸 長谷川櫂
鮭の骸戦の跡のごとくあり 長谷川櫂
はたはたの骸の頃となりにけり 京極杞陽
狐火に老後楽しくなりさうな ハードエッジ
老後：
休日は老後に似たり砂糖水 草間時彦
老後とは花火の中の氷川丸 渡辺絵衣子
老後てふ甘美な褒美小鳥来る 蒼空蒼子
あさがほに老後のなげきおもひ知る 久保田万太郎
老後とは死ぬまでの日々花木槿 草間時彦
湯豆腐の湯気やんでをり老後なり 鈴木鷹夫
野も山も雪を被りて眠るなり ハードエッジ
雪を被：
春雪をかづけるものゝ働ける 清崎敏郎
春雪をかむりたる石やはらかし 橋閒石
またしても雪をかむりて冬木の芽 ハードエッジ
葉の下に雪をかむらぬ玉椿 星野立子
福寿草雪をかぶりて金ほのか 山口青邨
のびのびと伸びし氷柱の通学路 ハードエッジ
通学：
通学の村営バスも春休 中本真人
雲雀巣に育つを見つゝ通学す 小山白楢
蒲公英や母校へ続く通学路 ハードエッジ
滝に行くバス停のある通学路 菊池洋勝
のぼる鮭死して川沿ひ通学路 奥村明
コスモスや記憶と違ふ通学路 利普苑るな
ここからは冬田をよぎる通学路 ハードエッジ
そこかしこ氷片のこる通学路 ハードエッジ
新年
下向きに廻すドアノブ去年今年 ハードエッジ
暁闇を配達の子にお年玉 ハードエッジ
一枚の絵札の失せし歌留多会 ハードエッジ
破魔子とは汀女の名なり破魔矢鳴る ハードエッジ
逆選もありし地獄の初句会 ハードエッジ
◎初案３０句
豆腐にも絹や木綿や針供養 ハードエッジ
ピーマンは緑に雲の峰は白 ハードエッジ
大仏の濡れ放題の夕立かな ハードエッジ
こんな坂も汗ふき坂となりにけり ハードエッジ
青く塗られ氷掻き機の鋳物かな ハードエッジ
海の家見えて私鉄のどんづまり ハードエッジ
三階へ隠し階段夏館 ハードエッジ
当時★三つの文庫曝すなり ハードエッジ
襲はれて蛇に呑まるる卵かな ハードエッジ
ほうたるは光りががんぼは踊るなり ハードエッジ
夏草に夏草絡みつきにけり ハードエッジ
ご注目くださいと薔薇咲き初むる ハードエッジ
湯あがりのやうなコロッケ秋の暮 ハードエッジ
小型車が梯子乗せゆく秋日かな ハードエッジ
日を浴びて伸び放題の穭かな ハードエッジ
草市を終へて仏の静けさに ハードエッジ
どぶろくを呑み干して口ぬぐふなり ハードエッジ
珍重の鼻つ柱や氷頭膾 ハードエッジ
芋煮会再び鍋を持ち帰る ハードエッジ
新蕎麦を新酒で締めて午睡かな ハードエッジ
食卓の朝顔は子が切つて来し ハードエッジ
枯野いま雪を被りて眠るなり ハードエッジ
蟷螂の百千消ゆる枯野かな ハードエッジ
狐火に老後楽しくなりさうな ハードエッジ
のびのびと氷柱伸びたる通学路 ハードエッジ
一寸だけ使ふドアノブ新樹の夜 ハードエッジ
繙くや歌留多を入れし古木箱 ハードエッジ
初刷を配達の子にお年玉 ハードエッジ
逆選もあつて地獄の初句会 ハードエッジ
破魔子とは汀女の名なり破魔矢かな ハードエッジ
◎推敲過程 テキスト一覧
１５３句
俳壇賞 2023 プランＢ テキスト推敲
◎推敲過程 プリント原稿
Ａ４、19枚
俳壇賞 2023 プランＢ プリント原稿
◎推敲過程 プリント加筆
Ａ４、１８枚
俳壇賞 2023 プランＢ プリント加筆
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◎データベース画面/桐v10
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