俳壇賞2023
プランA「ふの字」30句
落選作
目次
◎葉書俳句
◎テキスト
春
あたたかや口を大きくあいうえお ハードエッジ
口を大:
母の日や口を大きく母を描く 山本一歩
大寒の口を大きく開けて歯科に 日野草城
寒紅の口を大きく笑ふなり ハードエッジ
ふりかけと同じサイズの種子袋 ハードエッジ
サイズ:
立春のトールサイズといふカップ 小池康生
春愁のスリーサイズを測りけり 櫂未知子
白と黄の太き柱の玉椿 ハードエッジ
太き柱:
棟上げの太き柱や山桜 櫛原希伊子
涼しさの太き柱に凭れけり 藺草慶子
夏のれん吹かれて太き柱見ゆ 合田丁字路
エレベーターで我家へ帰るシクラメン ハードエッジ
エレベータ:
エレベーターつちふる街を垂直に 玉城一香
花の雨エレベーターのなか濡れて 宮津昭彦
病院のエレベーターに春の蚊と 松野苑子
垂直のエレベーターと紫木蓮 ハードエッジ
浴衣着てエレベーターの硝子張り ハードエッジ
エレベーターガールの辞表花氷 兼子阿由子
毛虫の季節エレベーターに同性ばかり 岡本眸
エレベーターに人が棒立ち冬の底 大牧広
雪の速さで降りてゆくエレベーター 正木ゆう子
着ぶくれの楸邨先生とエレベーター 川崎展宏
エレベーターどかと降りたる町師走 高濱虚子
エレベーターガールの春著白手套 ハードエッジ
風船に連れ去られたる長き紐 ハードエッジ
連れ去:
引潮の連れ去る早さ流し雛 恒松美世子
真闇へと連れ去られなむ風の盆 西村和子
蜻蛉来て庭の蜻蛉を連れ去りし 大石暁座
山深く鴉連れ去る雪女郎 加藤知世子
泣く人の連れ去られゐし火事明り 中村汀女
花の雨レントゲン車に社員消ゆ ハードエッジ
社員:
等身大パネルのやうな新社員 西生ゆかり
女子寮も出来て佐渡より新社員 鈴木榮子
桜散る個々に無数に社員踊り 村井和一
朝顔や海に向かひて社員寮 古川朋子
発泡スチロール混入花筏 ハードエッジ
戦時下の虚子の作りし仔猫の句 ハードエッジ
本歌取り:
スリッパを越えかねてゐる仔猫かな 高濱虚子/「ホトトギス」昭和19年
夏
んぼと言ふ田んぼ、赤んぼ、さくらんぼ ハードエッジ
まいまいをくるり一物仕立かな ハードエッジ
蟬の穴雨水を貯め乾かざる ハードエッジ
雨水:
雨水のバケツに溜り桜苗 長谷川櫂
迸る雨水花の庇より 五十嵐播水
山ぶきや雨水ひかぬ地のひくみ 黒柳召波
空蝉に雨水たまり透きとほる 篠原梵
雨水も赤くさびゆく冬田かな 炭太祇
雨水の顔を流るる実朝忌 長谷川櫂
掃き散らす雨水だまり帰り花 岡本眸
濁点の多きがの字よががんぼよ ハードエッジ
濁点:
雪くるか濁点のごと鴉飛び 鷹羽狩行
チャーハンを宙に舞はせて夏楽し ハードエッジ
チャーハン:
チャーハンは強火に攻めよ卒業す 小川軽舟
推敲の果ての巨大な雲の峰 ハードエッジ
推敲:
独り句の推敲をして遅き日を 高濱虚子
行く秋へ推敲進むチョコレート ハードエッジ
推敲のまつただなかの稲光 金子敦
銀杏散る終はらぬ推敲のやうに 亀山こうき
推敲すいくども浮寝鳥の句を 田中裕明
推敲を重ぬる一句去年今年 高濱虚子
曝書する縁側にその老人も ハードエッジ
縁側:
家ごとの縁側仕事遅日かな 中村汀女
縁側欲し春愁の足垂らすべく 中原道夫
縁側は母の仕事場吊し柿 高橋悦男
縁側へ居間へ仏間へ西瓜かな 齋藤朝比古
縁側に足垂れ西瓜滴らせ ハードエッジ
縁側へ出て汽車見るや冬籠 正岡子規
縁側の日にゑひにけりお元日 村上鬼城
日の当たる縁側で読む年賀状 田口武
春着の子長き縁側往き来して 坂口ちか子
卓の水仙縁側の福寿草 ハードエッジ
海に浮く浮輪の中の空気圧 ハードエッジ
海に浮:
あたたかや海に浮んで海の鳥 今井杏太郎
ぷかぷかと海に浮んで冷蔵庫 ハードエッジ
田を植ゑて海に浮きたる水の国 矢島渚男
雨の日の海は寂しや海の家 ハードエッジ
雨の日:
庭手入半ばに雨の日のつゞき 高濱年尾
雨の日の灯の明るさよ桜餅 鷹羽狩行
雨の日の午後しづかなる桜餅 片山由美子
雨の日は雨の雲雀のあがるなり 安住敦
雨の日も水を飲みけり孕み鹿 小島健
雨の日の網戸は少し寂しかり ハードエッジ
雨の日も揚羽飛ぶなり百姓家 岸本尚毅
雨の日は雨の明るさ柿若葉 成瀬櫻桃子
雨の日の海の民宿バナナ食ふ 辻内京子
雨の日をくりかへす間に秋の暮 阿部みどり女
靴下を履いて九月の雨の日々 ハードエッジ
立冬や奇しくも雨の日曜日 ハードエッジ
雨の日もひそかに伸びる日脚かな ハードエッジ
秋
プップップッポーン秋晴限りなし ハードエッジ
朝顔のシュッと色なき部分かな ハードエッジ
流星を迎へ撃つべく富士の山 ハードエッジ
蜻蛉の交みて飛べる秋津島 ハードエッジ
虫偏に非ざる虫もすいつちよん ハードエッジ
次の世は赤を極めし毒菌 ハードエッジ
デパートの駅弁祭り菊日和 ハードエッジ
朝顔の種採ることも五十年 ハードエッジ
たくさんの夕食のある秋の暮 ハードエッジ
冬
我もまた誰かの空似近松忌 ハードエッジ
降る雪に雪町書店灯を点す ハードエッジ
いざとなれば焚くべき書あり冬籠 ハードエッジ
新年
書初のふじのふの字のむつかしき ハードエッジ
◎初案30句
あたたかや習ひたてなるあいうえお ハードエッジ
花の雨レントゲン車に社員消ゆ ハードエッジ
風船に連れ去られたる長き紐 ハードエッジ
ふりかけと同じサイズの種子袋 ハードエッジ
スリッパと仔猫いくさ最中に詠みしてふ ハードエッジ
エレベーターで我家へ戻るシクラメン ハードエッジ
玉椿太き花粉の柱かな ハードエッジ
発泡スチロールの欠片花筏 ハードエッジ
チャーハンを宙に舞はせて夏旺ん ハードエッジ
推敲を重ね重ねし雲の峰 ハードエッジ
雨の日の特に寂しき海の家 ハードエッジ
曝書する縁側にその老人も ハードエッジ
海見えぬ浮輪の空気悲しけれ ハードエッジ
濁点の多きがの字よががんぼよ ハードエッジ
蝸牛巻いて一物仕立かな ハードエッジ
蟬の穴雨水を貯め乾かざる ハードエッジ
んぼと言ふ赤んぼ、田んぼ、つくしんぼ ハードエッジ
たくさんの夕食のある秋の暮 ハードエッジ
ピッピッピッピーンと寒晴の時報 ハードエッジ
流星を迎へ撃つべく富士の山 ハードエッジ
駅弁をデパートで買ふ菊日和 ハードエッジ
朝顔の種採ることも五十年 ハードエッジ
蜻蛉の交みて飛べる日本晴 ハードエッジ
虫偏に非ざる虫もすいつちよん ハードエッジ
次の世は赤を極めし毒菌 ハードエッジ
朝顔のシュッと抜き出し白き筒 ハードエッジ
降る雪に雪町書店はや閉まる ハードエッジ
いざとなれば焚くべき書あり冬籠 ハードエッジ
住職がこんな処に近松忌 ハードエッジ
書初のふじのふの字のむづかしき ハードエッジ
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